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ひさぴよ
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2018/11/29
核分裂の発見者 リーゼ・マイトナーの物語
「この世界の片隅に」のヒットがまだ記憶に新しい中、核分裂を発見した物理学者リーゼ・マイトナー(1878〜1968年)の人生を描きだした意欲作。 第二次世界大戦が迫る1938年、ユダヤ人であるマイトナーが、ドイツからスウェーデンに亡命するところから物語は始まり、自然豊かな森の中で、マイトナーはいつしか核分裂の原理を発見する…。 史実ベースかと思いきや、序盤から森の中で北欧の妖精「トロル」が唐突に登場したりして、こうの先生ワールド全開です。メルヘンチックな雰囲気のおかげで、暗い時代の雰囲気がやわらぐ。 作中では、核分裂の研究について詳細に描かれており、難解な物理数式がコマの中に並ぶ。ほとんど理解できなかったものの、マイトナーさんがブルーベリーなどの木の実を原子に見立て、トロルにやさしく講義してしてくれるので、私のような門外漢な読者でも、核分裂についてなんとなくわかった(気になれた) 原爆について深く語ることはないけど、一つ一つの言葉の背後に、とてつもない重みを感じる。単なる伝記物とは一線を画した作品だと思う。 そしてトロルは、物語の最後まで「いい。」働きをしていた気がする。 トロルには「馬鹿」というイメージがある一方で、気に入った人間には富と幸運をもたらし、気に入らない相手には不運と破壊をもたらす妖精でもある。 科学と人の関係を象徴しているのかもしれないし、いろいろな解釈を加えて考えだすとまた想像が広がる。
ひさぴよ
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2017/07/10
「世にも奇妙な物語」の原作漫画
1990年代〜2020年の間にドラマ「世にも奇妙な物語」の原作となった漫画作品をまとめました。 できる限り作品情報を判別しやすくするため、作品情報へのリンクを付けています。 電子書籍になっていない単行本については、Amazon等のリンクを付けています。 ---- 1991年 「ざしきわらし」 原作 「ざしきわらし」吉田秋生 https://manba.co.jp/boards/28540 1991年 「バカばっかりだ!」 原作 「夏の夜の獏」大島弓子 ※収録「つるばらつるばら」 https://manba.co.jp/boards/34266 1991年 「呪いの紙人形」 原作 「ブラックマジック」西岸良平 ※収録「西岸良平名作集」 https://manba.co.jp/boards/11774/books/3 1991年 「タイム・スクーター」 原作 「タイム・スクーター」西岸良平 ※収録「西岸良平名作集」 https://manba.co.jp/boards/11774/books/3 1991年 「嘘八百屋」 原作 「嘘八百屋」よしまさこ ※収録「好きです、この少女まんが。5 異彩」 https://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000044886 1991年 「赤い雲」 原作 「赤い雲」西岸良平 ※収録「西岸良平名作集」 https://manba.co.jp/boards/11774/books/3 1991年 「バイパスの夜」 原作 「バイパスの夜」手塚治虫 ※収録「時計仕掛けのりんご」 https://manba.co.jp/boards/11960 1991年 「未来の想い出」 原作 「未来の想い出」岡崎二郎 https://manba.co.jp/boards/10892/books/5 1991年 「復讐クラブ」 原作 「復讐クラブ」諸星大二郎 ※収録「不安の立像」 https://manba.co.jp/boards/56775 1992年 「電気じかけの幽霊」 原作 「AC100V」しのらさとし ※収録「恐怖の方程式」 1992年 「ハイ・ヌーン」 原作 「史上最大の生中継!」江口寿史 1992年 原作 「言葉のない部屋」村野守美 ※収録「コミック1971」 https://www.amazon.co.jp/dp/4197805322 1992年 「城」 原作 「城」諸星大二郎 ※収録「ぼくとフリオと校庭で」 https://manba.co.jp/boards/82800 1993年 「ガード下の出来事」 原作 「帽子男は眠れない」上野顕太郎 https://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000006512 1994年 「ある朝パニック」 原作 「ある朝パニック」福山庸治 https://manba.co.jp/boards/71659 2001年 「僕は旅をする」 原作 「僕は旅をする」今市子 ※収録「砂の上の楽園」 https://manba.co.jp/boards/26493 2002年 「夜汽車の男」 原作 「夜行」泉昌之 ※収録「かっこいいスキヤキ」 https://manba.co.jp/boards/124258 2002年 「昨日の君は別の君 明日の私は別の私」 原作 「昨日の君は別の君 明日の私は別の私」山下和美 https://manba.co.jp/boards/15619 2005年 「影武者」 原作 「最上殿始末」手塚治虫 ※収録「時計仕掛けのりんご」 https://manba.co.jp/boards/11960 2008年 「ボディレンタル」 原作 「ボディレンタル」戸田誠二 ※収録「スキエンティア」 https://manba.co.jp/boards/14466 2008年 「どつきどつかれて生きるのさ」 原作 「どつきどつかれて生きるのさ」うめざわしゅん ※収録「ユートピアズ」 