モンスターの設定や異種間交流の様子が突飛さとリアリティの絶妙な隙間を縫っており、まさに作中の言葉をなぞるなら「解釈するには及ぶけど理解は難しい」という印象を受ける。 瀬野反人先生はシュール系のコメディを得意とされてる印象があったが、その作風にこれだけ練られた設定を掛け合わさって、両方の持ち味がより活きる作品に仕上がってる。 他作品と比較するようで忍びないが、個人的には、内容に「設定の勝利」感があり、且つそれに留まらない作品の醸し出す雰囲気の魅力がある辺り、『ダンジョン飯』の再来になるポテンシャルを秘めてる作品だと思ってる。 1巻読了。
マンバの新刊で見つけてジャケ買いしたけど最高だったww 1巻読んだだけでかなり侍・天谷の思考に近づく…!! 小向がモテ本にオトされたように、自分もまた「プレイボーイ侍」というマンガにオトされちまった...!
「赤ずきん」「白雪姫」といった童話のヒロインたち13人が一堂に会し殺し合いをする話。ちなみに主人公の名前はアリス。武道館を埋める人気アイドルが一転挫折し傷ついた先でこの異世界に迷い込み、そこからは不思議の国も真っ青な怒涛の展開の連続。この先どうなるかストーリーの予測がまるでつきません。 絵に関してはほとんど満点と言ってよさそうな素晴らしい出来。アリスも可愛いし背景も素敵だしバトルも迫力あり。なのより濃いのに見やすい。バトルのあるファンタジーとしては文句なしトップクラスのクオリティなので、たとえジャケ買いしたとしても損はしません。
※ネタバレを含むクチコミです。
謎の現象ファントムによって人類のほとんどが消えてしまった世界で、少年一人と少女三人が過ごす日常を描いたSF漫画。 めっちゃ面白い。誰もいないことをいいことに楽しく日々を過ごす四人だがが、裏には不安や恐怖がある。一方で、何気ない描写の中には幾重にも張られた伏線が……。これだけ広げた大風呂敷を見事に畳む力は、さすが吉富先生!の一言。石黒正数の世界とかが好きだと合うかもしれない。最高なのでぜひ読んでみてほしい
なんというか町田洋という作家が描く空間は、人の心象風景から紡がれた物語を描く作家という印象がある。ちょっと変わった世界なのに、そこに抵抗感を一切覚えない。むしろそういうものもあるんだと、するりと頭に入ってくる。建物が聞こえる男も、夏休みの街にいた男も、島と話していた少年もどこかにいる気がする。そう考えたとき、なんだか気持ちが落ち着く。
アラサー女子マンガとして変化球かも。主人公かよちゃんにとっては山あり谷ありなんだろうけど、無職になって激太りしてもダイエットに成功したり、町の雑貨屋に正社員としての再就職も決まるし、ちょっといいなと思ってたマイペースな若社長や、オカルトマニアの美容師とは、全員まとめて手作り餃子パーティー仲間に落ち着いたり、結局は丸く収まってるところに共感する。登場人物のキャラがみんな地味に濃いのも好きなポイントです。
スリルを求めてたハイテンションの女の子がサバゲ沼にドップリと漬かる話。オタク特有の仲間をどう自分たちの好きなものにハメるか、みたいな思考がちゃんと描かれていて、楽しい。さらにそういう目論見の斜め上に行くくらいドップリ主人公がハマっていくのが最高。サバゲの楽しさがブワーッと伝わってくる。
もう1冊の「名もなき羊たちの町」と併せて、2005年前後に発表された作品群が収録されています。ひとつひとつ独立した短編でありながらいずれも同じ架空の町"カロチーラ"を舞台としています。 ジゼル・アランとは全く異なり、ポエミーで余白が多くアンニュイな感じ。一昔前感があります(笑)絵も今と比べるとだいぶ粗削り。 収録作品に1本だけ例外的に2013年にハルタに掲載された「瞼に咲く花」という短編が収録されています。ひと目見て「ジゼル・アランの人だ!!」と分かる精緻で濃密な絵!ストーリーも飛びぬけて洗練されています。というか泣けます。 水上悟志の「放浪世界」と同様、この短編1話のためだけでも買う価値があります。 「ジゼル・アラン」のクチコミでも書きましたが、著者近影やあとがきが無く、逆に装丁デザインは非常に凝っていて、作品の余韻に心地よく浸れる単行本すばらしいです。「ジゼル・アラン」もぜひ完結が見たい。そして余韻に浸りたい……
