六文銭
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2022/02/04
私も拾いたい、小銭
その昔 ビル・ゲイツは100ドル札を拾わない なんて話があった。 曰く、ビル・ゲイツは1秒で150ドルくらい稼いでいるから、 道端の金を拾うくらいなら働くだろうという論理だ。 その後、エレベーター内に落ちていた1セントコインを喜々として拾う姿が目撃されたようで、全くのデタラメだったようだ。 世界的な投資家バフェットも、同じように小銭を拾って喜んだのは有名。 何が言いたいかというと 金持ちほど、お金を大事にする ということ。 みーんな、小銭を拾ってんだ。 そういう意味では、カレー沢薫先生も、金持ちの発想といえなくもなく、金持ちになるであろう予感がする。(極論) 本題だが、本作は将来に不安を抱えるカレー沢先生、いろんな手をつかって小銭を稼ぐ方法をリアリティたっぷりに描いてくれてます。 タメになると言えば、タメになる。 ポイ活とか。 でも、やっぱり、 ・・・面倒だな という気分が拭えない。 大体ポイントカード自体、結局使わなくなるからつくらないくらい面倒くさがりなのだ。 有効期限1年とかだと、普通に失効するし。 だから、やはり金持ちというのは徹底的に無駄を省けるだけのマメさがあるんだと思う。 コンビニや自販機でジュース買うんじゃなく、安いスーパーで買うのだ。もしくは、水筒もっている。 そういう意味で、何もせずに拾った小銭は価値があるんだろうなぁと、そんなことを思いました。 最後になりましたが、拾った小銭はちゃんと交番にとどけましょう。犯罪になります。(身も蓋もない)
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2022/01/31
昭和生まれのオタクにはわかりみが深い
少女マンガなのですが、おっさんでも思わずうなるところが沢山あったので書き込みます。 まず、アラフォー世代の中学・高校には 「オタク」 というものの存在が、おそらく今よりも大きくなかったんです。 インターネッツとスマホの普及によるところが大きいと思いますが、 現代では当たり前のことも当時は珍しかった。 例えば、動画配信サービスなんてものがないので、 深夜アニメはリアルでみるしかなく、それを見ている時点で高確率でオタクだったんですよね。 今はいつでもみれるから、そんな考えにもならんのでしょう。 こうした、現代のオタクに対する認識のギャップも本作では魅力です。 そしてそれによるコンプレックスが、当時の記憶を呼び戻し悶ます。 ちょうど黒歴史を開放されたように。 (毎晩深夜アニメみていることが恥ずかしくて、隠していたことも、今となっては良い思い出です) ぜひ青春時代を二次元で満たされた方はおすすめしたい作品です。 過去と現在が交互に物語となっているので、いずれ現代に交わるのだろうか? そんなことを期待しながら次の巻を待ちます。
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2022/01/24
ネタバレ
「31年間彼女がいません」「あっ・・・(察し)」
「自分をさらけだしたほうがいい」 という編集者のアドバイスをうけて 自分をさらけだす = 31年間彼女がいなかった自分が、恋愛をして彼女をつくるまでを漫画にする と宣言してはじまる本作。 え?さらけだすってそういうことなの?というツッコミはいったん横においておいて、エッセイのような著者の体験談がベースとなっているのが特徴です。 彼女をつくるために、合コンなり街コンなりオフ会なりに出向いて、 そこで出会った女性とデートしていく。 この字面だけ追うと、非リアな自分なんかは 「デートに誘って、デートできるだけで十分だろぉぉおお!」 と血涙して憤死しそうになりますが、どっこい、著者自身も自称しているように陰キャなコミュ障なので、1回のデートはうまくいくのですが、なかなか続かない。ましてや彼女にまで到達することは困難な状況。 