あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
1年以上前
輝く人の物語は私の心を掴むが、輝けずに足掻き、うつむく人の物語は私の足首を捉えてしばし立ち止まらせる。その時私は「道」を振り返る。 ★★★ 二篇の物語が紡がれる。 『夏・ユートピアノ』は調律師の卵とピアニストの娘の物語。偉大な親を持つもの同士、苦しみや諦めの中、辛うじて調律師の卵が、時を止めてしまったピアニストの娘の手を取る。 ほんのひととき、共にいた程度の関係。それで何故二人が前を向けるのか、言葉では明示されないが実感はよく伝わる。調律の機微、少し進む事の重要性、大事な物から離れない事。過程の一コマひとコマが切実なのだ。 『あさがくる』は宝塚受験に失敗した人と、これから受験する人の物語。他人との関係が下手な受験生も、彼女と関わりながら落選の傷が癒えない人も、なかなかもどかしい。 しかし最後まで読むと、自分にもあるそのもどかしさが決して無意味なものではない、という希望が見出せる。 ★★★ 一筋縄ではいかない、強いカタルシスもない、もどかしい二人の物語はそれでも、私の希望になる。それはかつて何かを得ようともがき、得られずに終わった「道」も実は終わっていない、という事を描くから。 二人の道も、私の道も、本当の終わりまではどんなにもどかしくても終わらない。そして本当の終わりまでは、何度でも立ち上がっていいのだ……そんななかなか気付きにくい勇気をもらった気がした。
さいろく
さいろく
1年以上前
マンバの「●●●●さんにおすすめ作品」で一番上に出てきてたのでついつい読んでしまった・・・ なんでこれを薦められたのかが気になる(笑) レディコミっぽい感じの内容で、マンガ読みならこれはファンタジーではないというのがわかるよね?という強制力が働く。 内容はもうドロドロとしか言いようがない。 凄まじい話だったが、現実でもこのぐらいのことはあり得るんだろうなぁ… 22歳の主人公はいわゆる若妻、旦那は37歳。母が43歳で父は海外?にいるはずなのに母が妊娠…それを22歳の主人公が無邪気に「弟かな?妹かな?」って言っててもう地獄だった。 が、基本的には主人公の頭の中ですごいスピードで整理されていき、ほぼ結論が出てるのに、言い訳できないような証拠となる場面に主人公が出会うまではずっと濁され続けてなんとかなっちゃってるあたりが逆にリアリティがある。 最後本当にこの後どうなっていくのか、10年後とかを見せてほしかったな… 全然ハッピーエンドじゃないのにハッピーな感じの背景で「完」って〆られててちょっと笑ってしまったが、冷静に考えたら凄い物語でした。
兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前
ある朝目覚めたら突然、股間に見慣れないものが生えていたら貴女はどうしますか? 本作は「異性化症」というものが存在しており、主人公の凛子が突発性の症状によって男性化してしまうところから物語が幕を開けます。 生えてきてしまったものそれ自体や、それに伴って今までには存在しなかった情動に翻弄されていく様、またそれに対する周囲のリアクションが臨場感たっぷりに描かれていきます。 ある種、その筋の薄い本の導入にありそうなifであり、実際にそれに近いシチュエーションが登場したりエロコメチックな部分もあったりします。5話の「デスたわわ」(※サブタイトル)などはその真骨頂であり、ある意味見所のひとつと言えるでしょう。ただ、本作の魅力はそこに留まりません。 自分の意思ではどうしようもない外的な要因によって心を悩まされたり体のあり方に戸惑ったりする様は、誰しもが思春期に抱く体験と実質的に同質です。そんな状況下で、学校という社会の縮図で他者と関わりながら生活を営み続けねばならない。当然、そこでは諸々の問題も発生しますし、逆にそこで触れる人の優しさがありがたさの極みであったりもします。 憧れの結城先輩、美人の真央先輩、クラスメイトのエキセントリックな紗夜と豊満なすばるなど、魅力的な脇役たちとの関係性の変化も含め、サスペンスフルな部分もあり続きが気になります。 なお「細かすぎて伝わらない『私たちは元女子です』の好きなところ」を挙げるとすると ・「柔術廻戦」 ・ぱおん!→んっ… ・レベル4:りんご ・凛子の父親がシュトレンを好きすぎるところ です。
兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前
突然ですが、『大門寺と問題児』1巻の範囲で好きな大門寺先生のツッコミランキングを発表します。 第5位 「沖縄の妖怪がなんでこんなところにいるんだ」 突然出てきたキジムナーという単語に対して、確かな知性を感じさせながら的確に冷静に突っ込む様が好きです。 第4位 「急ぐとディスが入るってのはどういう理屈なんだ」 息を吸うようにまひるにディスられる先生。「ディスに対するアンサーは先生のスキルじゃ返せないぞ」というアンサーも含めて好きです。 第3位 「相手は魔王じゃなくて1組とか3組だぞ」 もしかしたら1組とか3組に村を焼かれたり親を殺されたりしてまひるは感情が表に出てこないのかもしれません。あ、父親は登場してました。好きです。 第2位 「学校で酒池肉林しようとするんじゃない」 学級委員の職権を濫用して、妲己の如く贅の限りを尽くそうとする、小学生にあるまじき深い欲望を湛えたまひるが好きです。 第1位 「神話になろうとするんじゃない」 王を超えて神話の域まで達そうとする貪欲なるベイロスより貪欲で強欲な壺より強欲なまひるが好きです。少年よ神話になれ。 「マリオのスーパーピクロスクリアしてんだ」、「ウィザードリィじゃないんだぞ」、「ファイナルファンタジー5」などレトロゲームの名前がちょこちょこ出てくるのも好きです。マイディガードのラーニングは大変なんです。 校長が突然UKロックを好きになるところも、まひるの父親の狂い具合も、あかねちゃんも小春ちゃんも暮先生も好きです。 つまるところ、私はこのマンガがとても好きです。