この話は本当に「悪女」なところが面白い。それもキャラクター的な「悪」じゃなくて、人間的に悍ましい邪悪。エゴによって人を蹴落とし、処分し、自分のものにする。あまりにも上手く行き過ぎてるとこが少しリアリティに欠けるが、なかなか良い。どうも本誌での連載は終わり、アプリ「ヤンジャン」に移籍される様子。まぁたしかにWeb向きといえばそうだなぁ。
「山を渡る」が面白かったので読んでみたら、大好物のデザイン業界の話だった。デザインの大変さと難しさ、でもそこが楽しい!という部分がすごく活き活きと描かれてる。この作者は好きなことに打ち込む人の話がめちゃくちゃ上手いと思う。 正解があるようでない感じ、癖のあるクライアント、クライアントの会社の人間関係や政治、気合いの入ったプレゼン、自分が作ったものを思いがけず目にするなど、あの苦労と快感を味わった人なら確実に「これ、あるわ〜」となるはず。 でかい会社じゃなくて、個人が立ち上げた小規模なデザイン事務所が舞台なとこも良くて、近所づきあいとか、ランチの様子とか、普通の生活にデザインが入ってくるところが好き。リアルな部分とマンガ的な演出が絶妙で、もっと続いて欲しかった。
最初は教師のほうがガンガンアプローチを掛けてきてて、それをJKが受け流し気味だったのが徐々に気持ちが移っていく、でもJKはそれをモノローグでしか語らなくて基本お互いローテンションで進む、というのが新鮮な組み合わせ。ラブもコメディもちゃんと両取りしてる。 3巻まで読了。
FEEL YOUNG11月号の巻頭がからっぽダンスRで、まずそれを読み、最後のページをめくって現れたのがこれで動揺が走った。タイトルが目に入った瞬間「マジかよ...!!」とテンションが上がり、興奮を抑え楽しみを取って置くことにして最後に読んだ。 かわいい扉絵。 線が細めでトーンや小物でキラキラした紙面。 彼ピッピ・ミキオの清潔感だけあって突出したところのない平凡な見た目。 主人公の「いや無理でしょ…」っていう正直なリアクション、 全部いいけど、やっぱ「ミキちゃん」がかわいかったのが何より最高だった(ベッドの上で) 雑誌は毎月読み出してそんな経ってないけど、自分の中で「ジェンダーレス男子に愛されています。」で高まった敬愛の念が、「きょうは私が抱きます。」で頂点に達した。ひとつの女性誌の中で、恋愛の形にダイバーシティがあるのって素晴らしい。 なおこの2ヶ月後の2019年1月号から、同じ女性攻めをテーマにした松田環先生の「こちらから入れましょうか、その…アレを」が始まったけれどど、2作の雰囲気は驚くほど違う。こちらは女性漫画らしくキラキラしてるけど、『アレ』の方はちょっと気だるげで退廃的で淫靡な感じ。 これらの作品に掲載ゴーサインを出した編集部の姿勢を全面的に支持するし、一生勝手についてくぞフィーヤン。そして高田ローズ先生…! https://twitter.com/RoseTAKADA/status/1048572649926942722?s=20
「#世界#映え殺し#ツアーズ」の人の実録漫画。 https://gekkansunday.net/series/dope ちょっと引っかかったのは、「カラまれる」っていうタイトル。 (自分から目立ちたくて海外の日本料理屋の制服みたいな服着てるくせに...) 1話の「絵本で見た悪い鬼の酒盛り」、「世界のセレブが歩き方下手になる」という表現力には笑った。