それに悩み、悪戦苦闘する感じは、共感を超えて疑似体験している気分になります。リアリティがハンパない。 相手の趣味に自分が興味ないと会話を広げられなくなるの、あるある~ 咄嗟に気の利いたこと言えなくなる感じ、わかるわぁ~ まるで、これ自分ですか?と。 自分をみているようで、なんか痛々しくなりました。 それでも、自分と決定的に違うのは「メンドクセ」と断絶せずに、 積極的に色んなことにチャレンジする著者は、本当にすごいなと思いました。 バイタリティもですが、メンタルも。 彼女ができるまで・・・と一見ポップな感じですが、実際、恋愛を通した人間関係も描いていて、そこもまた面白かったです。 著者が色んな人と出会い、時に傷ついて、少しずつ考え方や価値観が変わっていくのも一緒に成長させてもらっている感じがします。 自分のような非リアかつ陰キャには、著者の行動力はとても眩しく、また勇気をもらえました。やればできるのか、と。 3巻で終了がもったいなく、もっと続いて欲しかったな~。
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2022/01/21
色々あかんぞー、これ
アニメ化もされていたので、原作を読んでみました。 読んだ感想は 色々やべぇな・・・この作者 と思いました。 作者さんの自堕落な生活をギャグテイストで描いているのですが、 特に食生活が不健康すぎて、自分の学生時代を思い出して、謎に共感しました。 一人暮らし開始くらいの男性は大体こういう生活になるんじゃないでしょうか。(偏見) 味が濃くて、油っこいものが好き。かつ大酒飲み。 という三重苦(主に内臓系に) 特に、行きつく果ては、 「塩」をつまみにする とかいう描写があって、なんかもう極まってました。 グルメマンガというわけでもないのですが、ちょっとした食事の工夫は試しくなる要素はあります。(概ね体に悪そうですが) 作者なりの食のこだわりもあって、これがおもしろい。 体壊すだろうな~と思って読んでいたら、 案の定、最後のほう肝臓と腎臓が怪しくなっていて、 まぁ、そうだよな・・・ と、それもこみで学びがありました。 ネタとしてやっていたとしても、体はりすぎでしょ。 マンガ読んでも真似するな、という教訓は得られます。 自身の食生活を見直すきっかけにおすすめします。
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2022/01/20
御託はいいからやれ!という勢いを見習いたい
読んで思ったのが、著者の勢いのすごさ。 不動産投資って聞くと、よくわからないのに、額が額なだけに尻込みしませんか? それなのに、この著者はすんごいです。 単純に 不労所得が欲しい  ↓ そうだ、マンション買おう って簡単なノリで始めます。 まず、ここがすごい。普通、こんな考えになりますかね? そんで、もっとすごいのは夫婦の背景。 主人公はマンガ家、旦那さんはタクシー運転手(しかも、本作中は免停で失業中・・・) ・・・失礼を承知でいうのですが、とても不動産投資できるような家計ではないと思うんですよ。 それでも、何が何でも実行にうつすんです。 そこが本当にすごい。 安定した収入があっても、数千万規模のローンなんか怖くて組めないのに、著者は数軒フルローンだったり、あまつさえキャッシングまでして(数十万の規模ですが)不動産に投資します。 この行動力というか決断力というかは、本当に感服します。 まぁ、当然、 不動産収入=ローン返済 となってしまっているようなので、 手元にはあまり残らず、額面上の収入だけが多いため、 税金が激しいという罠にハマってますが・・・ それでもすごいと思います。 不動産投資関連の活字本ありますが、そんなの何冊も読まずに本作1冊読めば全てわかります。 すなわち 御託はいいからとにかくやれ! 金かき集めてでもマンション買え! それを地で教えてくれた作品でした。 不動産投資に関わらず、あらゆることに通じる感じがしました。 絶対金持ちになる発想だよなと思ったら、 娘さんはインターナショナルスクール(学費でン百万)に通わせているようで、ついにセレブなったのかしら・・・。 そうだとしたら、またすんごいなぁ。
