魚乃目三太先生の絵を見ると、泣きたくなるし優しくなるし実家に帰りたくなります。お母さんのご飯が食べたくなるし地元のラーメン屋とかお弁当屋さんに行きたくなります。
同じような境遇、世代、出身の人が出てくる訳ではないのに何故だか懐かしくなるのです。老若男女全ての人に通ずるノスタルジーが描かれています。
台詞がないのに登場人物の気持ちは痛いほど伝わってきます。頑張れ負けんなって応援したくなるし、頑張ったねって抱きしめたくなるのです。
優しくて痛くてあったかくて必死に生きている。だからこそひとときの幸せである、なんでもない食事がものすごく美味しそうに見えるのかもしれません。
なんでもない今日を過ごせることに、美味しいご飯が食べられることに感謝したくなる作品です。
誰にでも、心に残る「ゴハン」がある。食にまつわる幸せな瞬間を切り取る庶民派オムニバス食コミック。台詞の無いサイレント漫画だからこそ、伝わる「味」と「想い」がある──。