あらすじ

これは、国運を賭けた「ドミノ倒し」なのだ。――海軍、陸軍、連合国、枢軸国……さまざまな思惑が絡み合うなか、内地では滝(たき)が講和に向け静かに動いていた。それは、「ドミノ倒し」のようにひとつの間違いも許されない慎重な作業。そして、すべての鍵を握るマリアナの原爆。草加(くさか)が最初の一枚を倒したとき――我々の知る歴史は消滅する。
ジパング 1巻

200X年のイージス艦が、1942年にタイムスリップしたならば――。“来(きた)る”太平洋戦争が、その先の“みらい”が激震する!!――海上自衛隊所属、最新鋭イージス艦「みらい」、謎の暴風雨に遭遇(そうぐう)。そしてすべての僚艦(りょうかん)、失踪(ロスト)……。やがて、1942年・ミッドウェー海戦域のド真ん中に“出現”した「みらい」は、撃墜(げきつい)された海軍将校を救助。そして、「歴史」は塗り替えられる――!!講談社漫画賞受賞。圧倒的なイマジネーションで描き出される、歴史横断超大作!

ジパング 2巻

かわぐちかいじが『沈黙の艦隊』を超えるスケールで描く、海と戦いの黙示録(もくしろく)!!――1942年・ミッドウェー海戦域にタイムスリップした21世紀のイージス艦「みらい」の副長・角松は、歴史的に“死ぬ運命だった”謎の大日本帝国海軍少佐・草加(くさか)を救命。そのまなざしに運命を感じた角松は、歴史の塗り替えを覚悟しながら、太平洋戦争の“真実”と“未来”を開示する!一方その頃、連合艦隊司令長官・山本五十六(いそろく)も、「みらい」の存在に気付きはじめていた……!

ジパング 3巻

1942年、太平洋戦争直前のシンガポール。21世紀のイージス艦「みらい」に救命された海軍将校・草加(くさか)は、大日本帝国軍を欺(あざむ)き、燃料補給のために奔走(ほんそう)。しかし、すんでのところでかつての部下・津田に“正体”を見破られ、同行していた「みらい」副長・角松とともに捕捉(ほそく)される!“戦時を生きる軍人たち”の想いを知った角松は、「ある賭け」に出る。そして舵(かじ)は一路、ガダルカナルへ……!

ジパング 4巻

1942年、ガダルカナル。大日本帝国軍の「惨敗の史実」を知る“未来人”の角松らは、泥沼回避を狙(ねら)った上陸作戦「オペレーション・サジタリウス」を決行!一方その頃、“未来を知る元・海軍将校”草加(くさか)は、連合艦隊司令長官・山本五十六(いそろく)と、信じがたい極秘作戦を用意していた!“無条件降伏から始まる屈辱の戦後”を認めぬ草加には、角松たちの21世紀とは違う未来=「ジパング」が、見えていた――!!

ジパング 5巻

「みらい」総員に告ぐ。山本長官からの“夏島への上陸許可”と慰安の申し出、謹んで受ける!――南太平洋中心部、トラック諸島。イージス艦「みらい」の乗員は、2ヵ月ぶりの上陸解禁に浮かれていた。一方その頃、戦艦「大和」――。陸軍・辻参謀は、“統帥権(とうすいけん)の絶対性”をタテに、「ガダルカナル奪還(だっかん)命令」を山本に要求。“未来の敗戦史”を知る山本は、せめて犠牲を最小限に抑えるべく、「あの艦(ふね)」を要求するのだが……!?

ジパング 6巻

俺たち自衛隊は、“矛(ほこ)”じゃない。日本人すべての“盾(たて)”なんだ!――自衛隊所属のイージス艦「みらい」は、滝少佐の護衛を連れてサイパン沖を航行中。進撃を重んじる“矛”のごとき軍人・滝は、山本長官の命にそむき、誘導したアメリカ機による「みらい」撃沈を画策していた!危機、せまる。「みらい」は、ついに非常事態(ハルマゲドン)用の自動発射管制モードを選択するのか……!?本編のほか、外伝「マレーの残照」も同時収録!