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2022/01/17
見た目や雰囲気って大事なんだなって
ただずまいや風貌からデキる雰囲気をまとった鷹野。 実際はポンコツで、さっき言ったことも覚えられないほどの無能っぷり。 でも、オーラだけは半端ないという。 しかも、職業がコンサルというのが、個人的に よくわかってらっしゃる! と膝をうった。 コンサルって、雰囲気が大事で、ぶっちゃけ雰囲気でどうこうなりそうですもんね(失礼) 当たり障りのないことを、 パフォーマンス~とかファネル~とかの横文字や、KPIだのCVRだの3文字英語とかで煙に巻いてくるしね。 ※元コンサル出身の個人的感想で、コンサルに親を殺されたとか恨みがあるわけではないです。 本題。 本作は、ひょんなことで、 同期入社した気弱でうまく喋れない鶸田と、そんな鷹野がタッグをくむことになる。 自信のない鶸田と根拠のない自信だけがある鷹野。 実際は有能な鶸田と、実際はポンコツな鷹野。 それがなぜか良い感じにシナジーを出していくんですね。 鷹野のもつ謎のオーラに圧倒されて、アフォな発言も先方が勝手に忖度して、そこに畳み掛けるように鶸田の分析やロジックが炸裂し、顧客も納得という流れ。 ギャグ的な展開ですが、なんとなくこんな感じだよなと実感してしまう。 大したこと言ってないけど、謎に説得力ある人いますもんね。 逆にすごい良いこと言っているのに、自信がなさげなばかりに、 周囲から賛同得られない人もいる。 なんとなく、この社会の断片をきりとったような作品だと感じました。 自信のない社会人はみんな読んで、なんだこんなもんかと思ってほしい。 最後に、鷹野のどこに行ってもでてくる突拍子のない言動は、純粋に面白いですね。時々、良いこともいうし。
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2022/01/17
中毒性高い「散歩」劇
『吾輩の部屋である』が謎に好きだった私。 その著者の新作ということで手にとったが、これも最高だった。 そもそも『吾輩の部屋である』が、基本的主人公1人が悶々としながら独り言している会話劇?(会話じゃないが)が面白かったのだが、 本作も、基本フォーマットは同じで、犬と散歩しながら一人で話している構図。 それもたわいもない、自販機がどうのとか、この道は通ったの通らないだの、受験勉強がどうのとか、ホントにたわいもない話を延々とする。 それに犬のポン太がモノローグでツッコむ感じ。 たったそれだけのことなのに、すごい中毒性がある。 1話が短くて物足りなく感じるのも理由の1つだろうが、それ以上に著者の日常にあるちょっとした疑問などの着眼点が面白いからだと思う。 ガードレールのつなぎ目のルールとか、この本読まなかったら一生知らなかったと思う。 主人公・りえ子もちょっと残念というか、イタイというか、そこに加えてコミュ障なところもいい。 それに、ポン太が冷静にかつ鋭くツッコむの良い感じです。 時系列がバラバラで、各話いろんな時代のを断片的に描く形式なので、どこかの話とつながっているのも、また楽しいです。 まだ3巻ですが、謎の中毒性があって3回くらい通して読んでしまいました。
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2021/12/30
主従関係ラブコメの世界を初体験した作品