舟本絵理歌先生のことは、サンデーうぇぶりの「ゲッサンルーキーズ 一週間全力バトル」で知りました。どの短編もSF(すこし不思議)な世界観で本当に魅力的で、少年マンガらしさと可愛らしさを兼ねを備えた絵が大好きです。 見事1位を獲得し連載となり、本っ当にうれしいです…! https://www.sunday-webry.com/series/1172 殺し屋の正太郎とお嬢様のきりちゃんは、ツッコミがいないボケ同士。見ててすごく和むし、ボケが重なって渋滞していくのがたまらない! そして正太郎がきりちゃんにガチ恋してヤンデレ気味になってるところも個人的にすごいツボ。一方的に愛が重いのが最高…! (画像は1話より。正太郎がときめくといつも飛び出してくるハート好き。特に1話では中尾彬のストールばりにネジネジになってて笑った)
ネットで読める1話だけ読んだけど、カラーの色遣いがきれい! そして最後のページが、枠線から木の葉が飛び出している立体的な画面になっているのが好き 今のところ3話(2019年1月号)まで出てるけど、主人公2人の関係、見えない幽霊、タイトルの「ナナシ」が一体何なのか続きが気になる http://www.shonengahosha.co.jp/tachiyomi/ScrollView_pt0005bad8f41ce99b/
コンビニコミックにありそうな「本当にあった嫁姑」みたいなエグい展開と、小学生女子向けの絵柄のギャップが新鮮な作品で、人の悪意に決して屈しない主人公が熱い! 原作は脚本家の鈴木おさむが書いているため、ストーリーのクオリティについては安心して読めるし、作画もとても丁寧で少女漫画らしいところがいい。 主人公・愛は女手一つで育ててくれる母を助けるため、エゲツない依頼を受けて金を稼ぐことを決意する。 しかし金を稼いでも、金の出どころであるチャイハロのことは言うことができないため、住まわせてもらってる屋敷の女主人やクラスの女子から痛くもない腹を探られる。 大人でも参ってしまう過酷な状況でも、愛は決して折れない。悪には立ち向かい、弱者に手を差し伸べる。何度貶められ陥れられようと目の光を失わない。ものすごくタフで、黄金の精神の持ち主なのが清々しい。 学校の華嵐先生がいい人なのが唯一の癒しだけど、だからこそ裏切られたらと考えると今から不安...
絵のテイストは手塚治虫で、コマ割りは現代。 キャラクターのやわらかな曲線と、大きな文字の描かれた建物のシュッとした直線。 画面が白と黒、直線と曲線で構成されている統一感が美しい。 ストーリーはとてもSFらしく、主人公の語りが雰囲気を出してる。 1話のコバヤシ(ロボット)との会話の「ヘイ、Siri」感が好き http://morning.moae.jp/lineup/1044 https://comic-days.com/episode/10834108156677473461
マンバの本日発売で見てジャケ買いした(¥108) イラストレーターでもあるマンガ家さんが描いたマンガらしく、ザラザラした太い線の温かい感じが良かった。 31Pの中でテーマがちゃんと描かれててユーモアも入ってるのが見事! 教育実習生の先生が高校生小説家の先生の才能に憧れ、徹底的に平伏しているのが好き。わかる...自分が敬愛する天才の方を前にしたらそうなる。 ストーリーの「素晴らしい才能に価値を感じず能力を活かさない天才に、凡人がなんとか才能を発揮させようとする」パートは、天才側からしてみれば望んでないことを押しつけられているわけで、読んでる間は少し主人公側の言動に諸手を挙げて賛成はできなかった。 ...が! 物語の結びで主人公の行動のおかげで天才高校生小説家先生が助けられ、主人公も自分の憧れに携わる仕事をしていることで、キチンと劇中の行いが報われてたので読んでいて気持ちよかった。 「天才には才能を発揮する義務があるんだっ!!」というセリフが熱い。 全世界の天才に届け