ジパング 7巻

21世紀のイージス艦、1942年の横須賀への“帰港”なるか――。石原莞爾(いしわら・かんじ)との密約を終えた草加(くさか)は、太平洋戦争の早期講和を目標に、かつての部下・津田に対して「ヒトラー暗殺」を指示、自身は満州へ渡ることに。一方、帝国軍部に警戒された「みらい」は横須賀入港を許されず、要塞(ようさい)島たる猿島沖への停泊を命じられる。この決定を不服とした「みらい」梅津艦長は、反対に“人質”を要求。なんと、これに応じたのは海軍大将・米内光政(よない・みつまさ)だった――。

ジパング 8巻

草加(くさか)の暗殺計画から脱出した“ラストエンペラー”溥儀(ふぎ)は、角松にかくまわれることに。大失態に憤(いきどお)る陸軍大将・梅津美治郎(うめづ・よしじろう)だが、関東軍の“謀反(むほん)”を許すこととなり……。そして、更けゆく満州の夜。銃を携(たずさ)え、再会を果たした草加と角松は……!?本編のほか、外伝「至誠に悖(もと)るなかりしか」を同時収録!

ジパング 9巻

緊迫の「アリュージョン編」突入!!DDH(海上自衛艦)「みらい」、米巨大戦艦「ノースカロライナ」と激突!!――流転する「もう一つの歴史」の中で、米軍によるアリューシャン奪回の時期が早まろうとしていた。このままでは、孤立したアッツ、キスカは全滅か……。「みらい」は、“玉砕”寸前の帝国軍を撤退させるべく、出航。草加(くさか)のライバル・滝参謀とともに、濃霧の海戦を展開するのだが……!?

ジパング 10巻

舞台は戦火の欧州へ。もうひとつの歴史を創るため、草加(くさか)が欲するものは、独裁者(ヒトラー)の死。――帝国軍のアッツ、キスカ撤退作戦を成功させた「みらい」は、負傷した梅津に代えて、角松を艦長に頂く。その頃、地下潜行中の草加(くさか)は、腹心・津田に同盟国の統帥(とうすい)=ヒトラー暗殺を指示。この極秘計画の後ろ盾(だて)は、やはり“あの人物”だった……!

ジパング 11巻

再会、衝撃の告白。そして静寂のクライマックス――。舞台は大空襲のベルリンの夜、「グラーフ・ツェッペリン」号謁見(えっけん)を経て、孤高の別荘「ケールシュタインハウス」へ……。総統(ヒトラー)は暗殺者・津田に微笑みかけ、草加(くさか)は吹雪(ふぶき)の中で津田を待つ。そして草加の腹蔵する“もう一つの訪欧目的”が、明らかになる……!本編のほか、外伝「フレンドシップ」を同時収録!

ジパング 12巻

史上初の「核」が、南太平洋、ヨーロッパ、そして満州へ……運命の連鎖を引き起こす!!連合艦隊の戦線縮小作戦に加わり、トラック泊地からパラオへ向かう「みらい」。一方草加(くさか)は、ヨーロッパで濃縮ウランの入手を画策していた……。未来を知る男たちが、“歴史”の最前線へと走り出す――!講談社漫画賞受賞。かわぐちかいじが圧倒的なイマジネーションで描き出す、歴史横断超大作!

ジパング 13巻

米軍vs.「みらい」部隊……“セクションS”始動。太平洋の“謎(リドル)”を排除せよ!――濃縮ウランを手に満州に戻った草加(くさか)は、帝国海軍に捕捉(ほそく)される。しかしその隠密裏(おんみつり)では、石原莞爾(いしわら・かんじ)が動いていた!一方、米海軍内では、謎の艦「みらい」と決着をつけるべく、大規模な秘密作戦が始動。決戦の海はニューギニア沖、ダンピール海峡……!!

ジパング 14巻

ただ仲間を守るために……。「みらい」に迫る、回避不可能な500ポンド爆弾。機長・佐竹に迷いはなかった。艦載多目的偏向翼機「海鳥」、壮絶なるラストフライト!!そして“60年後の未来人”たちは、存在意義に揺れはじめる。自衛隊員を貫くべきか、それとも帝国海軍の一員となるべきなのか……!?かわぐちかいじが描き出す、海と戦いの黙示録(もくしろく)。本編のほか、外伝「守るべきもの」前後編を同時収録!

ジパング 15巻

「みらい」、決裂!!「この戦争に積極的に参加する」……菊池の考えに賛同する乗員たちが、ついに行動を起こす。だが、角松と尾栗(おぐり)にも“切り札”があった――。かわぐちかいじが「沈黙の艦隊」を超えるスケールで描き出す、海と戦いの黙示録(もくしろく)!!

