リイド社マンガの感想・レビュー362件<<34567>>世界はえたいの知れない不吉な塊で満ちているこどもたつ あぶらめちかたstarstarstarstarstar野愛大人は子どもを見くびってるのかもしれないし、過大評価しすぎてるのかもしれない。 純真無垢で何もわからないとか、誰よりも大切なことに気づいているとか、どちらにせよ子どもという存在に何かを求めてしまっている。 子どもを主軸に描かれた3つの短編。 何か劇的な展開があるわけではないけれど、生と死が描かれている。 死ぬのは恐ろしい、得体の知れない大きなものは恐ろしい。 死が何かわからないけれど恐ろしいのは、大人も子どもも変わらない。でも、そんな当たり前のことすら大人になると忘れてしまうのかもしれない。 この作品を読んでぐるぐる考えてしまうのも愚かな行為かもしれない。何かを感じなきゃと思いこんでるだけかもしれない。なんか分かんないけど良い地層の女 山中美容室starstarstarstarstarたかセンスの塊というか漫画の原液というか。最近流行りの「でエンタメが極まったストーリーを超画力で描く作品」の対局な作品。 話は筋道も取り留めもなくナンセンスだし、パッと見だと絵はつたない。ただ妙に表現力と味わいがあって引き込まれる。 本当になんだかよくわかんないけど、このわからなさが心地よいと感じる作品。 もう何作品か読むことでいろんな角度からこの作家さんを見てこの方の作風というものを掴んでみたい!「空飛ぶ”しゃべる”万能トラック」✕ 宅配お兄さんの、『心』も届けるバディ物語宅配ビンちゃん Moo.念平名無し一話完結。1999年4月から2000年5月まで新聞にて連載。Moo.念平先生渾身の作品。 【あらすじ】 宅配屋の青年「ビンちゃん」と相棒の空飛ぶ万能トラック「タック」が、毎回様々な人達に大事な荷物と一緒に「心」を届ける物語。ビンちゃんとタックとの固い友情の物語でもある。 復刊ドットコムでの作品情報 https://www.fukkan.com/fk/CartSearchDetail?i_no=6718025これは一体何を読んでいるのか奈良へ 大山海hysysk売れない若い漫画家が自分のやりたい表現と世間(の媒介者である編集者)が求めるものとの間で思い悩む話、というのが始まりなのだが、いつしか奈良の寺周辺の群像劇になって、気付いたら異世界ファンタジーになっている。 登場人物の台詞や仕草が妙に細かく人間臭さを持っていて愛おしい。作者の日記やnoteを読んでいるとやはりそういう映画なり物語が好きなようだ。ずっとこんな作品が読みたかった。 https://www.instagram.com/p/ByAmAgWlh7s/ 不器用な恋自転車屋さんの高橋くん 松虫あられstarstarstarstarstar_bordermotomi素朴な絵だけどキュンキュン止まらないし、現実的な感じもあり感情移入しやすいです。 単純な恋愛ものじゃなく、人間関係とか2人のこれからも紆余曲折ありながら絆を深くしていくんだろうなぁと期待感もあり読み応えがあります! とてもとても不器用な男の人ですが、お互いを想う気持ちに癒されます!すれ違いでモヤモヤするところもあるけど、先の展開が気になります!!!最終4巻いつ出るんだろう…干支天使チアラット 中川ホメオパシー名無し連載は完結。でも最終4巻がなぜか出ない。 最新3巻発売は2017年。紙の単行本を買いたいんだけど、このまま流れちゃうのかな…学校という歪んだ世界君らのための教室 やうやうとstarstarstarstarstar_border野愛一部の生徒だけに都合のいいように形を変える学校。 中心人物になれないものにとっては、ドアも階段も廊下も歪んで居心地が悪い。 この作品内では比喩ではなく実際に歪んでいるけど、実際の学校もこんなもんだった気がする。 ちょっとひねくれた視点でクラスを眺めている主人公・石井。 いつでも一緒にいた友達・結月が、クラスの中心人物・サカキと付き合いだしたのが気に入らない。 結月だけじゃない、仲良しの楓も幼なじみの竹林も口を開けばサカキの話ばっかりで吐き気がする……というお話。 石井のモヤモヤを丁寧に描きながらも、石井だけに感情移入してしまう描き方じゃないのがいい。 結月の視点がよく効いているし、サカキも別に悪人ではない。好きではないけれど。 大人になればちっぽけな世界だったと気づくけど、あの頃って学校が世界のすべてだったなあ。 