「女性器や生理のために『気まずい思いをする』のは当たり前?そんなわけないっしょ!!」と、この本は教えてくれる。

この漫画には、本来大っぴらに語られることがないものが、初めから終わりまでアクセル全開でバンバン登場する。(まず最初に扱うテーマが「女性の割礼」と初っ端からヤバイ)

その他魔女狩りと「魔女の印」(※「女なら3歳のときにその存在に気づいている体の部位」という表現が作中でされている)、墓に眠る女王の体の秘密、古代文明の像などなど…女性器にまつわる知られざる歴史が次々に登場する。

常日頃、聞き手も語り手も羞恥と嫌悪から繊細に取り扱う話題がストレートに語られる衝撃はものすごい。

正直読み始める前は、テーマがテーマだけに読むのキツいな…と思っていた。しかし、心の中で「うわぁ…うわぁ…!!」と抵抗を覚えつつ、最後まで読み通すと晴れやかな気分だった。

現在、わたしたちは当たり前のように女性器や生理の話題を忌避していて、それらのために「気まずい思いをする」ことは少なくない。

だがそれは普遍の真理ではない。
「気まずい思いをする必要がない」社会もかつては存在していた。
なんだ、これは気まずいことじゃなかったのか…!!

でも考えてみればそうだ。
古今東西たくさんの文明社会があって、そこには今の私達とは違う、ポジティブな考え方をしていた人たちだってはずなのだ。

読んでいて一番おもしろかったのが、ある文明では生理は神秘的なものだと考えられていた。その理由は、「絶えず出血しているのにも関わらず、死ぬことがないから」

そんな考え方もあるのかと驚くとともに、なぜか少しうれしくなった。

開けっぴろげでなかなか衝撃的な本だけど、読めば固定観念が覆されてちょっと楽になる本。生理ちゃんを読んだ人は次はこっちも読んでもっと楽になってほしい。

現代に生きる女性たちの/による表現をめぐる、ライター・野中モモによる新連載。第2回は、「女性の性的快楽はなぜタブー視されてきたのか?」というお話。(毎月第1金曜日と第3金曜日に公開します!) 文・野中モモ 写真・長尾大吾


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