あらすじの展開に達するまでたった8ページというまさに一直線のコメディという感じなんだけど、思ったよりボケの手数と種類が多いので、1巻160ページくらいならそのままの勢いで駆け抜けてしまうだけのパワーがある。一応ラブコメではあると思うんだけど、登場するもの全てにボケが乗っかってるような感覚になる、とにかくコメディの圧力が凄い。 1巻まで読了。
ne0;lationに続いて、マンガとして完成度の高い新連載! 霊体?のエフェクトとか囚人のデザインとか絵も上手くてテーマも面白いんだけど、読んであんまりワクワクはしてない... ただ最後に出てきた閻魔様には笑った 主人公の性格がネオと対照的なのは編集の意図なのかな? これから面白くなってほしい
モリエサトシ先生の新連載。 いかにも白泉社的なシンプルな絵柄と、分かりやすいラブ&サスペンスに満ちた導入。 主人公は筋金入りのブラコンだが、兄に似ている上に影のあるヒーローの魅力に抗える気がしない。 しかし展開しだいでは、実際の兄の行方と事件が絡んで、面白いミステリーになりそう。
ホラーの雰囲気と少年少女の冒険譚的な要素のそれぞれにエッジが効いてて、その合間に入る日常シーンの3人の関係性とのメリハリが新鮮で面白い。 1巻で生じた問題を2巻で解決したように見せて全部引き摺りつつ新たな展開に進んでいく。なんか気付かないうちに結構絶望的な展開に片足を突っ込んでる気さえしてくる。 2巻まで読了。
マンバ通信を読んで、この漫画を知らない人がいるなんてそんなまさか…と。とりあえずクローゼットからひっぱり出して読み直しました。 佐々木倫子さんの作品も動物漫画も、この1冊が私にとって初めてでしたが、何度でも読み返せる面白さです。ギャグでなく、いわゆる自然界の不思議的要素で笑えるのってほんとにすごいと思います。 一家に一台ならぬ一動物のお医者さん。子供にぜひ薦めたいですね~
マンバの「今年読んで良かった読み切り」のジャンプまとめを見て再読。 https://manba.co.jp/topics/15900/comments/55896 あらためて読むとすごくいいシュールギャグでかなり笑えた。 バカバカしくて頭空っぽにして読めるのいい。 ただ呪術廻戦9話、アクタージュ15話っていうタイミングでの掲載は読者の感心を引きにくかったかも。
マンバの「今年読んで良かった読み切り」のジャンプまとめを見て再読。 https://manba.co.jp/topics/15900/comments/55896 きれいな絵柄、キャラクターが魅力的、迫力あるバトル、オサレな演出! 作者は19歳! レベルの高い作品で客観的に「すごいマンガだ!」と評価はできるけど、この話自体は設定やセリフがすごく恥ずかしくて面白いと思えなかった。 大人が読んで「中二病が刺激される」ということは、それは対象の子どもたちにとっては「最高にカッコいい」ということ。あえてそういう作品作りをしたんだとしたら、正解なんだろう。 でも他のジャンプの名作を読んでもこんな恥ずかしさは感じないので、次の作品を楽しみに待ちたい。
当時アニメにもなってたから知ってる人も意外に多いはず。 美男美女のパパとママから産まれた目つきの悪い市松人形のようなきこちゃん(隔世遺伝です)は、こう見えてスーパー園児である。無口なので会話はすべてジェスチャー、六法全書を読んだりC言語を学んだり、兄弟が欲しいでしょ?と言う両親の夜の営みに態度で反抗したりする(無口だから)。しっかり者なのでツッコミ役が多いんだけど、たまにやるボケが大きいのがご愛嬌。散歩から帰って朝食を作り始めたけど自宅じゃなくて知らない人の家だった!とかね。周りの大人からは変わり者扱いされるけど、悪口は右から左に流すから心はいつでもステンレスのようにピッカピカ。きこちゃんのクールさと淡々としたコマ割りで魅せるギャグが今も変わらず好き。