学校の歪みを可視化してるのが表現として面白かった。 何回も読みたくなる!自転車屋さんの高橋くん 松虫あられstarstarstarstarstar_borderこめつぶなんだろう・・・ハマる!!一気に読んでしまいました。 ドキドキするし、優しい気持ちになって涙が出てくるし、とにかく心を動かされました。 最初から遼平くんのパン子ちゃんへの好意がダダ漏れでニヤニヤしてしまいました。2人がくっつくまでの過程が妙にリアルでよかったです。パン子ちゃんがこれから先も幸せになればいいな~と思います。 ナニワ金融道ってまだやってんだナニワ金融道的な日常 青木雄二プロダクションかしこ桑田さんが主人公のスピンオフです。桑田さんって羽振りがいい人だと思ってたけど、団地住まいの庶民派なんですね。子供4人に愛人もいるからお金かかるのかな。肝心の内容的にはつまらないのラインをギリギリ抜け切れてなかった気がする。私が桑田さんのこと別に好きじゃないからそう思うのかも…。 なぜか灰原だけ似てなかったけど、全体的に青木雄二タッチの再現度はすごく高かった。令和になってもあのいかがわしいネーミングセンスの看板を背景に描いてくれることは高評価したい。生活保護特区というワードのパンチ力。生活保護特区を出よ。 まどめクレテックstarstarstarstarstarこめつぶすごく気になった!タイトルの生活保護特区。 なんとなくの予想で、現代でリアルに生活保護を受けている人達の集落というか保護区みたいなエリアの話かな?って。 外れてはないし大まかに合っていた。 そこでの人間模様や登場人物が抱える背景があるが故の考え方など、 理解出来ないと一言で斬ることは出来ず、物語を読んでいくと感情移入が止まらなくなる。 続きが気になります! 肝練りはいつ見ても凄いね薩南示現流 とみ新蔵 津本陽starstarstarstarstarマンガトリツカレ男火縄銃版ロシアンルーレットなんだけど、これ考えたのすごすぎるね。学校って楽しいめんどくさい!君らのための教室 やうやうと名無し学校という場所の面倒くささとか厄介さ、でも自由で楽しいところ、いろいろ詰まっていて懐かしい気持ちになる漫画でした。自分はむしろ人に合わせてばかりで自己顕示は全くしなかったですけど、でも思い通りにいかなくてひとりで勝手に怒ってるみたいなのはなんかわかります。ハーフの気持ち半分姉弟 藤見よいこ名無し子供の頃に天才テレビ君に出ていたハーフの女の子に恋をして、ハーフって良いな。絶対に得じゃんと思っていました。 ハーフで親が英語喋れるから、二カ国ご使えるとか無双じゃん。とか思ってた。 でも、ハーフの人の気持ちは考えたことがなかった。 多分日本はハーフにとって暮らしづらい。島国だし、BARで隣に座っている人にすら声をかけれられないコミュ障人種だから。 マイノリティなアイデンティティが上手に描かれています。 優しい作品集🎵大きい犬 スケラッコstarstarstarstarstar干し芋大きい犬って、カバーを見たときに大きいなと思っていたが、ページをめくってみた時のインパクトが大きくて笑ってしまった。 すっぽり家と家の間に挟まれている。 本当に巨大な犬なのにずっとそこにいることで風景や目印になってしまっている。 そして、高田君と犬語で喋って意思の疎通ができる。 表情と佇まいと性格が可愛い。 気持ちがトロトロした。 全編、不思議な空間に連れて行ってもらえる素敵な作品の数々。 心が穏やかになる💓あれサバイバル?やっぱブレイクダウン!ブレイクダウン さいとう・たかをstarstarstarstarstar_border酒チャビンサバイバルとブレイクダウンの話がごっちゃになったため再読しました。こちらはちょっと新しい(1995〜1997年)のと、少し上の読者層を想定されてるとのことです。なので、少しムードは暗い感じがします。暗ければ暗い方がいいという方は、こちらが好みだと思います。ただ上の読者層向けとはいっても、さいとう先生特有のエロ描写は今作は控えめだと思います。 わたしは個人的には記憶で区別がつかなくなってるほど両方とも同じくらい好きです。 執筆当時の時代を反映してか、地球がピンチになる理由が、サバイバルは地震(+核爆弾?)なのに対して、ブレイクダウンは彗星の衝突(米軍がミサイルを当てたのが原因で軌道が変わった)となっています(1995年は阪神大震災の年なのですが、シンプルに地震にするとちょっとアレだったのかもしれません)。 