清々しいヘドロ
美しい絵、宝石というモチーフ、シンプルな台詞運び。 そんなものはこの作品の表層でしかなく、物語の根底にあるのはもっと重くどろどろした思想と哲学、そして人間の業の深さである。 しかしそれらのテーマを美しい表現力で覆い隠すことで、 禍々しい毒風呂に浸かっているはずなのに 心は洗われ澄んでいるような、奇妙な気持ちになります。それが素敵。 ともかく一つの漫画の完成度として素晴らしいです。 あと個人的にですが、この漫画の雰囲気は新品の真っ白い紙で読んでこそ真価を発揮すると思います。 20年後とかに古本で読もうと思ってもブックオフには既に黄ばみきって透明感を失った悲しい本しか残らないでしょう、 なので今のうちに買って読みましょう。新鮮なうちに。