実写から起こされたような絵とCGで作ったような建築物やクリーチャーが独特の質感。いろんなSFっぽい要素を詰め込んでいて、とにかく勢いがある。『みんなのトニオちゃん』収録の「アルバイト(BUTTON)」通称「5億年ボタン」みたいな振り切りが欲しかった。
時代劇7作、現代劇5作と色々あるがどれも面白い 特に好きなのは 時代劇編だと「峠の茶屋」と「ぶらい」 現代劇編だと「人事を尽くして」かな 簡単な感想は以下の通り 峠の茶屋:二年くらい前に「グランドジャンプ」の読み切りで同名の「峠の茶屋」があったがこれに掲載されている「峠の茶屋」の1話目はその読み切りのプロトタイプっぽい。 ぶらい:渡世人が主人公で終わり方も含めてすごい好き。 人事を尽くして:国選弁護人が主人公の漫画。第3話のプロフェッショナルは、内容も主人公の職業意識も含めてすごい共感した。
2018年2月に週刊少年ジャンプ本誌に掲載された読切。あまりに毛色が違いすぎて衝撃を受けた。全くジャンプ感がない!! 画風・語り口ともに少年漫画の文法を全く意識しておらず、ジャンプの編集部がなぜこれの掲載を決めたのか全くもって謎。チャレンジングすぎる…! ビーム・アフタヌーン・flowersあたり(この辺の雑誌好きです)に載ってそうな、情緒・雰囲気を大事に描かれた「非エンタメ作品」ですごく良かった。 ただジャンプ・ヤンジャン・別マぐらいしか読んだことない層には微塵も刺さらないのでは…?と気になった。
毎日の生活の中で悩んでいる恋や夢などミクロの問題と宇宙規模のマクロの問題を同時に展開しているのに少しも渋滞せずに読ませる脚本とパワーがある。そして読み進むうちにその二つは意外と近いことなのかなと考えてなんだか少し心が軽くなった気がした。少し青臭くてストレートな表現が多いけど、SF的な複雑さでテンポを悪くする事が無く全4巻だけど、まったく短く感じない内容の濃さがすごい。
大島さんと言えば、絶妙にセンスのいいモチーフと言葉を選んでTumblrにGIFアニメーションをアップしているアーティストという認識だった。自分とは違うし周りにはいないけど、どこかには存在しているらしい、そんな人達の生活を覗き見ているような感覚。なのでマンガもその延長というか、退屈そうなカップルがだらだら駄目な日々を過ごす中でちょっとドキッとさせられる表現が出てくる、みたいなものを想像していたが、全然違った。ある時代の東京の、あの空気をこんな風に描けるのは本当にすごい。これがCanCamのウェブ上で連載されてて好評だったということも、自分の認識を色々と改める必要性を感じさせてくれた。。
裏社会ですら都市伝説と言われている伝説級の殺し屋「ファブル」が、1年間の休養を大阪で命じられ、「一般人」として一般社会に紛れるが・・。 裏社会のごたごたに巻き込まれてしまうシリアス部分と、日常の肩の力が抜けきったコメディ部分のアンバランスさがたまらなくいい塩梅。 緊張と緩和でそれぞれのシーンがいい振り幅になっていて、より楽しめる。 ファブルが常人離れして強いとはいえ、描かれる強さはバキなどのような誇張された過剰なものではなく、壮絶な訓練の末に人間が辿り着けるであろう極致。 単純に強いというか、一つ一つの所作から技術、意識、感覚まで練度MAXにしている感じ。 なので、スーパーマンとまではいかないが、普通の殺し屋程度では赤子の腕を捻るレベルで強いので、見ていて爽快感がある。 策を弄してファブルを追い詰めようとするも、簡単に破られてしまうという快感は、振って振ってワンパンで倒してしまう『ワンパンマン』にも近いものがある。 そんな凄いファブルも、一般社会に入ると一転して「一般常識を知らないちょっと変わったお兄さん」扱いで、その世間知らず具合が程良くてプププっと笑けてくる。 これが絶妙でたまらない。 話のテンポ感や、どこかあり得るかもと思わせる妙なリアリティ、生き生きした登場キャラの人間味など、どこを取っても素晴らしい作品。 最初に、台詞のあの伸ばし棒部分「―――」を語尾が伸びてると認識して読んでしまっていたのが痛恨のミス。 ただの間として表現されていたものなのでそう遠くはないのだけれども、今から読み人はご注意を! これはこれでみんな、だら~っと話しているみたいで味わい深くていいんだけどね…、もう戻れないよ・・。
