六文銭
六文銭
2021/11/24
ベタだけどたまに読みたくなるジャンル
女性ながら騎士団の隊長をつとめるエリート女騎士を、そこに入団したばかりの主人公がからかう話。 年上女性 ✕ 主人公 の構図が、「めぞん一刻」以降、私の遺伝子レベルで刷り込まれているので、この手のジャンルが定期的に読みたくなるんですよね。 中でも本作は久しぶりに良かったです。 まず、女騎士というところで強く気高い雰囲気をまとっていること。 結果としてシモのほうに奥手であること。 何より、主人公と自分が釣り合っていないと控えなところ。 全部コテコテなんですけど、全部あわさると凄くいいです。 普段は威厳たっぷりですけど、 ヤりたいです(剣の稽古を) のセリフだけで、勘違いして赤面する。 小学生バリの貞操観念。 また、主人公に他の女性がくっつきそう(親しい様子)になるともやもやしたりするのですが、自分よりも彼女ふさわしいだろうと簡単にひいてしまうあたりが、大人の女性ですね。 決して、余裕があるわけではないのですが。 なんにせよ、主人公が一直線に思いを向けているので、からかいながらもどう進展していくのか楽しみです。 主人公がチート級に強いので、それで見直すとかだと格好いいすね。
六文銭
六文銭
2021/11/22
「ぐらんぶる」よりラブとお色気強め
好色な父親のせいで、不遇な毎日を送っていた主人公。(主に女性からの偏見) 結果として、 人生に女性など不要 豪語し、煩悩を断ち切る。 が、偶然出会った女子高生に一目惚れしてしまい、 今まで抑えてきた情欲がふつふつと沸き起こってしまう。 そんな自分にたえられず出家を決意するも、 その寺が「尼寺」で、件の女子高生がいたという流れ。 ここまでハイテンションかつ怒涛の展開に、 「ぐらんぶる」を彷彿とさせます。 ただ先方がサークルを通した男子高的なノリに対して、 本作はより女性陣が際立った感じがしますね。 作家さんがとても魅力的で可愛らしいキャラを描くので、個人的にはとても好きです。 「ぐらんぶる」 青春+ギャグ強め としたら 「てんぷる」 ラブコメとお色気強め といった感じでしょうか。 尼寺には妹たちがいたり、留学生(こちらも主人公同様、煩悩が強めで克服するため)がいたり、お約束的に容姿・性格ともにバリエーション豊富に攻め立ててくれます。 上述のヒロイン女子高生の蒼葉結月(あおばゆづき)が、修行をし1人前になってお寺を継ぐという本筋がありながらも、基本ドタバタしたラブコメ展開は読んでていた飽きないです。 「ぐらんぶる」好きな人は、もちろんですが、ラブコメ(ドタバタ的な)が好きな人も楽しめる1冊だと思います。
六文銭
六文銭
2021/11/17
大切な人の死の哀しみ方がリアル
配偶者と離別した場合はバツイチだが、 死別した場合を「没イチ」と称し、それがタイトル名になった本作。 妻が眠りながら急死し、突然、独り身になってしまった主人公。 葬式だとか親族挨拶だとか日常業務とかで、あれよあれよと忙しく過ぎる日々に、妻の死に対する感情が薄れていってしまう。 哀しみ方を忘れ、そこに違和感を感じながら日々を過ごしていると、 ひょんなことで友人に誘われた婚活パーティーである女性と出会う。 彼女もまた配偶者と死別していた。 同じ境遇に同調した2人は、彼女の誘いで、45歳ながら若者にまじってシェアハウスをするという流れ。 本作が魅力的なのは、大事な人が死別した後、残された当事者の感情の変化を丁寧に描いていて、非常に共感がもてるんです。 すごくよくわかるんです。 年月をともに重ねた人の死は、簡単に整理することはできないし、 涙でごまかせるもんでもないと思うんです。 だけど、ふとした瞬間、ホントに何気ない瞬間に、 喪失感を感じて涙が溢れる。 こういった描写が描かれていて、おそらく経験に基づくものなんだろうなとリアリティを感じさせます。 主人公が、シェアハウスで多くの人と過ごすことで、少しでも哀しみが癒え、次の一歩を踏めることを応援したくなります。 ただ、3巻(2021年11月時点で2巻)で終わるみたいなので、とても残念です。 じっくり丁寧にすすめている作品だっただけに、願わくばキレイに終わってほしいなと思います。
六文銭