というかサバイバルって明確な原因の描写がなかった気がしますね。地震とか核爆弾とかの説は出てましたが・・ あとサバイバルでは自然の中で生き抜く描写が多かったですが、ブレイクダウンでは崩壊した街が舞台のシーンが多く、この辺りも世紀末感が出てていて個人的には好きです。さいとうたかを先生のサバイバルのカバーサバイバル~少年Sの記録~ さいとう・たかを 宮川輝starstar_borderstar_borderstar_borderstar_border酒チャビン基本カバーだと思うのですが、4巻くらいから完全オリジナルの物語になります。それまではかなりオリジナルに忠実な展開です。 オリジナルに忠実な部分は、全く同じ話なので、モロに経験の差が出てしまっているように思いました。同じ話でここまで出来上がりに違いが出るんだと、マンガ制作の奥深さを感じました。 後半のオリジナルの話は、新鮮味はありましたが、スリルとかドキドキ感はなかったです。地球滅亡が近い設定だと思うので、もっとキャラに悲壮感があっていいと思うのですが、皆メンタルが強く、多分この人たちは大丈夫だろうな、という感じを受けてしまいました。 第1シリーズ完、ということだったので、ひょっとすると第2シリーズが続くのかもしれません(話的には全然終わってないですし)。 あれサバイバル?いやブレイクダウン?サバイバル さいとう・たかをstarstarstarstarstar_border酒チャビンサバイバルとブレイクダウンがどっちがどっちなのかわからなくなってしまったので、再読しました。 どちらも地球のピンチ・イマージェンシーものですが、こちらは特にこれといってスキルセットのない少年が、色々失敗しながら学習しつつ基本一人で生き抜いていくサバイバルものです。 設定とか描写が結構リアルでピンチ感がすごく伝わってくるので、手に汗握ります。地震・津波・野生の動物・異常気象・飢えと乾き・疫病・パニックによる暴徒化・宗教・迷信・組織権力などバラエティに富んだピンチが次々に主人公を襲うので、読者としてはダレるとことがなく楽しめるのですが、主人公にとってはたまったものではありません。 1976〜1978年に連載(@週刊少年サンデー)された作品ということなのですが、昨今の世の中のいろんなピンチも(ニュースとかで見聞きする範囲ですが)基本は変わらない感じがして、古びない作品の凄さを感じました。得も言われぬ恐さがクセになるSUBURBAN HELL 郊外地獄 金風呂タロウ六文銭表紙からしてヤバいのだけど、中身もそのまんまで期待を裏切らずそれ以上にゾッとさせてくれる。 版画チックというか何重にも線を重ねた絵柄が、解像度の悪いテレビをみているかのような感覚で、一見読みにくくもあるけど目をこらすと見えてくる恐怖がハンパない。 これが演出だとしたらすごい。 内容も、郊外で起こる事件をオムニバス形式で展開しており、それぞれ性的にも猟奇的にもなかなかエグくて読み応えがある。 『令和を代表するホラーコミック界を牽引する』と記載あるが、確かに独創的な絵柄と、テーマとする題材の切り口は、これまで読んだことないような斬新さを感じる。 伊藤潤二っぽさもあるが、別物だと思う。 怖いものがみたい人はぜひ、おすすめします。 美しく幕を下ろす不思議な短編集うみべのストーブ 大白小蟹短編集 大白小蟹さいろく型にはまらないというか、型破りというほど乱暴さはないんだけど 「そこで終わるのか」という幕を下ろすタイミングがなんとも秀逸。 きみが透明になる前に がすごく好きでした。 他も良かった、いい短編集だなぁ 十人十色の男の友情を描いた短編集ストレンジ【電子版特典付】 つゆきゆるこnyaeこういう人はどうせこうだから、といった固定観念を取り払って視野を広げてくれるようなお話が多いです。 ゲイ、どんくさい奴、不良など、その人の内面を見ようとしないで勝手に距離を置こうとするけれど、ふとした時に相手の人間的な部分に触れることで、自分の方が見ようとしてなかっただけなんだなと気づき、ちゃんと向き合ってみようと一歩踏み出すキャラクター達に、自らの振る舞いや凝り固まった考えを振り返るきっかけをもらえた気がします。 各話の後日談もしっかり描かれています。マンガは愛と魂ッッッ!!!!! #1巻応援ゲモノが通す 堀北カモメ兎来栄寿「シシファック」の堀北カモメさんが初の連載を始める。 