あらすじ「繭、纏う。少女たちは透明になる。」星宮女学園高等学校。少女たちが纏う伝統の制服は、髪でつくられている。ある日「最も美しい髪の少女」が、その髪とともに学園から消えた。その消失を憂う「学園の王子」華。そして、華を密かに想う洋子。少女たちの心の糸が絡みあう・・・・・・。耽美な世界観で紡がれる、まばゆく切ないガールズラブ。
百合といわれれば、そうなのかもだけど、その言葉でくくってしまっては表現しきれないものが沢山ある。 本作は、そんな作品。 舞台は、代々卒業生の「髪」で縫い上げた制服を着るという伝統がある、女子校。そこで過ごす女学生の群像劇。 卒業生の「髪」で制服をつくる…若干ホラー臭がしますが、そんなことはありません。 むしろ、その女学生の髪の毛、女性の命ともいえる髪が1本1本美しく、それこそ生きているかのような描写に息を呑みます。 恐怖よりも、そっちが強いです。 そして全体的に漂う、どこか儚い雰囲気が、この伝統とよくマッチしてて、物語に惹き込まれてしまいます。 随所に散りばめられた繊細で詩的な表現が、また良いのです。 百合か~と避けていた人、百合は少し苦手~という人にこそ、おすすめしたい作品です。 美しさの中に、少しの狂気を孕んだ展開にゾクゾクして続刊が気になりますよ。