六文銭
2021/11/16
モラハラ夫ならぬモラハラ妻?から家族再生の話
📷
夫婦と娘の3人家族が登場人物。 だけど、その家には廊下にテープが引かれて、夫はここを超えてはいけない。 食事は一緒にしない、挨拶もしない。 ドアの音をたててはいけないし、風呂は良いがトイレはだめというルール。 主人公は、そんな生活を強いられながら生活している。 え、なにこれ? と率直な感情とともに、怒りがわいてきた。 妻と夫両方に。 よくこんな状況になってまで一緒にいられるなと、よく我慢していられるなと。 この状態になったのは、つわりで苦しんんでいたときに夫に言われた言葉が原因だという。(ここはまだ全て出ていない?) 夫の性格上優しすぎるというか、現実を直視できない弱さのせいで、その場シノギで不用意に何か言ってしまったと推測するが、それにしても酷いと思う。 そういう言葉を吐き出させる側にも問題があると自分は思うんですよね。 妻は言葉で伝えて欲しいとかいうけど、 結局自分の価値観や先入観で曲解して、夫(というか、周囲の人間)の言葉なんて歪んで伝わっているのをみるとなおのことそう思います。 そんな夫のところに、謎の未亡人が現れて彼を救おうとするのですが、これはこれで非現実的で(今の御時世で、なんの接点もない他人をこんなに気にかけることあるか?と)正直、胸糞悪かったのですが、2巻の娘のシーン(添付画像)を読んでグッときました。 1巻までは、崩壊した家庭とそこから夫を奪おうとする、いわゆるドロドロ的な話かと思っていましたが、2巻のこの娘のセリフを読んで、 家族とは何か? を伝えてくれる話なのでは?と思うようになり、俄然面白くなってきました。 違う人間だから、完全にわかりあうことは難しいかもしれないけれど、それでも思い合うことはできる。少なくとも赤の他人よりは。 それが家族だと思うんですよね。 娘がキーになって、今後この家庭がどうなっていくのか楽しみです。
六文銭
六文銭
2021/11/12
個人的にもったいない作家「ハナムラ」先生
小生、ハナムラ先生が好きなんですよ。 「ハナムラさんじゅっさい」でハマリ、 端的に言って好みの絵柄で、氏の描く女性キャラの可愛さにやられております。 だけど、あんまり売れている印象がなく、本当にもったいないと思います。本作もおそらく1巻で終わり…だと思います。 少しでも布教できるよう頑張りたい所存。 さて、本作の内容なのですが、 ここまで言っておいて大変恐縮ですが、本作は氏の魅力である、可愛い女の子は皆無です。 編集部のむさい(失礼)男たちと、夜な夜な取り寄せたご当地グルメなどを食べるという展開です。 相変わらずの画力の高さはいわずもがななので、ご飯の絵は上手で美味しそうです。 また、舌の肥えた編集者たちが色んな所から取り寄せた食材の数々は、一度試してみたい気になります。(結構、いい値段はしますが・・・) しかし、やはり、なぜこの題材なんだろうと思わずにはいられないです。 せめて形だけでもヒロインがいればなぁと、残念!もったいない!と思わずにはいられなかったです。 こういうところも不遇な感じが、よりファン熱を高めてくれるポイントですね。
六文銭
六文銭
2021/10/28
意外?とタメになる節約#1巻応援
お金を貯める一番のコツは生活水準を上げないこと という名言のもと、日々生きております。 おっしゃるとおり、無駄な支出を減らすことが一番大事。 本作は、超優良企業で働いていた主人公が、とある金持ち経営者と結婚を期に寿退社する・・・はずだったが、実は、金持ちというのも、経営者というのも全部ウソで、職も結婚も、そしてお金も何もかもなくなってしまったという流れ。 結婚詐欺・・・といえるかわかりませんが、 絶望の中で、それでも生きていくために日々の生活を見直していきます。 お金を貯めるガチガチのビジネス書よりは、非常にとっつきやすく、 つい買ってしまう無駄なものとか、我慢の難しさ、我慢との適度な付き合い方とか、よくある落とし穴に首がもげそうになるほど、うなずいてしまいました。 特に家計簿。 市販の家計簿って謎に書く欄多いすよね。挫折させるつくりになっているとしか思えないっす。 主人公のように、ただのノートになぐり書きで十分だと共感しました。 これまでの生活から急変しても、意外と適応能力の高く、必死に学ぶ(やらざるを得ないだけかもですが…)姿勢のある主人公が応援せざるをえません。 新たな恋の予感もあり、これまでの経験をいかしてどう発展していくのか続きが楽しみな作品です。