https://manba.co.jp/boards/18808 2009年 「爆弾男のスイッチ」 原作 「スイッチ」石黒正数 ※収録「石黒正数短編集」 https://manba.co.jp/boards/13000 2009年 「理想のスキヤキ」 原作 「最後の晩餐」泉昌之 ※収録「かっこいいスキヤキ」 https://manba.co.jp/boards/124258 2011年 「耳かき」 原作 「耳掘り」泉昌之 ※収録「かっこいいスキヤキ」 https://manba.co.jp/boards/124258 2012年 「ワタ毛男」 原作 「ワタ毛男」小田扉 https://manba.co.jp/boards/77601 2012年 「ヘイトウイルス」 原作 「ヘイトウイルス」うめざわしゅん ※収録「ユートピアズ」 https://manba.co.jp/boards/18808 2013年 「AIRドクター」 原作 「もどき」小田扉 ※収録「前夜祭」 https://manba.co.jp/boards/77601 2014年 「未来ドロボウ」 原作 「未来ドロボウ」藤子・F・不二雄 ※収録「藤子・F・不二雄SF短編<PERFECT版>」 https://manba.co.jp/boards/87931/books/4 2015年 「面」 原作 「面」永井豪 ※収録「怖すぎる永井豪」 2015年 「地縛者」 原作 「地縛者」伊藤潤二 https://manba.co.jp/boards/84812/books/108 2015年 「蟲たちの家」 原作 「蟲たちの家」楳図かずお https://manba.co.jp/boards/13892 2015年 「自分を信じた男2」 原作 「自分を信じた男2」石川雅之 ※収録「週刊石川雅之」 https://manba.co.jp/boards/75232 2015年 「ウソキヅキ」 原作 「ウソキヅキ」渡辺優平 https://shonenjumpplus.com/episode/10833497643049549881 2016年 「夢みる機械」 原作 「夢みる機械」諸星大二郎 https://www.amazon.co.jp/dp/4420137509 2016年 「貼られる!」 原作 「レッテルのある教室」7と嘘吐きオンライン―HERO個人作品集― HERO https://www.amazon.co.jp/dp/4757530455 2017年 「夜の声」 原作 「夜の声」手塚治虫 ※収録「空気の底」 https://manba.co.jp/boards/21231 2018年 「明日へのワープ」 原作 「アイリウム」小出もと貴 https://manba.co.jp/boards/15730 2021年 「コインランドリー」 原作 「ロッカールーム」鈴木祐斗 https://shonenjumpplus.com/episode/10834108156687311993/embed ちくちくぴろんぴろん https://manba.co.jp/boards/153855
ひさぴよ
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2017/06/15
家電は世界を救う!?
一見、どこにでもありそうな下町の電気屋さんを営む「ピース一家」の物語。 知られざる天才科学者である父・貫太郎と、息子の健太郎は、どんなささいな問題でもすべて科学の力で解決!!・・・しようとするのですが、日常生活ではとても使い物にならないとんでもない道具ばかり作り出します。普通に仕事をしていれば非常に優秀なエンジニアなのに、プライドに火が着いたら最後。店の部品や在庫を勝手に持ち出しては、他人の家電を魔改造して迷惑をかけまくります。まるでダメなドラえもんみたいな感じです。一話完結型で、オチは大体この親子が自らの発明品によって酷い目に合うのですが、他の家族たち(母や弟、妹)はそんな2人を反面教師として、科学に頼りすぎることなく、人間力で問題を解決していく姿を見せてくれます。家族同士のほっこりするエピソードだけでなく、商店街を舞台に、老若男女、さまざまな人達と関わり合いながら、日常の小さな悩みから世界規模の話まで出てくる、とても懐の深いマンガです。ちなみに一番のお気に入り回は、バカ親子が飼い猫のミャーちゃんの為に、超科学を駆使して道具を作る回。これがもう滑稽なことこの上なくて、何回読んでも笑えます(=^・^=)
ひさぴよ
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2017/05/29
大きく時の流れが変わる時、一番純粋な者から犠牲になっていくのかもしれない
舞台は明治10年の北海道日高地方で、牧場開拓とエゾオオカミの絶滅を描いた物語である。 主人公は、未来少年コナンでもアイヌ人でもなく、北海道に入植してきた本州の子供だ。 薩摩郷士の息子なので、クマに立ち向かえるくらい肝が据わっており、エゾオオカミの一家と少しずつ交流を深めていく。 オオカミ同士がヒトの言葉でしゃべるのはご愛嬌。 もう一人の登場人物として、アメリカから呼び寄せたエドウィン・ダンという牧場技術者がいるが、この人は北海道の畜産業の発展に大きく貢献した歴史上の人物である。 アメリカから日本へ綿羊を輸送する際に、羊と寝食を共にして大事に世話し、一匹も亡くさずに運び込んだ(それどころか途中で生まれた子羊の数で増えた)というエピソードは、エドウィン・ダンが心から動物を大切に愛している人物である証拠だ。 そんな人がなぜ冷酷にもエゾオオカミを絶滅させるまでに至るのか。 そこが物語のテーマとなっている。 現代人から見るとオオカミやシカを次々と絶滅させた歴史は非常に野蛮だと思えてしまうが、この作品では人間=悪という単純な捉え方をしていないところが素晴らしい。 近代化の歴史を前に、誇り高く生きようとしても、絶滅を避けられない無力さがあったのだと思う。 良い漫画だった。