リイド社マンガの感想・レビュー348件物語られる側にいく豪雨を待つ えさしかstarstarstarstarstar野愛人生で一度くらい、雨でも降っていれば格好ついたかなという瞬間があると思う。雨だったら晴れだったらゴミが一発で入ったら……動き出すきっかけを探しているだけに過ぎないが、あの瞬間自分を見ている何かが確実に存在する。 自分が見ている世界のフレームに自分が入ることはないのに、入っている気がする。 そんなことを考えながら読んだ。 クラスメイトに告白したい女の子。勝負のタイミングを伺うガンマン。漂流するクルーザー。日照りに苦しむアフリカの人々。 違う場所、違う時代を生きる人たちが同じように豪雨を待っている。物語を動かすために雨が降らなければならない。物語は入れ替わりながら、日常と非日常を混ぜ合わせて進んでいく。 今雨が降り出したら自分もこの物語に取り込まれてしまうのではないか。自分も豪雨を待つものに、物語られるものになってしまう。 ガルシア・マルケスとか好きな人は読んでみてほしい。つい豪雨を待ってしまうはず。職人の凄み神田ごくら町職人ばなし 坂上暁仁starstarstarstarstaralank登場する職人それぞれもちろんそうなんですが、作品全体を貫く静かな熱量というか、凄みを感じました。淡々とひたむきに自分の仕事を突き詰めんとする姿勢に心が動きます。このマンガそのものが職人の仕事って雰囲気です。 個々の登場人物で言えば、自分の打った刀が不本意な使われ方をしたときの刀鍛冶職人の静かな抗議や、100年後を想像した仕事をする佐官職人。目の前のタスクをこなすことに躍起になりがちな普段の自分の姿が恥ずかしくなるほどです。 みなさん言うように絵も本当にすごい。熱した刀身を水につけた時の泡の感じが特に印象に残っています。 個人的には、静かな環境で紙で読みたいマンガです。おすすめです。「マンガ × 短歌」の絶妙なハーモニー。うみべのストーブ 大白小蟹短編集 大白小蟹starstarstarstarstarナカタニエイト<ログライン> マンガ家であり、イラストレーターであり、短歌が好きな大白小蟹先生の短編集。 <ここがオススメ!> 雪のように静か。冬の朝のように新鮮。自分の気持ちに触れることができるのは、こんな時かもしれないと思わされる珠玉の7作品。 あったまろうとした心冷え性のひとりか君かうみべのストーブ そんな一首を読みたくなるステキなマンガ。心が解きほぐされて、体がほんわかと暖かくなるような、そんなお話たち。 <この作品が好きなら……> ・日食ステレオサウンド https://manba.co.jp/boards/184832 ・レミドラシソ 鶴谷香央理短編集 2007-2015 https://manba.co.jp/boards/128188 ・家が好きな人 https://manba.co.jp/boards/178516邪魔無しで両思いになるまでスピンオフで会いましょう【単行本版】 いちかわ壱starstarstarstarstar_borderるる俳優同士でドラマの現場で出会った2人。 感情があまり顔に出ない翠だけど、志希を通じて演技にもプラスになって恋も知った。 志希はアイドルだけど、なかなかのピュアで中身が乙女なのも良き。 メンバーもマネージャーもなんだかんだで受け入れてて平和。沼に戻ってこれた気がするおしえて僕の神様【単行本版】 瀧本羊子starstarstarstarstarnyae最近、人にすすめられても自分で選んでも、どうもBLコミックにハマれず最後まで読めない事が多くてこれはついにBLからの卒業か?と思っていたんですが、この作品のおかげで戻ってこれました。いい作品に出会えてなかっただけだったんだ。 最初は親が宗教にハマってしまった子どもの苦悩がストーリーの軸かと思っていたら違って、とてもピュアでエモーショナルな恋愛物語でした。大好きな人の特別になるって幸せなことだけど、同時にそれ以外の何かを切り捨てたり省いたりするものでもあるんだな。 もっと評価されるべき作品神田ごくら町職人ばなし 坂上暁仁starstarstarstarstar_border生卵江戸の街に生きる職人を描いていく基本一話完結の漫画。こういう漫画が評価される世界じゃないとダメだ。良すぎる その人たちにしか分からない細部のこだわり職人ワザ それを画力で見せてくれる。 