六文銭
六文銭
2021/10/26
所有ではなく利用なサブスク
時代ですね。 サブスクのビジネスモデルができてから、月額課金だけで見放題、聴き放題なサービスが溢れましたが、ついに彼女までサブスクになりました。 誰かに必要とされたい!愛されたい!と期待して、 結局、自分の理想通りにならず、がっかりするくらいなら割り切った関係でよいとする考え、誰しもわかるんじゃないかと思います。 結局、理想なんてあってないようなものなんだ思います。 周囲の期待とか漠然としていて、ちっとも具体的じゃないと感じるように、自分が相手にする期待とか、こうあって欲しいと思うのって曖昧ですよね。(もっというと他人をコントロールしようとするのって傲慢ですよね。) それによって振り回されて、自分を見失ってしまう。 自分自身もそうでしたが、やっぱり虚しいですよね。 自分の人生なのに、自分で生きていない感じがします。 本作もそのような登場人物が多いのですが、 最後は自分で考えて、本当の想いに気づいていくのが良かったです。 そういう人と出会って、変わっていくさまは良いものです。 2巻完結ですっきり読めたのですが、惜しむらくは、サブスク彼女というからには、もっと多種多様な女性キャラが出てきて欲しかったなと思いました。 (まぁ、それだとテーマと少しズレてしまうかもですが。)
六文銭
六文銭
2021/10/19
ネタバレ
三国志を知ってから読むとさらに面白い
いつの時代でも三国志ってアツいんですけど、漫画の世界も同様。 「龍狼伝」「蒼天航路」今だと「パリピ孔明」いろんな形で三国志をベースに味付けをした作品が、たえず何かしら出ているような気がします。 本作も、そのうちの一つ。 単純に三国志の物語をなぞるだけでなく池上遼一✕武論尊節ともいえるハードボイルド的独特な世界観が、三国志でも大暴れです。 特筆点は、劉備が日本人としていたり(正確には、劉備だった人間を殺して、劉備を名乗る日本人)、趙雲が女性だったり、張角が生きていたり、これも独自の設定をいれて読者をわかせてくれます。 三国志の熱狂的なファンの人は、この改変に怒られるかもしれませんが、 自分は全くアリです。 歴史作品は、むしろこういう想像力かきたててくれるほうが好きだったりします。 本当は何が起きたかなんて誰もわからないわけだし。 (もともと、池上遼一✕武論尊のタッグが描いた名作「HEAT-灼熱-」も好きだったというのも一理あります。) ベースは史実通りすすんでいるのですが、上記の様に独自の解釈で変化球つけてくるので、まずは横山光輝「三国志」なりで大本の全体像を把握してから読むと、 「お、そうきますか」 と楽しめる1作だと思います。 最初にコレ読んで三国志を知ろうとするのは注意が必要です。 それ以外は呂布を筆頭に、池上遼一の描く漢気(おとこぎ)溢れたキャラが、三国志に登場する野心に燃えるキャラたちと非常にマッチして、物語を彩ってくれます。 数ある三国志漫画に一石を投じた異端的な作品で、いつもの三国志に飽きた人には是非おすすめしたい作品です。
六文銭
六文銭
2021/10/18
誰派?で初めて議論した作品
懐かしさのあまり再読。 いつ読んでも青春時代の甘酸っぱさを思い出します。 誰派で、喧々諤々の議論のはてに絶縁までした奴がいたなぁと思い返すと、今思えばそれだけお熱を出したのは後にも先にも本作だったと痛感します。 この手の作品は主人公ハーレムものになって、女性キャラがあれよあれよと増えていきますが、それでも本作に登場する女性キャラはみんな違ってみんな魅力的です。 元気いっぱいのどストレート「北大路 さつき」 放っておけない妹キャラ「南戸 唯」 毒舌ツンデレ後輩「外村 美鈴」 ひたすら妄想ドジっ子「向井 こずえ」 そして絶対的なヒロインとして君臨する「東城 綾」と「西野つかさ」 こうして、書くと東西南北になって、東條と西野は東西。 