いまでこそ独特の画風が認知されている福本先生ですが、
かつては自他共に認める「絵をなんとかしろよ」という
立場だったとか。
その福本先生が原作を担当、絵はかわぐちかいじ先生が担当。
これで面白くないわけがないという思いと、
豪華すぎてもったいない組み合わせという思いの
両方を感じました。
かわぐちかいじ先生もストーリー作りの実力は
最高なのですから。
けれどいい意味で
独特な状況を考案し設定する福本先生の創話力と
静かなシーンにも巨大な熱量を感じさせる絵を描く
かわぐちかいじ先生の画力が
見事に噛み合って相乗効果を生んでいます。
名作詞作曲者と名歌手の組み合わせの神曲、
それも、けしてクラシック音楽みたいな名曲ではなく、
歌謡曲みたいな、わかりやすくて面白くて
誰もが聞いた瞬間に楽しいと思う名曲。
作詩・阿久悠、歌・山口百恵の曲みたいな。
そんな曲を思わせる、そんな漫画でした。
山椒は小粒で
ピリリと辛いと申しますが、こちらの短編も1巻完結と短いながらもシュワッとした読後感を残してくれます。けしてクリビツテンギョーな結末ということはなかったりしますが、プロでなくては書けない作品に仕上がってると思います。 なんとあのカイジの福本先生が原作、代表作多数のかわぐち先生が作画と、奇跡のタッグですので、面白くないものができようがなく、もしできてしまったらそれは編集者(もしくは大人の事情)のせいでしかありません。 結論としては面白かったです。読んでいると絵が全然うまいのでカイジ感は忘れてしまうくらいなのですが、言葉の選び方とか心理の抉り方など端々に福本節は感じられます。 ただ、この作品を体験してみてわかったのですが、福本作品は福本先生のあの絵だからこそ引き出せている魅力というものがありますね。マンガにタラレバは禁物ですが、もし福本先生が鳥山先生クラスに絵がうまかったとしたらカイジや他の福本作品はココまでヒッツしてなかったと思います。 ちなみに本作は心理サスペンスです。テンポもよく、面白いよ!