取っ付きにくい題材なのに読みやすい 刀鍛冶と畳職人の絵でその職人の仕事を見せるシーンに惚れ惚れする 歴史物は 地頭があんま良くない僕は結構苦手なジャンルなんだけどそんな俺でも読めてしまったこの漫画はすごいこういう角度で描く「創作の苦悩」もあるんだな創作文芸サークル「キャロット通信」の崩壊 綿本おふとんstarstarstarstarstarnyae前半は同じ趣味と志を持つ3人組で小説サークルを組みファミレスで楽しそうに話す姿が微笑ましかったのですが、後半ではある出来事によっていかにしてサークルが崩壊するに至ったのか、それによって3人それぞれが自分の人生を見つめ直していったのかが描かれ、最後まで引き込まれっぱなしでした。死の危機に直面したときに自分の心を守ってくれたのは「書くこと」ではなかった。これがわかったときのショックったらなかっただろうなと想像できます。どんなひとも、夢を諦めるきっかけを待っているというのは共感できる部分がきっとあって、そのきっかけを描いたものとしてはすごい漫画だったなと感じます。 正直、絵柄はどっかで見たような…という気がしないでもないですが、次回以降の作品が楽しみです。短編集としてレベル高いと思う魔法はつづく オガツカヅオstarstarstarstarstar_borderかしこオカルト要素はあるけど怖すぎない短編集。どの話も最初から最後まで飽きることなく引き付けられる内容・画力・構成力で面白かった。こういう短編が雑誌に掲載されてると満足度が上がりますよね。どれもいいけど個人的に一番印象に残ったのは死期が近いおばあちゃんが猫に憑依して人助けをする話かな。これだけ他の話と違って実際に起きそうな語り口だったので入り込みました。「うみべのストーブ 大白小蟹短編集」感想うみべのストーブ 大白小蟹短編集 大白小蟹ニーナこの読後感を何と表現したらいいのだろう…。言語化がとても難しい作品だ。感動的なハッピーエンドや驚愕のバッドエンドはいっさい無いし、なんなら結末もハッキリ描かれていない話がほとんどだ。しかしそれが心地よい余韻としていつまでも胸に残る。 ほんのり優しくて寂しくて温かくて…苦い。 いや、この繊細な物語を言葉で伝えようとすること自体、野暮なのかもしれないな(笑)ギャルたちはどう生きるかマオニ 意志強ナツ子starstarstarstarstar野愛かなりスローペースな連載だけどストーリーはスピード感があっておもしろい。なんでゾンビにとかなんでマオはとか謎は明かされないけれど、ギャルたちの日常は猛スピードで変化していく。 ゾンビ禍でのサバイバルだけどギャルはギャルの矜持を失わずに生きている。だからこそ信念と信念がぶつかる。 それらをまとめていたのが圧倒的カリスマ・マオだったけど、ゾンビになってしまった。 マオと共に生きるもの、マオニを崇めるもの、愛を求めるもの……なんだかバベルの塔みたいだなあと思ってしまう。 宗教はいろんなところに溶けているんだなあと気づかされる。カリスマとか推しとかアイコンとか全部そうだ!! ゾンビ禍ではないけれど確かなもの当たり前のものが揺らぐ昨今だから、ギャルたちがどう生きるかは自分にとっての指針になっていくかもしれない。職人が職人を描く。神田ごくら町職人ばなし 坂上暁仁干し芋職人たちが働いている空気感まで伝わってくる説得力ある画力。 背景も細部にまでこだわって描かれている。 着物のしわひとつとっても丁寧な仕事ぶりが分かる。 そして、陰影のつけ方。 大胆なコマ割り。 江戸時代に乗り込んで、のぞき見しているような感覚になる。 坂上暁仁自身がかなりの職人である。「国語の教科書」になってもおかしくない言葉の深さ!言葉の獣 鯨庭starstarstarstarstarナカタニエイト<ログライン> 言葉が「想像の獣」の姿で見える女子高生と言葉に強い関心のある女子高生の物語。 <ここがオススメ!> 言葉と感情のリンクの深さが物凄い! 「国語の教科書」以上に「言葉」について考えさせられる作品。 「言葉」の解釈が辞書のような「正しさ」ではなく詩的な「解釈」に重点が置かれており、新しい視点で物事を考えるきっかけになりそう。 心に突き刺してくるものもあるけれど、言葉を大切にしようと思わせる傑作。 「言葉」を体現する「想像の獣」の姿も「なるほど……」と納得できる。 この言葉はどんな「獣」なのだろう?と思うのも面白いかも。 <この作品が好きなら……> ・ほしとんで https://manba.co.jp/boards/96324 ・うみべのストーブ 大白小蟹短編集 https://manba.co.jp/boards/172968 ・テロール教授の怪しい授業 https://manba.co.jp/boards/96410好きしかない!江戸時代を生きる、職人たちの意地と腕の物語。神田ごくら町職人ばなし 坂上暁仁starstarstarstarstarナカタニエイト<ログライン> 江戸時代を生きる、職人たちの意地と腕の物語。 <ここがオススメ!> 表紙からして好き! となって、1ページめくって大好き! となった漫画。 あらすじに書かれている通り「伝統の手仕事を圧倒的ディテールと珠玉のドラマとともに描く歴史的傑作」と言ってしまって過言ではないでしょう! 時代の息遣いすら聞こえてくるような圧倒的な絵は見ているだけでも胸が躍ります。物凄く細部まで丁寧に調べられているであろうことが隅々から伝わってくるんです。 もはや、漫画家・坂上暁仁先生も「職人」と言えるのではないかと…… 職人の格好良さと鋭さ、江戸の生き様がたまらなく燻し銀。 大好き! <この作品が好きなら……> ・ふしぎの国のバード https://manba.co.jp/boards/13613 ・河畔の街のセリーヌ https://manba.co.jp/boards/164344 ・Artiste https://manba.co.jp/boards/75789アントロポセンの犬泥棒アントロポセンの犬泥棒 川勝徳重starstarstarstarstar寸々相変わらずの面白さ。漫画表現の多彩さに磨きがかかる。 判型と装丁の変態さは物理で持つことを強要してくる。 「犬泥棒」、「美しいひと」が好き。違う世界に足を踏み入れてしまったような本田鹿の子の本棚 佐藤将starstarstarstarstar_borderゆゆゆ本棚に秘められた宇宙。 文字列がビジュアル化すると、個性的な本たちの一群はカオスと化す。 最近、会話もなくなった娘の趣向をしろうと部屋に忍び入り、本を読む父。 タイムリミットは娘の帰宅時間。 大丈夫、父にはビジュアル化されるタイプの速読術がついている! 休日なのか平日なのかわからないけれど、娘より帰宅が早いタイプの父らしい。 ちょっと癖のある趣向を持つ娘の本棚が、父によって次々とビジュアライゼーション! というかたちで、突拍子もない一話完結型短編が次々と現れる。 いやほんとに突拍子もない設定&展開で、読んでいると自分がおかしいような気がしてくる。 『マチ姉さんの妄想アワー』もマチ姉さんの妄想ということで、突拍子もない昔話やおとぎ話が繰り出されていたけど、本作は舞台が世紀末からSFから恋愛モノから推理モノから色んな方向から小話がやってくる。 理解が追いつかず、99話の龍造寺先生よろしく、「っひゃっひゃっひゃ」と言う気持ちになる。 毎話毎話、発想力がすごい。 ちなみに私は、世紀末世界を舞台にした「93話」のトニオバギーの話が好きだ。まばたきまばたき【電子版特典付】 ばったんstarstarstarstar_borderstar_border寸々これの前作は微妙だったけど試し読みした「アンテロースの恋人」が良かったので購入。 節ばって爪が分厚くなった老婆の指の描き方がとても好き。怖いけど…好き#介護ロボットが人類を削減している SUEY名無し※ネタバレを含むクチコミです。奥行きを感じさせ重層的#介護ロボットが人類を削減している SUEYstarstarstarstarstar_border江戸川物語については他でも語られているので、別の視点で。この漫画、哲学者や思想家の名前や言葉が、あちこちに散見する。 ・大陸合理主義の哲学者『スピノザ』 ・右翼の現代の政治家『原田義昭』 ・プラトンの著作ソクラテスの弁明で語られる『アレテー』 ・作中のスピノザの発言「最大多数個人の最大幸福」は功利主義の父『ジェレム・ベンサム』の有名な言葉。 ほかにも、ホームレスの男の子が語る「神に見放されても〜」はニーチェの言葉だし、フランシス・ベーコンの「知識は力なり」は有名な言葉。 これらの暗示が、なにを意味するのかまだわからない。(功利主義に対抗する話だということはわかるが) 作者は閉鎖病棟や路上生活を潜入取材して描いたという。それほどまでに描きたいなにかがあるのだろう。今のところ、物語は悪くはない。しかし、著名な哲学者を引用するからには、哲学好きな人間からも読まれ、そして私たち特有の「批評精神」と対峙することを知らなければならない。 