10年プロテスト落ち!26歳で始めたゴルフの申し子の地獄の日々【最新話の感想】
※ネタバレを含むクチコミです。
感情が表に出にくく理屈が先走るせいか、子供の頃についたあだ名は「へりくつ仮面」。そんな性格が災いして、子供の頃から一貫して「集団」というものに属することができずにいた犬神(いぬがみ)君。大学に進学しても友達が一人もできず、昼飯を木の洞で食べる「ぼっち」状態。だがふとしたことから、演劇研究会、略して“劇研”に入ることになり、初めての仲間・居場所を見つけて──―犬神君の思わぬ大暴走が始まる!!
シュールでいてハートフル。
そしてこれほど全5巻の作品で
読みすすめていくうちにドンドン印象が
変わって行ったマンガもあまりない。
感情表現が出来ないというか、感情が無いとすら
思える殆どサイコパスのような主人公・犬神君。
犬神君は犬神君なりに集団に属したい、普通の感情を
理解し味わい身につけたいと、
大学で演劇サークルに入会する。
しかし犬神君はそのキャラゆえに周囲を振り回し
あきれ返させまくる。
衣装は燃やすわセットは破壊するわ、
話の手綱を異世界へと引っ張るわ。
ドタバタ・コメディ的な展開で話は進む。
第3巻での犬神家の祭りはほとんどその究極。
なので最終第5巻あたりではドンダケ~なレベルに
コメディがエスカレートしていくのだろうと思っていたら・・。
犬神君は空気を読まない、読めない的な性格で
いわゆる典型的なコミュ障ではあるが、
それは逆に言えば「裏表がない」性格にも見える。
正直過ぎるレベルで常に本音を語る人格にも見える。
見えてしまう。一見では。
表面的な仮面をつけない性格なのだという印象を受ける。
受けてしまう。最初は。
演技とは通常は仮面を被ることだ。
犬神君が感情を知るために演技を学ぼうとする。
このマンガは二重の意味でその矛盾を突いてきた。
「演技は虚構である」
「仮面は表面につけるもの」
ということを突いてきた。
演技は虚構であるがそれだけではない。
仮面は心の奥底に被せるものだ。
第5巻まで読んで、犬神君が演劇サークルに入ったことを
素直に良かったねと思ったし、
その物語を読んで自分も救われたような気持ちになった。