山田風太郎『戦中派不戦日記』が漫画に
大作家・山田風太郎が、医大生だった23歳のときに書いた日記『戦中派不戦日記』がコミカライズ…! マリーマリーマリーや、イギリスの人気小説原作の「プリーズ、ジーヴス」で知られる勝田文の新連載『風太郎不戦日記』がモーニング36・37合併号よりスタート(月イチ掲載) https://morning.kodansha.co.jp/news/5160.html すでに扉絵の時点で魅力にあふれていて、ワクワクしながら読みました。 ガラスに貼られたテープ、尋ね人のチラシ、若者のいない銭湯、濁った湯船…。戦中の市民の暮らしぶりが一人称視点で描かれるため、非常に生々しく感じました。 作画に関して、勝田先生の白黒はっきりした塗り、独特の味わいの線、背景と小物の書き込みがとにかく素敵。 物語の内容自体は重たいのですが、「絵と内容のバランス」が取れていて読みやすかったです。 【第1話】「昭和20年の湯加減」 https://morning.kodansha.co.jp/c/futaroufusennikki.html
日本が終戦を迎えた一年を描いていく漫画です。原作は作家の山田風太郎が23歳の医大生だった頃の日記「戦中派不戦日記」ですが、こちらの漫画は勝田文先生の絵柄が可愛いのでとても読みやすくなっています。他の漫画や映画でも見たことはありましたが、普通の人々の戦時中の生活ってこんな感じだったんだろうなって感触が今までで一番リアルにありました。日記なのでこれは事実だという強みがあるのと、風太郎が捉える日々のディティールが本当に豊かなんですよね。終戦の半年前でも銭湯に通っていたり、空襲が来たから無試験で進級できて喜んだり、世の中がどんなに混乱してても日常は当たり前にあるんだなって思うところは現代の状況にも通じますね。芸術に心惹かれながらも親が医者だったからという理由で医大生になった風太郎は少しひねくれたところが魅力なのですが、戦況が酷くなって打ちのめされていくと時代にのまれた心境になったりするのが悲しくて怖かった。今この漫画が連載されていることが自分にとっては心強いです。