家を壊すという話なのだが、異星人やら超能力者が戦うアクションもので、メンバーの友情が育まれるという話でもあり、続きが読みたくなる続編が待ち遠しい。
手塚治虫にしても、藤子不二雄にしても、元をただせばパロディ作家なのである。そもそもスターシステム(同一の作家が同じ絵柄のキャラクターをあたかも俳優のように扱い、異なる作品中に様々な役柄で登場させるような表現スタイル)からして自作間におけるパロディであるし、一般に手塚が体系を整えたといわれる漫画的記号の数々にしても発明者本人に特許権のようなものは何ら存在しておらず、作家間を隔てる異空間を超えてあたりまえのことのように浸透している。あまりに広く、あまりに希薄に、浸透しているので、それがパロディだとも気づかぬほどだが、1970年代には吾妻ひでおが『不条理日記』等の作品で漫画的記号の使用を脱臼させてみせ、それがパロディ的要素を備えていることを如実に示してみせた。吾妻はその後、アルコール依存症に苦しみ、一時はマンガ界から姿を消すが、大ヒット復帰作となった『失踪日記』が『不条理日記』の頃からは考えられない"正統派"のマンガであったことは記憶に懐かしい。ちなみに手塚は自作内に吾妻のマンガキャラクターをパロディとして登場させるなどしていたが、手塚キャラをパロディギャグにして世に出てきた田中圭一が最近では『ペンと箸』や『うつヌケ』等の"正統派"のマンガで第二次ブームをむかえている。 そしてほかでもない石黒正数も、手塚治虫や藤子不二雄、それから吾妻ひでおや田中圭一らに連なる正統派のマンガ家であると思うのだ。正統派のマンガ家とは、マンガというものに広く希薄にも共有されて、そして受け継がれているものの使用に自覚的な作家にほかならない。それは当たり前にそこにあるものではなくあまりに貴重な共有財産である。パロディとは、それを使わせていただきます、という一種の照れのようなものである。だからこそ異端であるかのようなパロディ作家こそが正統足りえるのだ。 いっぽうで共有財産の使用を拒んだ真の異端としてのマンガ家が数人いる。彼らはマンガの革命者であり、マンガの可能性の限界を押し広めた者たちであった。大友克洋、高野文子らがそれにあたるだろうか。そして石黒正数のパロディは多岐に渡るが、作品間を超えて貫かれており、今作『天国大魔境』にも見られるのは大友や高野のパロディである。背景の白い建物の壁にひび割れや汚れが描かれるのは大友そのものであるし、ジーンズの描き方は高野から来ているものにちがいないだろう。さらに一巻目をさいごまで読んで驚いたのは、おねえちゃん、ストップひばりくんではないか! 江口寿史とは正統→異端に転じたひとであろう。異端である革命者はやはり偉大だが、わたしは正統派も同様に偉大であると思う。パロディとは一種の愛のようなものではないか。なぜって石黒正数のマンガのそこここから偉大なマンガの数々への愛が感じられるのだ。