それは、2022年のマンガ界において明らかに大きなトピックのひとつでした。 「シシファック」をご存知ない方は、検索またはマンバのリンクを辿って読んでみてください。 野生の獣のような剥き出しの荒々しさは、技術云々を超えたところにある圧倒的な熱量を体内を駆け巡る血液に与えてくれ、興奮を呼び覚ましてくれます。 この『ゲモノが通す』も、「シシファック」の持つ類稀なる熱量を見事に引き継いでいます。その上で、秀でた現代的なキャラクターたちの魅力、抜群なセリフのセンス、エンターテインメント性たっぷりの設定やストーリー展開など更なる進化を遂げた境地を見せてくれます。 作者の実体験からくる「補修職人」のディティールも素晴らしく、あまり知らない、しかし誰しもの身近に存在する世界を見せてくれる仕事マンガとしての魅力も携わっています。 それでも、やはり一番の魅力はこの作品に込められた魂の超常的な熱量。『ゲモノが通す』という怪作が放つ咆哮を、言葉では伝えきれない原石というにはあまりに巨大な聳え立つ巌の魅力を、その身で体感してみてください。 明らかに人を選ぶ作品ですが、『忍者と極道』などが好きな方には特にお薦めです。 #マンバ読書会引き込まれました船場センタービルの漫画 町田洋starstarstarstarstar_bordermotomiゆるい絵とストーリーに引き込まれて集中して読んでいました。 広告漫画をの依頼がきて断るつもりで鬱漫画を描きたいと言ったら「それでお願いします」と返信がきてしまって漫画を描くことに。 途中少ししんどくなりましたが、人の温かさとかが描かれていてよかったです。船場センタービルに行った事があるのですごく風景も想像出来ました。 横山先生とさいとうプロという二大巨匠が同一原作で競作!武田信玄 さいとう・たかを 新田次郎starstarstarstar_borderstar_border酒チャビン大河ドラマにもなった新田次郎さんの小説のコミカライズ版です。小説も読了済み、大河ドラマも鑑賞済みです。 さらにこれはかなりレアな珍事だと思うのですが、同じ原作小説を元にして、横山光輝先生もコミカライズ版を描かれてます!!! https://manba.co.jp/boards/72183 横山先生とさいとうプロという二大巨匠が同一原作で競作という珍しい事態となっています。 比較しながら読んでみると、両先生とも原作を取捨しながら、厚く書くところとさっぱりスルーするところのメリハリをされているのですが、その取捨選択が違くて興味深いです。 このさいとうプロ版は、どちらかというと戦のシーンや性的なシーンが豊富で、刺激的な大人のマンガという感じがします。 よく横山先生の作品が登場人物の区別がつかないなどと揶揄されますが、こちらのさいとうプロ版でも頻出する武田重臣すら区別がつきにくいので、登場人物が多い歴史物は難しいんだなと感じました。 個人的には横山版の方が楽しめましたが、これは多分人によると思います。雲盗り暫平の感想 #推しを3行で推す雲盗り暫平 さいとう・たかをstarstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男・読んだ直後に思ったこと ※一番大事!※ シリアスな話、無茶苦茶な話、よくわからない話、感動する話が良いタイミングでくりかえされるので読んでて飽きないな。後この頃のSPコミックスは紙がいいのか重いね ・特に好きなところは? 柳生三郎登場回。最初はクールな感じだったが後半は感情豊かなゴルゴだった ・作品の応援や未読の方へオススメする一言! どこから読んでも面白いし寝る前に読み続けるには最高だった。文庫版は全部収録されていないのでSPコミックス版の方がいいです。 <<34567>>
大人は子どもを見くびってるのかもしれないし、過大評価しすぎてるのかもしれない。 純真無垢で何もわからないとか、誰よりも大切なことに気づいているとか、どちらにせよ子どもという存在に何かを求めてしまっている。 子どもを主軸に描かれた3つの短編。 何か劇的な展開があるわけではないけれど、生と死が描かれている。 死ぬのは恐ろしい、得体の知れない大きなものは恐ろしい。 死が何かわからないけれど恐ろしいのは、大人も子どもも変わらない。でも、そんな当たり前のことすら大人になると忘れてしまうのかもしれない。 この作品を読んでぐるぐる考えてしまうのも愚かな行為かもしれない。何かを感じなきゃと思いこんでるだけかもしれない。