「ロトの紋章」「ハーメルンのバイオリン弾き」のレビューでも書かせていただきましたが、私、ガンガンっ子なアラフォー。 90年代のガンガンといえば上記2作品に加えて「魔法陣グルグル」なんかが筆頭に上がって来るかと思いますが、個人的には本作をいれて四天王的に好きな作品でした。 (ホントは「南国少年パプワくん」「CHŌKOビースト!!」「PON!とキマイラ」「ライオンハート」「TWIN SIGNAL」「刻の大地」「突撃!パッパラ隊」「忍ペンまん丸」「浪漫倶楽部」などなどあります。ホントこの時代のガンガンが大好きでした。) さて本作の内容なのですが、一人暮らしをしている主人公のもとに、冒険家の父親から八角形のリング(支天輪という)が送られてくる。 その輪を覗くと、突如、一人の女性があらわれる。 彼女は、魔法のような不思議な力で主人をあらゆる不幸から守る、通称「守護月天」、名を「シャオリン(シャオ)」だという。 中国の戦国時代を経験している彼女は、現代の平和かつ技術の進歩した時代を目の当たりにして、色々戸惑っては空回りしっぱなし。 そして、この時代のこの世界では守る必要もないことに気づき、むしろ自分の存在が逆に迷惑だと判断して支天輪に戻ってしまう。 しかし、物悲しそうに一人暮らしをしている主人公の姿をみて、彼の孤独や寂しさから守ることを決意して、一緒に住むことになる・・・という流れ。 いわゆる主従ラブコメなのですが、当時これが自分にとって初体験でもあり、すごく新鮮でした。 また、シャオのド天然っぷりと、優しくて健気に主人を守ろうとする姿勢は、ホントに可愛くて、自分の中の何かのアビリティを解放された気分でした。 主従関係だとメイド服っぽい欧州風が多いですが、本作の中華風衣装もまた良いです。 三角関係、当て馬、おじゃま虫などいわゆるラブコメあるあるもふんだんにあるので、ラブコメ好きな人にぜひおすすめしたい作品です。 余談ですが、 SURFACE と聞いて、マイクロソフトのパソコンではなく 二人組の音楽ユニットを思いだせる人とはウマイ酒が飲めると思います。 というのも 「さぁ」 という楽曲が、本作のアニメのOPだったからです。 https://www.youtube.com/watch?v=I2ykU0wTci4 懐かしくて、たまに聞いてしまいます。
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2021/12/29
ファンタジーとギャグの融合が秀逸な初期ガンガンの名作
ロトの紋章のレビューでも書かせていただきましたが、私、昔はガンガンっ子だったんです。 そんで、本作は「ロトの紋章」「魔法陣グルグル」と言った作品と並ぶ、ガンガンの看板作品だったと思っています。(いや、事実そうだと思います) ロトの紋章よりもギャグ強め、魔法陣グルグルよりもファンタジー(シリアス)多めな、いわば中間的な作品だと、私はとらえております。 その内容は、勇者ハーメルンが巨大なバイオリンを武器に、大魔王ケストラーを倒すため北の都を目指し、仲間と旅する王道ファンタジー漫画。 ハーメルンが技として弾く楽曲(クラシック音楽)が、その制作背景に合わせた効力がある形で、魔族と戦っていく。 自然とクラシック音楽を知ることができます。 キャクターも楽器名が多いなど、音楽の世界観を徹底しています。 ただ本作が王道少年マンガと異なるのは、主人公ハーメルンが、金にがめついかったり、外道であること。 特にヒロインであるフルートを売り飛ばそうとしたり、攻撃道具として使ったり(投げたり、囮にしたり)と、やることがえげつない。 この外道っぷりを体をはったギャグとして笑いにしているので、古き良き昭和なドリフな香りがします。 今の時代にやったらヤバそうな内容(ジェンダー的な、差別的なアレで)なのですが、少年時代の昔はこれが面白かったんですよね。 今、読み直すと結構ヒヤヒヤしますが・・・。 とはいえ、そうしたギャグから個々のキャラが自ずと立ってきて(敵キャラも含)、魅力的になりますし、ある種のハイテンションギャグはテンポがよいです。 特にハーメルンの武器がバイオリンなのですが、表紙の画像をみていただければわかりますが、チェロみたいな大きさで、また弾き方をノーマルなものから変えていたりとしているのですが、これはおそらく誰もが知っているバイオリンを楽器として選び、かつ少年漫画らしく絵が映えるようにでかくしたのだと思うと、作者のデフォルメ力というか、表現力が際立っていると思います。 リアルなバイオリンだったら、小さいから戦っている感じしないですし、チェロとかわ言われても楽器にあかるくない子供はわからんすからね。 