すなわち天下分け目の関ヶ原ですね。 ちなみに、私は東城派でした。 なので、当時、最終回はショックでしたよ。 関ヶ原同様、東軍じゃないのかよ、と。 単純に黒髪ロングが好きなのもありますが、 一途に思い続けているのに、ちょっとそれっぽくなっている時もあったのに、最後の最後でこれか~とショックを受けました。 ん十年経った今。 大人になって酸いも甘いも色々経験して、再度読み直したら・・・まぁ、多少ダメージは・・・ 否! やっぱりショックでした! 受け入れられない! そして、全然、成長していない!! 報われないヒロインが推しだと、なんとも悲しい気持ちになりますね。 ロスとはちょっと違う、 あの後一人でどうなっちゃうんだろう とか想像すると切なすぎる!  でもね、だからこそ、俺たちの「東城綾」は、いつまでも輝き続けていると思うんです。 あんな奴のかわりに、俺たちがついているんだと思えるんです。 そう思えば、すこし救われる気がします。 などと、訳のわからないキモイ感想をもちました! なんにせよ、ハーレムものとして最後、濁さず、誤魔化さず、ビシッと決めたのは好感触です。 どんな選択であれ、読者としては主人公の決断をみたいと思うので。 ずっと青春を思い出させてくれる作品だと思います。 60になっても同じように思えたらいいなぁ。
六文銭
六文銭
2021/10/17
偶然手にした力が意味するものは
本田優貴先生は「東京闇虫」「ただ離婚してないだけ」「あたらしい結婚生活」など、現実よりな話が多かったですが、本作はファンタジーっぽい作品。 だけど、これも安定の面白さです。 いじめにより、家に放火までされ家族を亡くした神木と 神木と同じ中学出身で彼らにイキっているが、実際はショボくて、酷いイジメにあっていた先輩・富沢。 このW主人公?ですすむ話。 富澤が、昔いじめられていた相手に拉致られ山奥に捨てられた後、 そこで木のような謎の物体に飲み込まれて不思議な能力を手にする。 そして、うまく制御できないことで、その能力(手からビームがでると自称している)により、前述のいじめられていた相手を、偶然にも、殺害してしまったことから物語が始まります。 そこから、似たような特殊能力をもつ集団が富沢を狙ってきて・・・という展開。 その集団は、国家から秘密裏に組織された集団のようですが、目的や狙いが何なのかは今のところわからず、ただ、こういう暗躍している感じワクワクしますね。 しかも、3巻では、その組織も内部分裂しそうで、二重三重に張り巡らされたスリリングな展開に目が離せないです。 また、二人の主人公も対比的で面白い。 一見まともそうに見えるが、世の中には生きる価値がなく、そういう人間を殺しても問題ないと豪語する、神木。 復讐のため、富沢のような能力を求めて奔走します。 一方、リーゼントの風貌とイキリちらしている様子とは裏腹に根は優しいのか、特殊能力で殺してしまったことを悩んで自首しようとする富沢。 能力も、誰かを守るためにしか使っていない。 (前述の、いじめ相手を殺してしまったのも、神木を守るため) 建前上親友となっておりますが、微妙に噛み合っていない二人の価値観が今後の展開に影響しそうで、最後二人は闘うのかな?とか予想するだけで面白いです。 上述しましたが、3巻に入って組織内部で反乱がおき、大きく動き出してきた感じで、4巻も楽しみになってきました。 神木も能力を手に入れるのだろうか?期待です。
六文銭
六文銭
2021/10/13
Netflixとは違うが、これも良い!#1巻応援
Netflixでドラマ化し、自分も取り憑かれた人間の一人です。 ドラマのほうは、AV業界というテーマがテーマなだけに、裏社会や非合法的なもののつながりをドラマチックに魅せてくれましたが、本作はそのドラマと少し違う印象。 ドラマの方は「村西とおる」を中心に、彼に振り回される人たち、彼を利用する人達など脇役もしっかり魅力的で物語をかためていましたが、本作はより「村西とおるという人間」を掘り下げた感じです。 (まだ1巻なのでなんともですが) 大筋のストーリーも少し違いますね。 ドラマは特に裏社会との関わりなどが脚色されており、 たぶん、本作のほうがより事実なんでしょう。 