絡まり解けて、服になる
戦前のエスを思い起こさせる舞台設定に、艶やかで絡まり解ける、女性らしい「髪」という題材で紡がれる話。制服を髪でつくる習慣という設定が、肝になっていて新しい。これが既存の髪のイメージに息苦しいという印象を抱かせ、女性同士の関係性と上手くリンクさせている(気がする)。画力は高く、雰囲気もしっかりと作っている。あとは物語の筋がはっきりと見えてくるのか。様子を見ていきたい。
制服が息する音、聞いたことある?森に隠されるように建つ星宮女学園高等学校。伝統の制服は、まるで生きているように美しい……。初短編集『熱海の宇宙人』で鮮烈な印象を残した新鋭が贈る初連載。
百合といわれれば、そうなのかもだけど、その言葉でくくってしまっては表現しきれないものが沢山ある。
本作は、そんな作品。
舞台は、代々卒業生の「髪」で縫い上げた制服を着るという伝統がある、女子校。そこで過ごす女学生の群像劇。
卒業生の「髪」で制服をつくる…若干ホラー臭がしますが、そんなことはありません。
むしろ、その女学生の髪の毛、女性の命ともいえる髪が1本1本美しく、それこそ生きているかのような描写に息を呑みます。
恐怖よりも、そっちが強いです。
そして全体的に漂う、どこか儚い雰囲気が、この伝統とよくマッチしてて、物語に惹き込まれてしまいます。
随所に散りばめられた繊細で詩的な表現が、また良いのです。
百合か~と避けていた人、百合は少し苦手~という人にこそ、おすすめしたい作品です。
美しさの中に、少しの狂気を孕んだ展開にゾクゾクして続刊が気になりますよ。