初期ガンガンの名作と君臨していましたが、 今だ続編が続いていたりと令和の時代でも愛されている作品です。 ギャグばっか記載しましたが、ファンタジー漫画としても特に人間関係のストーリー(パンドラのあたりや主人公の正体など)もなかなか濃厚なのでそちらも期待してよいと思います。 最後、余談ですが本作を知っている人と話すと決まって「アニメ」の話がでてきます。 本作を読んで興味が出た方は、アニメもチェックしてみると良いかもしれません。 自分はリアルタイム世代でしたが 「どうしてこうなった?」 と腰抜かしました。 原作を読んでから見る機会があればぜひ。 それも今となっては良い思い出です。
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2021/12/28
すぐそばにいるのに私、カレーのこと何も知ろうとしなかった
美味しんぼの24巻で海原雄山が 「カレーの定義とはなんぞや」 と押問答して 「インドにそもそもカレー粉なんてない」 的なことを言いいだして、 「な、なんだってー!」 と衝撃を受けた、数十年前。 カレーを決めづけるスパイスなんてものもないらしく、ドロドロしていればカレーというわけでもないし(たしかにスープカレーがある)、辛ければカレーでもない(たしかにココナッツカレーという甘いカレーもある)、黄色液体だからカレーというわけでもない。(たしかにグリーンカレーもある) じゃあ俺が今まで食べていたのは何だったんだ・・・と恐怖し、それからというもの、夜しか眠れない日々を過ごす。 インターネッツがこれほど発達した今でも、ロクに調べもせず、今なお、わからないままカレーが出れば、それがどんな色・形状であろうと出されるままウマウマと食べている知的好奇心の欠片もないだらしない人間が、この私なのだが、本作を読んで改めようと思いました。 本作のキャラたちはカレーをちゃんと知ろうとして偉いです。 見習いたいです。 本作で知ったことはナンはインドの庶民的な料理ではないらしい。 「な、ナンだってー!」(しょーもな) 衝撃パート2を受けながら、 未だ謎が多いカレーについて歴史など知れるのが本作の特徴です。 何十年かぶりに、主人公のようにカレーについて考えようと思いました。 あと誰もが知っているチェーン店での食べ方とか、バリエーションとか色々あって、読んでいると、かなりカレーが食べたくなります。 みんな誰しも「心のカレー」があると思いますので、 食べる前の準備として本作を読むと2倍美味しく食べれると思います。 ぜひ、食べる前に読んでほしいです。 しかし、これほど日本に浸透した食べ物なのに、 実際、中に何が入っているか、特にスパイスがなんだかわからないのもすごいですね。
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2021/12/27
最新刊によせて
ベルセルクとは中学~高校にかけて読み始た思い出深い作品です。 当時はジャンプ系の主人公に食傷気味だったこともあり、本作の「ガッツ」の存在が、自分の中では斬新かつ衝撃的でした。 復讐のために使徒とよばれる魔物を、それこそ何でも使って倒していく(モブキャラだとしても人間をも利用する感じ)、ダークヒーローの象徴的なキャラだと思います。 勧善懲悪・人類皆兄弟みたいな博愛的な主人公とは真逆で、自身の、ある意味利己的な復讐のために戦い続ける様は、シビれました。 以降、もう20年くらい?新刊がでればチェックしている数少ない作品の一つ。 著者の訃報には、最後まで読みたかったという諦念だけでなく、著者のほうがさぞ無念だったろうという想像で、悲しいやら悔しいやら得も言われぬ感情が襲いました。それこそ中高時代の思い出が走馬灯のように駆け巡って思い出補正も相まってしばらく昔の巻を何度も読んでましたね。 内容は・・・まぁ世界的に著名な作品なので割愛させていただきますが、 自分の思いをば。 