職場の上司と、世を忍びながらオタ活する話。隠れオタあるあるや古参オタの悲哀ネタが満載です。多くのオタ活漫画と違って生産ではなく消費活動のみにスポットが当てられていることと、イベント体験の描写などは極力省いてオタク同士のジャンル談義を中心に描いているところが独特です。 「ヒロイン」に対応する男性キャラの呼びかた談義の話もわかりみが深いです。「ヒーロー」ってなんか違いますよね。アメコミや特撮がまず浮かんでしまいます。 あと「オタしぐさ」これもわかりみが深いです。オタクって見た目よりも仕草でわかりますよね。 個人的には、隠れオタク女子の擬態スキルが興味深くなかなか面白かったですw 持論ですが、男オタクはもう少し擬態することを覚えてもいいのかなと思います。仕事柄、女の子のオタクが集まるイベントに度々行くのですが、程度の差はあれみんな小ぎれいで、まるでオシャレして推しに逢いに行くかのような気合を感じます(1巻でも少しそういうエピソードが)男オタは少し見習ったほうが良いです。
主人公はプロの殺し屋で最強だが、俺TUEEE系ではない。殺し屋を1年休業して"ふつう"の生活を送ることを目標に物語は進んでいく。バトルと日常パートのバランスが良く一気に読みたくなる。 登場人物ひとりひとりが生き生きと描写されていて現実よりもリアルに感じる。
GANMAの大人気作。人々のあり得ない奇行や狂気の中で生きる「まとも」な主人公の話。ホラーとしても読めるが、本作には「なぜみんながおかしくなってしまったのか」を主人公が探っていくというミステリの体裁をとっている。とはいえ、毎週視点人物が変わり、謎の断片と後味の悪い話を混ぜこぜにしながら読者に見せる。謎を深める二年前の「613」というキーワード。これらがしっかりと繋がり、真相があきらかになるのか、楽しみ。 https://ganma.jp/hazuneji
読んでると、つい笑いが漏れてしまうタイプの漫画。youtuberなどの時事ネタも組み込み、ゆるゆるコメディをやりながらも、ふとしたとき、ゾンビの怖さをしっかり書いている。日常と化した身近に死のある世界のリアルをコメディタッチながらちゃんと考えている(ように思える)。 ニコニコ静画だと間に謎セクシーおまけ絵がはいる。こうしてみると画力は結構高いんだなぁと思う。 http://seiga.nicovideo.jp/comic/20152
子供の頃になんとなく抱いていた印象が裏切られることはよくある。けど、よく見てみると、そこに本当の宝物があるかもしれない。そんなことを教えてくれる作品。オジサンの、自分の大切なモノに気づいて、ゴミ屋敷のおばあさんの味方をしちゃうという展開もよい。気づいたときにまた手に取りたい漫画。
女性特有の面倒くささが嫌いな主人公がクラスの美人、諏訪さんが男友達のようにつるめることを知り、好感を持つ。 アホ話に、水の掛け合い、どれも気を遣わずに楽しめるが、諏訪さんの身体は実際、女の子で、、、という話。自分は男だから「これくらいは大丈夫」ということも一緒にいる彼女は体調を崩すものとなる。そうした男女の違いを教えてくれる漫画になりそう。感情の機微の描き方もさすがはかずまこを。今後が楽しみな作品
読むたびに体温が上がる!! 必死に、とにかく必死に世界No.1ジャズプレイヤーを目指す自分を信じてアルトサックスを吹いて吹いて吹きまくる! ある日友達に誘われて見に行ったジャズライブでジャズにどハマりし、自分もプロのジャズミュージシャン目指してアルトサックスを始める高校生の宮本大。 夏も冬もどんな日だって必死に、とにかく必死に世界No.1ジャズプレイヤーを目指す自分を信じてアルトサックスを吹いて吹いて吹きまくる! いま世の中で一番アツいマンガといっても過言じゃない! そのアツさで読むだけで体温が2度は上がるのに、面白さにゾクゾクして鳥肌は立ちっぱなしの体の大矛盾! 静かでアツく、そして織り成す人間ドラマの前にただ涙するだけなのです! ライブシーンなんて圧巻で、その凄まじさに不思議と耳の奥と皮膚がビリビリする! 初ライブで文句言ってきた酔っぱらいオヤジに、練習しまくって力を付けて再び演奏を聞かせて「ギャフン」と言わせ上京を決めるシーンの良さったらもう! 読むと、「頑張ろう、まだまだ自分にはやれることがある!」と思わせてくれる素晴らしいマンガ!!
