イマイチ共感はできないけどなんかリアル感ある浮気女の話です。
泡沫に夢見てうっかりみすみす手の内にあったはずの幸せを自らフイにしてしまい、転げ落ちる様子をせせら笑いながら楽しめる漫画です。ふとした瞬間の幸せを後先考えず全力で追いかけるあまり右往左往するさまや、彼氏への不満をさも言い訳がましく漏らすさまは、某大学アメフト監督や大学広報などと同レベルの危機管理能力だなと感じます。
純真無垢だった浮気相手の高校生、すごく可愛くて良いやつなんですが、ワコの毒牙にかかって汚されていくのがなんとも…

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最終巻を読了。
浮気の是非についてはこの作品の趣旨とは違うと感じたので論じません。あくまで「恋」の話ということで。

最初に登場する彼氏を浮気という形で裏切り、一度は許され仲直りするものの繰り返してしまいまい棄てられる。その後何人か違うタイプの男性と交際し、最後はパッと見幸せそうな感じで終わる。彼女のポエムなモノローグで共感を呼び起こしていくスタイルです。

率直な感想として主人公のワコはクソ女でした。心情描写すべてが言い訳や言い逃れでしかなく、何より気になったのが徹頭徹尾「自分のことしか考えていない」幼稚性です。
彼氏とのすれ違いで傷付いたのも私、彼氏に悲しい顔をさせてしまったのも私、結婚するもしないも価値観を決めるのは私。マジで自分のことしか考えていない(笑) 恋や人生をギャンブルに喩えて自分や相手をモノローグとはいえ「ハズレ」呼ばわりしていますが、「恋」というものが他人との関わりである以上「対話」と「互いを慮ること」を放棄している彼女にはそもそも恋愛ましてや結婚は難しいでしょう。
事実、彼女は序盤の浮気相手である高校生と最終的にくっついたところで作品は完結しています。一回り以上年下で、彼女は彼の幼い部分を見下していました。後日談で彼女らの仲がどうなってるかわかったものではありません

MA・MA・Match

映画『怪物』みたいな構成の話だった

MA・MA・Match
mampuku
mampuku

いい意味で誤解や異説の飛び交いそうな、多層構造のストーリーだったように思う。 主人公の一人である芦原(母)は、生意気な息子とモラハラ夫を見返すべく、息子の得意なサッカーで勝負を挑む。 前半は、ママさんたちが友情や努力によって青春を取り戻しながら、悪役(息子と夫)に挑むという物語で、この悪役というのがちょっとやり過ぎなくらいのヘイトタンクっぷりなのだ。その場限りのヘイトを買うキャラクターは、ヒーロー役の株を上げるための装置として少女漫画では常套手段だ。だが『マ・マ・マッチ』はそういう物語ではないため、話はここで終わらない。 後半は時を遡り、息子と夫の目線で描かれ直す。母目線ではイヤ〜な輩にしか映らなかった彼らにも彼らの言い分や考えがあったのだと明かされる。 真っ先に私が思い出したのが、是枝監督の映画『怪物』の主人公の一人、安藤サクラさん演じるシングルマザーの早織である。 息子が教師に暴力を振るわれたことに抗議するため学校に乗り込むも学校側からぞんざいな対応をされ不信感を募らせる早織。その後教師や子供など、さまざまな視点が映し出されることでやがて全体観が像を結ぶ。 『マ・マ・マッチ』でも、後半部分を読んだあとに最初から読み返すと些か感想が変わる。息子や夫がイヤな奴らとして描かれているのは確かだが、先入観によって印象が悪化していたのも事実だ。なにより、序盤に出てくる夫のコマは母を嘲弄するような不快なものだったが、そもそもこれは芦原母の回想であり主観だ。その後実際に登場する夫は彼女と衝突こそすれ至って真面目だ。 つまり、それぞれの立場から不満を抱いたり譲れない部分でぶつかり合いながら、逐一仲直りしたり折り合いをつけているのだ、という話に畢竟見えなくもない。悪者退治という少女漫画にありがちなフォーマットで導入を描いて入り込みやすくしておいて、後半の考えさせる話でモヤモヤさせる。末次由紀先生、さすがの巨匠っぷりを見せつけた怪作だ。

テセウスの船

どちらかというと『テセウスの船』というより『動的平衡』じゃない?

