魂に訴えかける食の思い出
なんとなく手にとってしまったのだけど、誇張抜きで秒でもってかれた。 特に2巻のお弁当の話で涙腺は崩壊しました。 全話セリフなしのサイレントマンガ。 絵だけでキャラクターの関係や、背景を理解させるのも上手いし、絵柄にクセがあるけどゴハンは本当に美味しそうで、自分の中にもある原体験に訴えかけてくるから凄い。 誰しも食にまつわる思い出って共通しているのかもと思ってしまった。 どんな状況でも、人は腹が減る。 どんなに悲しくてつらくても、食べれば一瞬でも幸せになれて、生きる活力になるんだと改めて感じました。 全4巻一瞬で溶けて、グルメ漫画としてよりも、自分の中にある人生の大事な1ページを思い出させてくれる作品です。
魚乃目三太先生の絵を見ると、泣きたくなるし優しくなるし実家に帰りたくなります。お母さんのご飯が食べたくなるし地元のラーメン屋とかお弁当屋さんに行きたくなります。
同じような境遇、世代、出身の人が出てくる訳ではないのに何故だか懐かしくなるのです。老若男女全ての人に通ずるノスタルジーが描かれています。
台詞がないのに登場人物の気持ちは痛いほど伝わってきます。頑張れ負けんなって応援したくなるし、頑張ったねって抱きしめたくなるのです。
優しくて痛くてあったかくて必死に生きている。だからこそひとときの幸せである、なんでもない食事がものすごく美味しそうに見えるのかもしれません。
なんでもない今日を過ごせることに、美味しいご飯が食べられることに感謝したくなる作品です。