近所にありそうな、中途半端なコーヒーショップの実態がよく分かった。 これはフィクションだから、突然有能なコンサル先生が現れて、1つずつ着実に課題をクリアしてくれるけど、だいたいのお店はそんなインスタントには進まない。 特にマスター自身が頑固親父系だったりすると、迷走したあげくあっさり廃業してそう。
憧れの7歳年上のお兄さんが7年間のコールドスリープから目覚め、高校の同級生になっちゃった話です。「凪のあすから」だこれ!!あれはなかなかに切なくて胸に来る話でしたがこれはどちらかというと胸にキュンとくるやつです。 元々が高校生とは思えないほど大人びた青年だったので、7年経って同級生になってもやはり周りよりずっと大人な千遥くん。せっかく憧れの人と同い年になったのに相変わらず子ども扱いされてしまい気持ちがすれ違う、この「もどかしさ」がこの作品の売りなんだと思うんですけど、冷静になって読んでみると千遥くんマジで何考えてるのかさっぱりわからないですねww弥太郎のほうが人間らしくて気になってしまいます。千遥くんは宇宙人みたい。絃ちゃんも難儀な相手に惚れてしまったものである……
まだ1巻で導入ですが、壮大な展開が待っていそうなハイファンタジーの魔法バトルアクションです。 魔女が人に不幸をもたらす悪魔であると信じられており、見つかると魔女狩りに遭い処刑される中世欧州のような街が舞台だが、表紙の通り魔女たちは現代の魔法少女のような出で立ちですし、設定が重いわりに肩ひじ張らずに楽しめる作りになってますね。 拷問の末公開処刑される寸前だった魔女の少女クロウリア(表紙左)を魔法の力で間一髪救ったモニカ(右)というところから話は動き出しますが、街中から好かれ人気者だったモニカが魔女だとわかった途端街の人々だけでなく仲の良かった親友からも掌を返される展開は読んでいてつらかったです。それでも腐らず前向きな主人公モニカには勇気づけられます。 10巻くらいがっつり続いて欲しい漫画です。
小学校の「学校の七不思議」とよばれるような怪談をモチーフとしたギャグ漫画。少年漫画や児童漫画で扱われそうなテーマだが、アフタヌーンでやるだけあって内容は結構黒い。 「噂が流行らなくなってしまうと存在が消えてしまうという」というのは怪異モノとしてはよくある設定。しかし、ポイント制(集計方法不明)でランキングを発表しホワイトボードを使って会議室でテコ入れを画策する「人体模型」や「花子さん」という面白すぎる絵面や、1話目にして保護者からのクレームで二宮金次郎像(これもお化け)が撤去される脱力感がありすぎる展開は独特な感じ。 ただ自分がこれは良い漫画だと確信したのは、表紙や裏表紙に描かれた、これぞ10年代半ばって感じの花子さんのキャラデザインです。この頃流行った光沢のある塗りが好き。
モンスターの設定や異種間交流の様子が突飛さとリアリティの絶妙な隙間を縫っており、まさに作中の言葉をなぞるなら「解釈するには及ぶけど理解は難しい」という印象を受ける。 瀬野反人先生はシュール系のコメディを得意とされてる印象があったが、その作風にこれだけ練られた設定を掛け合わさって、両方の持ち味がより活きる作品に仕上がってる。 他作品と比較するようで忍びないが、個人的には、内容に「設定の勝利」感があり、且つそれに留まらない作品の醸し出す雰囲気の魅力がある辺り、『ダンジョン飯』の再来になるポテンシャルを秘めてる作品だと思ってる。 1巻読了。