今後に期待したい。価値観の再構築のきっかけに#介護ロボットが人類を削減している SUEYわんわんこの漫画は各登場人物ごとの正義を見せ、読者に答えではなくインスピレーションを与えようとしているんだろうと思った。 テーマは弱者と強者の対立 日本社会が沈んでいく中で、少ないパイをめぐり 他者を思いやる余裕がなくなり弱者への自己責任論が叫ばれたり、ルサンチマンが強くなっていって強者を袋叩きにしたり、弱者と強者の対立が起きているように感じる。 どんな強者でも一瞬で弱者に落ちていく今の社会を鑑みると自分もいつそうなるかはわからない。 強者とまでは言えなくても今は健康だし若く収入も安定しており、恵まれている。 ただ一寸先は闇で、病気•怪我や失業、介護で一気に転げ落ちる。 他人事ではない。 なので 弱者に寛容に、富を分け与えよ をすべきと頭では理解した。(傲慢だが) だが自己犠牲を実行するのはとても難しい。 やっぱ、心の奥底で自分が得したいし、自分が損して(と感じて)まで、人に得をさせるという気持ちになれない。 汚い自分の本音に気づけ、認めることが出来たのはこの漫画のおかげ この漫画をきっかけにして、価値観の再構築をするきっかけになったらと思う。 今後の展開が楽しみだ。鋭くてヒヤヒヤする。#介護ロボットが人類を削減している SUEYstarstarstarstarstarsawa他の方も書かれているように、現代の社会問題を正面切って描こうとしている。その姿勢というか度胸に好感が持てる。 絵は独特。私の好きなテイストではないが(頭身が長い方が好き)かわいいデフォルメがこの物語とは相性がいいと思う。 はんなちゃんの性格とか表情、好きだなー!女子校育ちだから、よくわかるテンションだ。 4話目がちょっと展開が早いかなぁ。ほっこりシーンが好きだしこの作者も楽しんで描いてそうだから、もっと見たい。 てか、リアルすぎる絵だったらたぶん読み進められないなー。 だって向き合いたくもん。内心はやばいなぁって思ってる問題だけど。 ダーウィン事変みたいって書いてた人いるけど、それは分かる。たくさん語りたくなる漫画。素晴らしい!龍子 RYUKO エルド吉水starstarstarstarstar_bordersawa絵がとにかく秀逸! キャラクターの造形がみんなカッコよくて、見てるだけでドキドキする! セリフの文体が、キャラクターによって書き分けれていないところが残念。。 全部のキャラが作者の発言っぽいというか。 ただ、それもこの世界なのだ!ていう説得力を絵の迫力によって感じる。 細かいことはどうでもよいのだ。#介護ロボットが人類を削減しているの感想 #推しを3行で推す#介護ロボットが人類を削減している SUEY名無しどんどん読み進めてしまった。 現代が向かわんとする社会の姿を現しているようでぞくぞくした。 ロボットと高齢者の話か、今話題のテーマ無理やり詰めただけなんかなとか思った自分をぶん殴りたい。 まだ途中だけど、本当の幸せってなんだろうなと考えてしまう作品。 続きがとても楽しみです!! 教えてくれた会社の先輩、ありがとうございました! #介護ロボットが人類を削減しているの感想 #推しを3行で推す#介護ロボットが人類を削減している SUEY名無しもう極端なことは言えない世の中、漫画の中だけは極端に、思想の強いキャラクターで溢れていてほしいです。 アテレーの勢力が今後どんな世の中を作って行くのか、アテレーを作るほどの強い思想にはんなたちはどのように対抗していくのかがとても興味があります。 そして現実世界でも超高年齢化社会の議論が進んでいけば良いなと願います。わりと自分はアテレー寄りの考え。これは期待のディストピアSF#介護ロボットが人類を削減している SUEYstarstarstarstarstar_borderカイこの内容は特に日本ではタブーじゃないのか? (4話まで読んだ感想) 「大自然と永遠に共存し、人類は5億人以下を維持する」 かつて実在していたジョージア・ガイドストーンに刻まれた言葉を実行するために 介護ロボが自然死/事故死に見えるようにまずは生産力の無くなった老人から… 当然、老人だけじゃ5億にはならないから浮浪者など社会的に評価の低い人を… 今後はどんな基準で??? 少子高齢化や8050問題など絡んで来てエグい題材になりそう 「老人は全員切腹」とストレートなセリフもあったりして 心配もあるけど続きが気になる作品<<12345>>