とはいえ、魅力が損なったと言いたいわけではありません。 どっちも面白いです。 作家さんが「海賊とよばれた男」を描いただけに、人物描写がとても魅力的。 ゴリゴリで法的にアウトなことしているのですが、その破天荒さや、常人では理解できない勢い・熱量がハンパない人物だけに、それをきっちり描く様は、とても爽快です。 まさに漫画的な人物「村西とおる」の魅力が、つまっております。 昔、日本でこんなことやった人がいたんだというのは、とても面白いので、知らない人にはぜひオススメしたいです。 最後に彼の名言であり、人物そのものを表した一言をのせておきます。 この言葉で気にいった人はぜひ、彼の生き様を読んでみてください。 (自分、その一人でした) 「人生、死んでしまいたいときには下を見ろ、俺がいる。」
六文銭
六文銭
2021/09/30
小中高時代はクラスの人間関係=全世界って話
この年になってふり返れることだから言えることなのだろうけど、 小中高の人間関係って意味ないよなぁって話。 自分が元々、そこまで友達多くないというのは百理あるが、 それでも、小中高はイジメられることなく無難に過ごせてきた。 なんなら、放課後は遊んだり、ダベる程度のいわゆる「友人」はいた。 それがどうでしょうか。 この歳になって、まだ付き合っている小中高の友人0です。 というか、どのグレードでも、卒業したら一度もあってない。 その程度の人間関係なのに、昔はそれが全てなんですよね。 だから、イジメられて自殺してしまう子がいる。 大したことでもないのに、それが自分の全世界だから。 本作は、それをまさにマンガにしてくれた作品です。 クラスで、ちょっとしたことでハブられてしまった主人公の話。 その時は、酷い悲しみにくれますが、環境がかわることで少しづつよくなっていき、さらに年を食ってくると、あのときの苦しみってなんだったんだろう、大したことないんだなぁと思えてしまったという流れ。 すごく共感できた。 現在進行系で学校内でうまくいっていない全ての人を勇気づけてくれる作品だと思います。 今が全てではないし、将来になれば必ず自分の居場所が見つかるんだってことを感じさせてくれます。 自分もそうでした。 卒業したら会わなくなるような大して面白くもないフワッとした関係でも、将来的にはもっと素晴らしい人たちと出会えます。 事実としてあります。 人間関係なんて、ハブられたら終わり、選ばれなければ終わり、なんかじゃない。 いや、選ばれる必要もない。 こっちから選んでやるわ!くらいなスタンスが調度良いのでしょうね。
六文銭
六文銭
2021/09/30
唯一無二「フジリュー」というセンス
まず、皆思うのが、巻数を重ねるごとに 「絵柄変わってない?」 ということだと思います。 最初のほうはシュッとしているのに、だんだん靴とかガンダムみたいになっていきます。 本題。 小さい頃どハマリして再読。 今でも、最後にかけて畳かける摩訶不思議な展開は、ドラッグやっているかのような中毒性があります。(ドラッグやったことないけど。) 中国の古典怪奇小説『封神演義』を原作としながら、作者の類稀なるセンスによって大胆にアレンジしたところが、本作の魅力だと思います。 SF、ファンタジー、ギャグ、バトルの要素を取り入れつつ、ちょいちょい美形キャラも出して…といった上質な少年漫画として仕上がってます。 自分自身、『史記』における『キングダム』同様、 有名原作を「忠実」に再現したから面白いわけではないと常々思っているんですね。 同じ題材でも、ストーリーの構成や演出、登場人物のキャラ付けなど、作家によって異なりますよね。 そこが、ポイントなのだとしたら、作者のもつ独創的発想と幻想的なデザインに、摩訶不思議な古典小説が、見事にマッチしたからでしょう。 本作がここまでヒットしたのは、そこにあると改めて思いました。 余談ですが、何年たってもスープーシャンは可愛いっすね。
六文銭
六文銭
2021/09/30
涙腺崩壊しすぎて読むのが何度もとまる