テセウスの船
mampuku
mampuku

時間遡行をして人生をやり直したとしたら、それは本当に同一の自分といえるのか?という問いを有名なパラドックス「テセウスの船」になぞらえたタイトルだ。 ストーリーに関しては論理的整合性や感情的整合性においてやや粗い部分も感じられたもののサスペンスとして緊張感もあり、ラストは新海誠監督『君の名は。』のような美しい締め方だったし概ね面白かった。 ただ、タイトル『テセウスの船』がイマイチストーリーにハマっていない感じがした。 どちらかといえば「動的平衡」のほうが比喩としてしっくりくるのではないだろうか。 「動的平衡」とはシェーンハイマーの提唱した概念であり、日本では福岡伸一氏による著書『生物と無生物のあいだ』『動的平衡』で有名になった言葉である。“生命”とは、取り込まれ代謝されていく物質、生まれ変わり続ける細胞どうしの相互作用によって現れる“現象”である、という考え方だ。 主人公の田村心は生まれる前の過去に遡り、そこで巻き起こる惨劇を阻止することで、その惨劇により自身に降りかかった不幸な運命を変えようと奮闘する。作品では、過去を改変して自らの人生を曲げようとする一連の試みをテセウスの船にたとえているが、やはりピンとこない。作中、田村心は殺人事件を未然に防ぐため凶器となった薬物を隠したり被害者に避難を呼びかけたりするが、その影響で心の知る未来とは異なる人物が命を落としたり、結果的に大量殺人を防げなかったばかりか予想だにしなかった事態を招くことになる。 この予測不可能性こそがまさに動的平衡そのものって感じなのだ。生命体は、船の部品のように壊れた部分を取り替えれば前と変わらず機能する、ということにはならない。ある重要なホルモンの分泌に作用する細胞を、遺伝子操作によってあらかじめ削除してしまったとしても、ほかの細胞がそのポジションを埋めることがある。これは心が殺人事件の阻止に何度も失敗したことに似ている。思わぬ不運や予想しない死者が出てしまったのも、脚のツボを押すと胃腸の働きが改善するなどの神経細胞の複雑さに似ている。 船は組み立てて積み上げれば完成するが、生命は時間という大きな流れの中で分子同士が複雑に相互作用しあうことで初めて現象する。『テセウスの船』での田村心の試みは人生あるいは歴史という動的平衡に翻弄されながらも抗う物語だったのかもしれない。

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若草同盟

若草同盟

.『恋のツキ』『あそびあい』作者、最新作!付き合って5年。きみと出会って、手に入れた最強の幸せ。でも、人生は、そんなに簡単にうまくいくわけなかった。スーパーの店員・冴木(さえき)カイロと、会社員・羊野(ようの)アユム。学生時代、友達がおらず一人ぼっちだったふたりは、東京で出会い恋に落ち、同棲を始めた。愛する人とこのまま平穏な暮らしが続くと思っていたが……。寄り添うことの難しさと、共に生きることの喜び。山あり谷ありふたり暮らし。《担当編集者のおすすめポイント》 『あそびあい』『恋のツキ』と、新作を出すたび話題の漫画家・新田章。最新作は、東京で同棲するカップルの物語。思いもよらないことで傷つけてしまったり、ふと出た一言に救われたり。愛する人と共に暮らす日々のかけがえのなさ、そして、一筋縄ではいかない人生の難しさ。世の中にはいろんな人たちがいて、いろんな恋の形がある。何歳になっても、誰もが自分の初めての人生を、失敗しながら、もがきながら、生きている。『あそびあい』『恋のツキ』に続き、今作でも世界の「普通」からはみ出した人たちを、愛ある眼差しで描きます。1巻の終わりで描かれる意外な展開が、2巻では、どう二人の関係に変化をもたらすのか、担当の私も続きが気になって仕方ないです!

sweet home

sweet home

実写ドラマ化もされた話題作『恋のツキ』の新田章が描く、アラサー同棲カップル物語。『恋のツキ』ファンの方には、このお話はすごくオススメです。また、新田章作品をまだ読んだことがないという方にも、一話完結のこの読み切りは「入り口」として最適! 複雑な女心を怖いほどリアルに描き出し、世の女性たちから多くの共感を呼んだこの作品。男性読者にとっては、ある種、ホラーかも…? 皆様、ぜひご一読を!

あそびあい

あそびあい

自分の欲望と快楽に素直すぎて、いろんな人とエッチしちゃう小谷さん。彼女を独占したいピュアボーイ・山下くん。そんな二人のストレンジラブストーリー。束縛とか嫉妬とか喧嘩とか倦怠期とか、泣いたり悩んだりノタウチまわったり、面倒くさいだけなのに。それでも、どうして人は恋だの愛だのを繰り返しするんだろう。――全世界共通の病・“恋愛”をえぐる革命的作品!!

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