売れない若い漫画家が自分のやりたい表現と世間(の媒介者である編集者)が求めるものとの間で思い悩む話、というのが始まりなのだが、いつしか奈良の寺周辺の群像劇になって、気付いたら異世界ファンタジーになっている。
登場人物の台詞や仕草が妙に細かく人間臭さを持っていて愛おしい。作者の日記やnoteを読んでいるとやはりそういう映画なり物語が好きなようだ。ずっとこんな作品が読みたかった。
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とりあえず奈良に行きたくなった。親戚がいるし隣の県だから高校時代に授業さぼって遊びに行ったりもしたけど東大寺以外の記憶がない。

最終回読みました
作者自身もnoteで「この終わり方、自分ではよく分からない。」と書いているぐらいで、正直同感だった

でも、いや、だからこそ良い終わり方だったと思う。

単行本早速買って読んだ。通常混ざり合わない世界が混ざってるのがやっぱりいいですね。現実とファンタジーだけでなく、東京と地方、メジャーとアンダーグラウンド、ギャグとシリアス。それぞれが対立項でなく渾然一体となって作者と作品を作り上げてるのが奇跡的。それは現代的なビルの隣に突然遺物が現れるこの国の風景とも被る。

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令和元年のえずくろしい

令和元年のえずくろしい

「なあ、平成の大不況に生まれて 令和になったらコロナがきてよ。仕事も無くなって税金も上がって最低賃金は安いし、俺らみたいな底辺に未来はねえだろうが。欲望のままに生きて、何が悪いんだよ。」 ゼロ年代から続く大阪のシェアハウス。そこでは様々な傷を抱えた若者たち十人が共同生活している。令和元年夏。新たな二人の男女が引っ越してきた。今日も住人たちは互いの感情をぶつけ合いながら過激な青春を謳歌していく。搾取と分断の果てに、全てが崩壊するとは知らずに…… 暴力、淫蕩、怠惰、傲慢、嫉妬……地獄のシェアハウスで巻き起こる最悪の群像劇。【えずくろしい】京言葉で「不快」「あくどい」等の意。★続々重版出来&宝島社「このマンガがすごい!2022」オトコ編第13位『奈良へ』大山海最新作

東京市松物語

東京市松物語

希望に胸躍らせ上京、しかし大学では彼女も出来ず、冴えない毎日を悶々と暮らす拓郎の前に、150年の時を経て甦ったお市ちゃん(事情有り)が現れる。可愛いのか気持ち悪いのかよく分からないが、不思議な力を持つお市、そしてロックに生きることを目指し、日々の不安と怒りと焦りをバンド活動にぶつける拓郎、そんな二人に待ち受ける運命とは…。何かをやりたい、何かを見つけたい!でもこんな俺に一体何が出来るんだ!?…。かっこ悪くて不器用にしか生きられない若者の切なくも熱を帯びた青春物語!

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