ジパング 16巻

「この」日本は、紛れ込んだ異物を許さない。――菊池派のクーデターを受け、艦長・角松派5名は“下艦”。彼らと入れ替わるように「みらい」へ招き入れられたのは、歴史の改竄(かいざん)を目指す草加(くさか)、その男……。いつしか言動を怪しまれた角松と篠原は、特高警察に拘束されるのだが、素性を明かせぬ二人を待つのは、繰り返される苛烈(かれつ)な拷問(ごうもん)なのだった……!!

ジパング 17巻

アラビア海が、炎に染まる……。それは、「みらい」の記録に存在せぬ戦い。――“60年後のイージス艦”「みらい」を乗っ取った男、草加(くさか)。彼の立案したインド洋からの連合国軍への攻撃が開始された。“歴史”を大きく変えていく、戦いの火蓋(ひぶた)が切って落とされる。そしてそれは、「みらい」の乗務員から“自衛官”という意識を失わせていく戦いでもあった……!

ジパング 18巻

1/1000秒で演算された、殺戮(さつりく)――。日々激化する戦局とともに、“60年後のイージス艦”「みらい」は、確実に太平洋戦争のただ中へと飲み込まれていく。それは、第二次大戦の“史実”には存在しなかった戦いである。そして“史実”には存在しなかった“犠牲者”が、一人、また一人、インド洋の藻屑(もくず)となって消えていった――。かわぐちかいじが「沈黙の艦隊」を超えるスケールで描く、海と戦いの黙示録(もくしろく)!!

ジパング 19巻

再び「みらい」を目指す決意をした角松。満州で“草加(くさか)の原爆”を追う梅津……。変わりゆく歴史に、彼らはどこまで抗(あらが)えるのか!?――帝国軍のインド洋侵攻はイギリスを激震させ、アメリカを突き動かす。“60年後のイージス艦”「みらい」は進む。「新しい戦史」という名の処女航海に――。巨匠・かわぐちかいじが圧倒的なイマジネーションで描き出す、歴史横断超大作!

ジパング 20巻

変わりゆく歴史が、角松と梅津に牙(きば)をむく。――“草加(くさか)の原爆”を巡り、陸軍と海軍が動き出した。緊迫する夜の南京(ナンキン)で、自らが生きた時代への誇りを懸(か)け、梅津はウラン235を葬らんとするが……!?一方、角松の乗る伊-152号を発見したのは、“潜水艦の狩人(かりうど)”立石が率いる駆逐艦(くちくかん)だった!日本軍とは名乗れない伊号。一対一の死闘が、幕を開ける――!!

ジパング 21巻

苛烈(かれつ)さを増す、“対潜の鬼”立石(たていし)の攻撃。何者とも知れない“米俵”たちのため、伊-152号艦長・堀田は捨て身の奇策に出た!戦史に残ることのない南洋の死闘は、ついに最終局面を迎える……!かわぐちかいじが「沈黙の艦隊」を超えるスケールで「戦後」を問う、海と戦いの黙示録(もくしろく)!!

ジパング 22巻

米海兵隊《U.S.マリーン》vs.海上自衛隊《イージス艦「みらい」》。その双眸(そうぼう)が見すえるのは、どんな未来か。その銃口が睨(にら)むのは、誰か――!?タラワ島・日本軍撤退の隠蔽(いんぺい)工作。上陸した角松と菊池は、米海兵隊に包囲され、孤立した……!圧倒的なイマジネーションで描き出される、歴史横断超大作!かわぐちかいじインタビュー「日本人とは何なのか」を同時収録。

ジパング 23巻

「みらい」は奪われた……!不幸な“事故”により負傷した菊池三佐は、パラオに緊急搬送された。角松が「みらい」を掌握することを恐れた草加(くさか)と滝は、陸戦隊2個小隊を率いて「みらい」を制圧。角松以下全乗員は、退艦のうえ無人島に軟禁……。「みらい」はこのまま南洋の孤島で朽ち果てるのか……!?

ジパング 24巻

「みらい」を奪還せよ!――“60年後のイージス艦”「みらい」と乗員の封じ込めを図る草加(くさか)に、角松たちは反旗を翻(ひるがえ)す。もたらされたのは、「菊池無事」の朗報と、梅津の遺志。孤島に囚(とら)われの身となった乗員たちは、角松のもと、再び心を一つにした――。そして帝国海軍の厳重な警戒網をかいくぐる、230名の大脱走が始まった……!!

ジパング 25巻

総員、脱出せよ。「みらい」が再び一つになるために!――“60年後のイージス艦”「みらい」奪還に成功した角松たちに、草加(くさか)率いる軽巡洋艦「阿賀野(あがの)」の砲弾が容赦なく降り注ぐ。一方、菊池と桃井は、空路で本土へ。小栗たちは、海軍の油槽船(ゆそうせん)を奪い海へ。それぞれの方法で脱出を試みるのだが……!?