「長編作品あるある」なのですが、読んでいた当初から自分の中にある「作品への期待値」から徐々にずれていくことって多々あると思うんですよね。 「ベルセルク」は、自分にとってそれなんです。 (だからといってダメだとか、言うつもりは全くないです。) 自分は、シールケが出てきたあたり、魔法の概念(妖精パックも魔法といえば魔法ですが・・・。)や狂戦士の鎧みたいなものが出てきてから ん? と思うことが多くなりました。 なんというか、自分はガッツが生身の人間として「超常的な存在(ゴッドハンドとか)」と戦っていく様にシビれたんですよね。 それこそ、身一つ、大剣一つで、ズタボロになりながらも這いつくばってでも、倒していく様が圧巻で好きだったんです。 どっこい、そこに、仲間として同じく超常的なものが入り込んでくるとちょっと何でもアリだなってなってしまったんですよね。 もちろん強さのインフレがおこりがちだし 「どうやってコッドハンドに勝つんだろう、いや無理だろ」 と思っていた節もあるので、この加勢は、むしろ必然と言えば必然だし、物語として深味がましてきたとも思います。 でもやっぱりガッツの腕力のみを期待していたので、このズレが最新刊までずっと続いちゃってますね。 (何度も言うようですが、だからといって面白さが損なわれたとか、つまらないとかではないです。) 私の中では「進撃の巨人」も同様で、どうやって人類が巨人と立ち向かっていくのだろうとワクワクしていた矢先に、3巻くらいでいきなり主人公が巨人になって、あれーと感じたもの近いです。 変な嗜好で恐縮です。 好き嫌い混ざったとしても、やっぱりベルセルクは好きな方に傾くし、それこそたぶん一生読み続ける作品の一つです。 今後どうなるか未定なようですが、未完のまま終わらせるのか、代筆させるのか、いずれの場合でも変わらぬ思いでこの作品を大事にしたいと思いました。
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2021/11/27
崩壊した日本の再統一をして何を目指すのか?
久しぶりに新作を読んで うおお! ってなりました。 というのも、自分は ・歴史、特に戦国時代が好き ・軍師的なポジションの人間(策略巡らす人間)が好き ・今の日本やばくね?という謎の不安 という3点が自分の中にあって、これが本作によって見事に表現されていたからです。 さて、その内容はといいますと、 第4次産業の敗北、教育の低下、それによって日本は衰退。 核戦争が起き、日本に難民があふれ、それによってコロナ以上の感染症が広がる。 貧富の格差も相まって、民衆の間で暴動がおき日本は滅亡。 結果、3つの国に分離してしまう。 この時点でめちゃくちゃおもしろくなる予感がありませんか? 少なくとも私は冒頭で、やられました。 主人公は、3つに分離した日本国の1つ「大和」出身で、 知識もあり弁も立つことから軍師として、日本の統一を目指すという話。 主人公がこれを目指した動機も・・・ホント胸アツなんでぜひ読んで欲しいですっ。 かわぐちかいじの「太陽の黙示録」を彷彿とさせますが、 こっちは諸外国による侵入とかあるのか、まだ不明ですね。 題材としては凄まじく広がりがあってイヤでも期待してしまうので、 逆に怖いです。 とにもかくにも続きが楽しみになったのはホント久しぶりで、はやく2話が読みたいです。 最後に、余談ですが 日本が崩壊して三国に分離 とか荒唐無稽のように聞こえるかもしれませんが、ホントにそうでしょうか? 本作の冒頭にあったように、データ✕AIの第4次産業の敗北、教育水準の低下、結果、日本が衰退していくというのは、あながち間違いではない(可能性としてありうる)のではないかと考えます。 もはや日本が誇れる産業はロクになく、高齢化対策ばかりで未来への投資(主に大学などの高等教育機関への投資)が少ないのが今の日本です。 私は、このマンガが日本を再統一し、そして世界と何でどう戦っていくのかまで明示して欲しい。 そしてこれを若い人が読んで危機意識を与えかつ未来への道標になるような作品になって欲しいです。 本作こそ今この国に必要なマンガだと、個人的に思います。