医療マンガは数あれど、産婦人科で、ここまでリアルな話を初めて読みました。 ドラマチックな展開などありません。 淡々とした生と死の現実があります。 最近「親ガチャ」なんていう言葉が流行ってますが、 正直、自分自身も家庭環境に恵まれたほうではなかったので、 そういう発言する人たちを 「できない言い訳だろ」 と嫌悪感すら感じていたのですが、撤回します。 親によって子供の人生は左右されます。これは事実です。 それこそ、産まれてこれるのかどうかさえも。 本作は、そういった様々な親の姿が生々しく描かれております。 際立つのは、恵まれない子供たち。 中絶、死産、障害、そして虐待。 子を持つ親としては、これを読むのが本当にツラくて、 基本1話完結型なのですが、読むたびに毎度ボロボロになります。 と、同時に、とても考えさせられました。 子供の生きる力は、親にとって希望だと思っていましたが、 絶望な人もいる。 子供の期待に応えられず、つぶれてしまう人もいる。 そうしたとき、どうすればよかったのだろう?何ができるんだろう? 心底、悩みます。 個人の問題なのか、行政の問題なのか。 本作に出てくるような恵まれない子は一部でしかなく、 この国にもっと大勢いるのだと思うと、よりそう思います。 未来の力であるはずの子どもたちが、このような状況におかれていると知るよいきっかけになりました。 マンガと侮るなかれ。 虐待件数上昇中とか、そんな単純な数字でははかれない現実が、 鮮明に心にきざまれます。 あらためてこういうマンガが広く普及して、考えるきっかけになって欲しいと思いました。
六文銭
六文銭
2021/09/26
ネット広告(というかコラ画像)につられて
📷
ネット広告が死ぬほど出ていたので、読んでみました。 ネット広告・・・というか、コラ画像って言ったほうが正しいかもしれません。 添付画像の、セリフや画像を改変しているものが色々あって、逆に興味が湧いた感じ。 内容としては、まぁ、あの広告通りの展開(その後も含めて)なんで、 期待していた方、安心してお読みください。 現場からは以上です・・・と終わりたいところですが、内容をもう少しだけ。 ゾンビが溢れた世界で、主人公だけなぜか襲われない設定。 俺TUEEEというわけではなく、主人公自体、一般人で強くはないのですが、他の人間と違って自由に動き回れることで色々メリットがあるのが面白いです。 街を歩いていると、偶然、ショッピングモールに「SOS」の垂れ幕がおりて、入ったところ、添付画像の女性キャラと兄弟に出会い・・・という流れ。 彼女たちは主人公のような特異体質がないし、本作のゾンビは俊敏なので、立てこもっている場所からでれない。 そこで、食料などを取りに行くかわりに、体を要求するという主人公。 ゲスの鑑です。 このご時世に、なかなか思い切ったことします。 まだ6話なので、基本はここまでなのですが、 自給自足するため、件の兄妹と街から出て山に移住を考えたり、 何か裏がありそうな無線の連絡がきたりと今後の展開がヨミにくくなって結構楽しみだったりします。 ゾンビサバイバルにご興味のある方はぜひ、おすすめします。 全ページフルカラーだというのも一応補足しておきます。
六文銭
六文銭
2021/09/25
やっぱり母は偉大だった
『猫背を伸ばして』『ピコピコ少年』などで著者の作品にちょいちょい出てくる作者のお母様のお話。 パンチパーマ姿で口うるさく、破天荒ながらも、 時折真理をついてくる金言の数々に胸うたれ、 「押切蓮介の母」ファンも多かったと思います。 実は、 私もその一人です。 本作の内容は、母の若かりし頃のお話。 意外にも母は、父親は警察署長、母親は老舗旅館の女将の娘という、 みるからに良いところの家育ち。 躾に厳しく、それが息子である著者にも口うるさくなっている部分だったのかと納得しました。 母親の母、著者にとっては祖母にあたる方から、連綿と続く人生哲学ともいえる価値観は純粋に良いなぁと思いました。 そうやって、行動指針、習慣は受け継がれていくんだなとシミジミ思いました。 ネタバレになるので詳細は控えさせていただきますが、 家庭環境など、なかなかの波乱万丈な人生で、結果として何事にも動じない、ほろ苦い「人生の味」を滲み出すようになったのかと納得できます。 最後の母の手紙(おそらく直筆)は、 その人生の過程を想像し涙を誘います。 なにはともわれ、母(母の母も)は偉大だと痛感しました。