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様々な形で思春期から大人に変わっていく途中の女の子を描いている大島弓子だが読んだ中では一番わかりやすく、エンターテイメントに振っている作品だと感じた。(余談: 少女の変化していく内面、精神は萩尾望都や竹宮恵子などの他の24年組作家にも同様のテーマを見ることが多い。)
幼女期の段階のロマンをいつまでも信じている主人公 衣良を中心に女友達、王子様、そして王子様に恋する男の子など複雑に入り組む人間関係を独特のタッチで基本コミカルに時々詩的に表現しているので、つまることなくスルスル読めてしまう。そして人間関係のもつれが極限達する中盤に突然差し込まれる見開きのカットには呆然とさせられてしまった。「誰かこの絡み切った糸をスルッと解いてくれればいいのに」と天使のような存在が上から糸を引いている絵の力は凄まじいものがあった。そしてこれは男女問わず思春期の人ならば誰しもが体験する人間関係のもつれを煩わしく思い、誰かに助けを求めてしまう瞬間を見事にビジュアル化している。