ジパング 26巻

たった一人の存在が、予想できない未来をもたらす。――戦艦「大和」に原爆を搭載し、マリアナ海域に最終決戦を求める草加(くさか)。そうした日本海軍の動きに“異物”を感じ取る米海軍の知将・カーネル。彼らの存在は、戦いの帰趨(きすう)をいずこへ導くのか。そして「みらい」の行動は、草加の野望を打ち砕けるのか……!?

ジパング 27巻

草加拓海(くさか・たくみ)vs.連合艦隊司令部。そして旗艦「武蔵」、もう一つの戦場。マリアナ沖で激化する日米空母機動部隊の戦闘。“野望”を推し進めるために、草加は連合艦隊司令部に駆け引きを挑むのだが……!?日米両軍の“勝利への意志”が激突する!!

ジパング 28巻

過ちを正す機会は、永遠に失われた――。太平洋の最重要地・マリアナ海域にて、最終決戦に臨む日米両軍。激化する争いの中、草加(くさか)は原爆を積んだ「大和」奪取に向け、連合艦隊司令部に、“もう一つの戦争”を仕掛けていた……。「みらい」との直接対決、迫る!本編のほか、詳細解説「日米最終決戦(2)」も同時収録!

ジパング 29巻

月下の激闘。日米艦隊、ついにサイパン沖にて全面対決!――月明かりの下、砲弾飛び交い水煙噴き上がる混乱に乗じ、草加(くさか)は「大和」奪取の機会をうかがう。「みらい」のレーダーはその瞬間(とき)を逃すまじと「大和」の艦影を追いつづけるのだが……!?本編のほか、詳細解説「日米最終決戦(3)」も同時収録!

ジパング 30巻

「大和」脱走――。草加(くさか)の同志たちに掌握(しょうあく)された戦艦「大和」は、帝国海軍の指揮系統をついに離脱。世界最初の原子爆弾をその巨体に宿しつつ、米上陸部隊の結集する海域に向け北上する。「みらい」はその恐るべき“意思”を阻(はば)むべく、「大和」の航跡を追いつづける――!!

ジパング

自衛艦が"タイムスリップ"したらどうなるのか

ジパング かわぐちかいじ
さいろく
さいろく

本作の主軸となる自衛艦「みらい」は、自衛隊活動としてエクアドルへの遠征の途中で突如タイムスリップ。1942年のミッドウェー海戦のど真ん中にいきなり飛ばされてしまう。 自衛艦っていうのは自衛隊員が乗っているわけなのだが、"自衛隊"を本当の意味で理解していなかったなと深く考えさせられる本作。 同じくかわぐちかいじ著書の超名作「沈黙の艦隊」の主人公:海江田四郎のようにゴリゴリのカリスマが率いるのかと思いきや、自衛隊員としての葛藤を全員が抱えているため割と登場人物が強め。 ちなみに歴史上の実在の人物たちも多く登場している。 「やってみせ言って聞かせてさせてみて~」の山本五十六ぐらいしか私はすぐにわからなかったけど、当時の"大日本帝国"がそのまま存在する設定なので「艦これ」とか好きな人はたまらないのではないだろうか。 私は戦艦も戦争も本当に全く知らなかったけど、それでもストーリーを追っていくだけで考えさせられるシーンが多々あり、感心しながら読み続けられた。長いけど。 読後にWikipediaとかブログとかを探してみたけどやっぱりかなり熟考されてる方がいるようで、実際の史実との差異であったり細かな指摘はあるもののみんなジパング大好きだなーっていうのはよくわかった。 絵がリアルで大人向け感強く見えるかもしれないけどめちゃくちゃ難しい話だけということでもなく、画力と雰囲気とテンポの良さによってかわぐちかいじという稀代の漫画家の実力を知ることが出来る素晴らしい作品だと思う。 かわぐちかいじ先生はきっと若い世代の人たちからすると「沈黙の艦隊」や「太陽の黙示録」「イーグル」そしてこの「ジパング」と戦争や政治ものを描く漫画家というイメージなんじゃないだろーか。 最近はたしかにそんな感じだけど「アクター」とか「ハード&ルーズ」とかみたいな時代の色が強く反映されている作品も多く、こっちの方が個人的に推しだったりもするので是非もっと若い人たちにも読んでいただきたい。 政治とか戦争とかとっつきにくいと思うし(私はそう)