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言葉では言いあらわせないような揺れ動く心のうちを、たっぷりと描くのは凄く難しいことなのではないだろうか。
物語が大きく展開するようなわかりやすいものじゃない、愛よりもちょっと手前の、恋というには大きすぎる、でももっとふわふわした曖昧な感情を、ナヲコ先生はじっくりたっぷり繊細に描ききる。
いとこのとり姉のピアノに憧れて、個人レッスンをしてもらうたまこ。
ピアノが好きなのかとり姉が好きなのか、とり姉のピアノが好きなのか思い悩んだり
とり姉の憧れの先輩や、とり姉にピアノを教わっていた同級生にもやもやした感情を抱いたり
「それは恋だよ」なんて下世話な読者は言ってしまいたくなるけれど、たまごをあたためるかのようにじっくりたっぷり時間をかけて物語は進んでいく。
物語のはじまりと終わりで、たまこととり姉の関係性は変わった…のかな?
はたから見るとなにも変わらないかもしれない、でもその内側はじっくりたっぷり時間をかけて大きく成長しているのがわかる。
『なずなのねいろ』でなずなの子どものような容姿に意味をこめたのと同じように、『プライベートレッスン』ではたまこのピアノの技術が重要な意味を持つ。
台詞が多い物語ではないからこそ、成長したたまこが発する言葉が胸に響く。
ナヲコ先生はどうやら今は活動されていないようなので、もっと作品が読みたかったなと思いつつも出会えたことに感謝したいと思います。
ピアノの先生兼いとこのとり姉の事が気になるたまこ、あれこれと頑張るけど上手くいかなくて… 2人の関係はどうなる!?