アルスラーン戦記

「もう読んだ」か「この先読む」以外はありえないシリーズ

アルスラーン戦記
mampuku
mampuku
1年以上前

田中芳樹と荒川弘の布陣で面白くない筈がないというのは自明のことなので内容や評価についてはあまり触れる必要もないかなと思いますが、バラエティに富んだ数多の魅力あふれるおっさんたちの顔と名前を毎月の連載を追いながら覚え続けるのは至難の業なのでコミックスでまとめ読みすることを強くおすすめします。(体験談)

ペコロスの母に会いに行く

ペコロスの母に会いに行った

ペコロスの母に会いに行く
影絵が趣味
影絵が趣味
1年以上前

森崎東の追悼特集に通っている日々であります。森崎東というのは『ペコロスの母に会いに行く』を遺作にして亡くなった映画監督で、彼の撮る映画、これがまたとんでもない! 館内は幕開けから幕下りまで老若男女の笑い声に包まれるんですけど、これがしだいに笑い声と咽び泣きとが入り混じるようになる。みんなあんなに大笑いしていたのに、幕が下りて明るくなると、みんなくしゃくしゃに泣き崩れた顔を覆いながらそそくさと館をあとにするんですね。人前で泣くのは恥ずかしいですから、ピンと気合いを入れて嗚咽しそうになるのを抑えているんですけど、溢れた涙がどんどん顔をつたっていく。こんなご時世ですからマスクが涙でびしょ濡れになって、呼吸をするごとにぴたぴたと顔にひっついてきて堪ったもんじゃありません。 今回の特集は22タイトルもあり、その中には当然遺作のペコロスも入っているんですけど、まあ、22タイトルもありますから、ペコロスは公開時にも観に行っているし、ソフト化もされているから今回は観なくていいだろうと思っていたんです。 ところが、ある夜、感慨に耽りながら家に帰ってきて、名残り惜しさにユーチューブで予告編なんかを観ようとするわけですけど、森崎東の映画はほとんどがソフト化されていませんからユーチューブにも動画がほとんどないわけです。それで致し方なくペコロスの予告編をうっかり観てしまったのが時の運、館内で涙を堪えていた分、色んなものが一気に溢れでてしまって、もう嗚咽が止まらくて止まらなくてどうしましょう! そのときペコロスさんは黒い帽子を被っているんですけど、呆けたお母さんは息子を悪い人だと勘違いする。それでペコロスさんが帽子をとってハゲた頭をお母さんに見せつける。そのハゲ頭でお母さんは息子のことを認識してベタベタとハゲ頭を撫でまわす。笑えるんですけど、なんか同時に涙が止まらなくなるんです。この予告編にやられてしまって本編も観に行くことに決めたというわけです。 平日の最終回でしたから、観客はそんなに多くなくて、たぶん30人くらい。でも、主にハゲネタを中心に30人がずっと笑いっぱなしで、しかも、じぶんの座席から見えるほかのお客さんの半分くらいの後頭部が同じようにハゲあがっていて、それがとても愛おしいんです。 映画の時間が進むにつれて、お母さんの呆けも進行する。ついにはハゲ頭を見せてもペコロスさんは自分のことを息子と認識してもらえなくなる。また知らない人が来たといって暴れるんです。そのとき鎮静剤で眠ったお母さんの姿を、ペコロスさんはあの丸みのある愛らしいペンタッチで描いていく。このあたりから涙事情は相当にやばいわけです。お母さんの部屋の壁にペコロスさんのお母さんの絵がだんだん増えていく。よく撮られていたのは「母ちゃんいつもありがとう! 忘れてもよかけん、ずっと元気で!」という言葉の添えられたお母さんがピースしている絵。もうマスクが顔にぴたぴたひっついてきて堪ったもんじゃありません。 この時点ではお母さんを演じている赤木春恵とペコロスさんの絵がじつはそんなに似ていないことは特に気にもしなかったんですが、泣き腫らしながら迎えたエンドロールで、なんと、もうひと仕掛けある。撮影を見学に来られた実際のペコロスさんとお母さんのオフショットがエンドロールの脇の小さな画面に流れているんです。そのお母さんの顔がペコロスさんの描くお母さんにそっくりなんです! ただでさえもうお釣りがくるほど涙が流れているのに、そのことに気づいたときには着ていた服の衿口に顔を隠しましたよね。

気持ち悪いんだよ、死ね。

タイトル通りで恐れ入る読切

気持ち悪いんだよ、死ね。
たか
たか
1年以上前

この読切が言いたいことはただ1つ。「(恋とか)気持ち悪いんだよ、死ね」ということ。 めちゃくちゃシンプルな主張を、回りくどい表現なしのどストレートで描いているので、読み終わるのが超早かった。 あまりに早く読みすぎたので、結局3周くらい読み直した。 何度読んでもタイトル通りで感心してしまう! セフレがいる主人公にとっては、謎の男らしさに溢れたキモいLINEのメッセージを送ってくるマイルドヤンキーも、学校で何度も告白してくる男子(しかもナチュラルにセフレがいることを見下している)も、等しく「ピュアな恋愛を押し付けてくる」キラキラクソ野郎。 「ピュアなら偉くて何をしても良いのか?」、「お前の恋愛のスタンスを押し付けてくんじゃねーよ」という熱い気持ちに満ちた、勢いのある読切でした。 漫画アクションNo.6(2019.3.5発売)掲載 雑誌のアオリすごい好き

伊賀ずきん

ポエミー忍のメタギャグ漫画!

