時代の変わり目である今こそ読みたい
いや〜これめちゃくちゃ沁みるというか、夏目漱石大先生と自分を重ねるというのは畏れ多すぎるんですけど、年齢も大体同じで、仕事と自分がやりたいことの折り合いをつけながら日々を過ごし、時代の流れを意識しつつも安易にそこには乗らんぞ、という姿勢に非常に共感します。というか教科書に載ってる文豪に共感なんてできるんだ!というのが驚きですよね。それは谷口さん関川さんの描き方が素晴らしいからなんですけど。あとがきもめちゃくちゃ面白い。編集者の懐の深さもすごい。これだよこれ。 2019年の日本ではシリコンバレー流スタートアップがタイムマシンビジネスでグローバルなオポチュニティをクリエイティブにイノベーション、OKRをグロースさせてムーンショットでIPOとか言って数億円調達してたりしてて、そういうニュースを見るたびに添付の画像みたいな気持ちになるんですけど、いじけてないで私も『坊っちゃん』みたいな快作で世の中に一石を投じるべきだよな!と元気が出てきます。
恥ずかしながら、初見は「坊ちゃん」の漫画版かなと思ってしまった。全五巻で、漱石とか、鴎外とか啄木みたいな教科書でしか知らない人のことがわかる。けど、それなら伝記を読めばいいわけであえてこれを読む理由は「明治」という時代がわかることだと思う。外国人が増えて世相が変わっていく中でどうやって生きたのか、何を考えていたのか。西洋に必死で追いつけ、追い越せ、とあくせくしていた日本の活気とそれをすごく先の視点から批評していった文化人達という構図がよかった。