nyae
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2020/11/10
どうしようもなく憎くて愛しい謎の女
作家・美倉が、酒に溺れた浮浪者・ばるぼらを道端で拾うところから物語が始まり、同時に美倉の人生が破滅へ向かうスタートが切られます。売れっ子小説家であるがゆえに様々なしがらみに囚われた生活を送っている美倉に対しばるぼらは、人の金を使って酒をあおり、機嫌を損ねれば別の男のところへ去り、行くところがなくなればふらっと美倉の元へ戻る、の繰り返しという気まぐれな生き方。 そんな傍若無人なばるぼらに振り回されて少しずつ人生の歯車が狂っていくのに、ばるぼらがそばにいないと何もできなくなる美倉。これは恋なのか、愛なのか、すべては毒に冒されて見たただの幻なのか…? ばるぼらの正体が魔女だと美倉が言い張るエピソードもあり、魔法は使えないけど、魔力はあるんじゃないかと思わせる意味では本当に魔女なのかもしれません。 ばるぼらに謎の魅力があるのも事実ですが、美倉が底抜けのお人好しなんだろうというのも読んでいて常に思うところでした。出会ってはいけないふたりだったんだと思います。 映画は特に見るつもりはなかったけど、読んでみると、これが実写映像化されるということに非常に興味深くなりました。
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2020/11/08
ネタバレ
圏外から圏内へ転がり込む女のドキュメント
こんなドキュメンタリー映画があったら絶対観る。 地味・ブスを自称するヒロインも、漫画の中では人並み以上の可愛さで描かれる少女漫画の不思議。それに違和感を感じていたくせに、いざ「じゃあリアルなやつで描きますね」と言われると途端に不安になってしまう私の不甲斐なさよ… 本作の主人公・美人(みと)は「恋愛対象圏外の垢抜けない地味女子(クラスにひとりふたりは居るやつ)」をこれほど忠実に再現したかと思われるキャラクターです。これは美人を差別しなかったひとりの男子のために地道な努力を重ねて、圏外女子から対象範囲内女子(それでも上位グループには入らない感じの)にのし上がる成長の記録。 面白いのが、自分を変えようと決意させてくれた国松くんとの恋だけを描くのではなく、中学卒業と同時に一旦区切りを付けたら、高校から「第二幕」が始まるところ。「国松くん一筋じゃないのかよ」なんて野次はゴミよりも無意味。環境が変われば人間関係も変わる。顔面偏差値とか関係なく、容姿に対して“もっとこうだったら”と思ったことがある人に、美人に自分を投影させない人なんていないと思う。美人はもう私です。
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2020/10/16
理解が困難すぎて、面白い #1巻応援
コミックビーム購読してるんですが、これは単行本でまとめて読まないとダメなやつだと判断し連載は追ってませんでした。そして1巻が出たので待ってましたとばかりに読みました。しかし…一度通して読んだだけではこの物語の全体が全く見えてこない。というより、何もわからない。けど、読み返したり、重要だと思われるページに戻ったりを繰り返すと、やっと何か少しずつ掴めてきます。むしろそれほどに読者に親切じゃないところが逆に魅力的です。読み解きたい欲が湧いてくる。 とはいえ、感想らしい感想はまだ言えない。けどもしかしたらイムリのような壮大な物語になる可能性を秘めていると感じたので、#1巻応援クチコミを書こうと思いました。とりあえず早くタイトル「伽と遊撃」の意味が知りたい! 物語のキーワードは、幻想や妄想などフィクションの粛清、獣人的なAIロボット、チップで管理される記憶、時間軸のコントロール…?今後は過去や未来を行ったり来たりするような展開が待ってるような気がする。 あとは、非常に個性的なキャラクターが多い。記憶チップを開発したリヒト、彼には生きていてほしい。また100年ほど昔、時間の研究をしていた学者が遺し、リヒトがある意味蘇らせた野分兄弟。彼らががこれからどんな活躍をするのかが一番楽しみです。
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2020/10/14
ネタバレ
キャラ設定が神
バイを自称しながら、自分のことが好きな女友達には「いつも男の子しか見てない」と指摘され悩む小木くん。彼は性自認は男だけどネイルやメイク、スカート(女装ではない)も好んで身につける子です。そんな彼が、盲目の高校生・田子真也くんに一目惚れしました。いつも飄々として何事にも動じない田子くんは、小木くんの気持ちを知り、夏休みのあいだだけ期間限定で付き合うことを提案します。片思いが成就すると思ってない小木くんも、期間限定ならと割り切ります。 ノンケだからか、田子くんだからか、奔放な振る舞いで小木くんは戸惑うばかりで、今後小木くんに対する田子くんの気持ちがどう変化するかはわかりません。 途中、田子くんのお兄さんが出てきて当然ながら小木くんと田子くんの関係に疑問を持ちます。身なりが中性的な小木くんを見て、お兄さんに「(見えなくて)わからないから、真也なの?」と言われて1巻が終わります。 すーーーげーーーーーー 良いな…まだ完結してないけど、良い。良いよ。 ちゃんと女性キャラもしっかりした立ち位置で出てくるのもすごくいい。 性の部分だけでなく、ファッションにもそれぞれのキャラにアイデンティティがあるのがわかるのもいい。BL漫画って他の作品とキャラがかぶってることも普通にあるんだけど、田子くんと小木くん(あと佳奈子ちゃん)は唯一無二なんじゃないかと思います。