伊賀ずきん
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
1年以上前

私はこの作品を、同じたなかのか先生の『タビと道づれ』『すみっこの空さん』の後に読んだので、最初ずいぶん単純化された画面に驚きました。しかし本作がギャグ作品であると分かり、読み進めていくと、このタッチがまあ笑わせてくれること。 本作は戦国時代の忍びのお話ですが、服部半蔵と名のつく人を、こんなにもテキトーに描いていいのか……と愕然。割と時代設定はきちんとしているのに、すぐに現代ネタを繰り出してみたり、マンガである事をネタにしたり(画像参照、3巻より)、枠組みをずらすメタな笑いが次々と。 物語は忍びでありながら冷徹になれず、心を捨てられないくノ一・伊賀ずきんの葛藤を軸に、美しさ・愛らしさ・友達・自己規定といった事柄について詩的に哲学的に考察しており、デビュー作にして既に「たな節」炸裂!ギャグ漫画にも関わらず読み応えがあります。 くノ一として適性がなさそうな主人公のドタバタコメディとポエミーな台詞のコンビネーションに、思わず吹き出したら負けです。いや勝ちか。

気持ち悪いんだよ、死ね。

一貫していて気持ちがいい

気持ち悪いんだよ、死ね。
野愛
野愛
1年以上前

タイトル通りの一貫した主張が、タイトルに反してめちゃくちゃ気持ちいい。 純粋であれば、真っ直ぐであれば、正直であれば、すべて正しいなんて確かに傲慢だ。 好きという言葉も、付き合うとか恋人とかいうカテゴライズも相手を縛りつけるエゴなのかもしれない。 正義の顔して人を支配できるから恋っていいよね、ってわたしは思いました。

地図にない場所

地図にない場所感想#1巻応援

地図にない場所
名無し
1年以上前

ネタバレでもなんでもないこと言うとこの作中で主人公が「俺より終わってそうなやつが見たい」独白するんですよ。 こんなの共感しかないと思いませんか。 流石に中学生の「もう終わった」は共感できないし人生ナメてんのかと思ってしまいますがどの年齢でも自分より最低なやつをみてホッとしたいと思うのはもはや人間の本能か何かだと思います。 まだ一巻ですが簡単に言うと「落ちた人間」と「落ちたと思ってる人間」の話かと。 真逆な、いや、似ている境遇の人間が出会った時にどう言う化学変化が起きるのか。 面白いなと思ったので一巻応援です。

プラタナスの実

テセウスの船、東元俊哉の新連載…

プラタナスの実
名無し
1年以上前

壮絶なストーリーでありながら家族の繋がりみたいな物を書かせたら一番な方だと思っています。 小児科医モノは多々あれど、なぜかスッと頭に入ってくる気がします。 症状からあらゆる可能性を考え出してしかもそれをつなぎ合わせて一つの病名に結論づける。 どの医者もそういうことをやっているのだとは思いますが、小児科医とはなかなか言葉で説明してもらえないぶん難しそう…。 主人公の人柄が一話の段階で垣間見えるのがいいですね。 どっちかっていうと子供を見る大人というより子供と一緒の目線になって看る大人。 しかもそれが嫌味たらしくなく、自然とできる。 本職の小児科医はどんな方が多いのかわかりませんがこんな小児科医が多かったらいいだろうな…。 というか自分が子供で腹痛だった時に診て欲しいw まだ7話そこらですがもう10巻ぐらいのコミックスで読んでみたさあります。

岸虎次郎作品集 冗談だよ、バカだな

頭の中で何度もシーンを反芻してしまう

岸虎次郎作品集 冗談だよ、バカだな
名無し
1年以上前

発売当時もよく本屋で見かけていて「すごいエロそうだな…」と思っていたのですが、やっぱりそうでした。マンガ・エロティクス・エフに掲載されていた作品なのでテーマがエロなのは当たり前なんですけど、読んだ次の日も頭の中で何度もシーンを反芻してしまう中毒性がありました。新しい性癖に目覚めそうです。 失恋して入水自殺しようとしたお姉さんと少年、女の子より可愛い男子高校生と男友達、女学生に襲われる教師、太宰治に心酔している少女達…。どれもインパクトある話ばかりなので、一人でこっそり読むのがオススメです。

お犬様!(単話版)

犬の演技が秀逸

お犬様!(単話版)
名無し
1年以上前

住み込みのバイト先で、金持ちペット犬の世話をさせられる話。 面白くなりそうな所で引いてしまってちょっと惜しい。 終始、お犬様が良い演技をしていた。主演男優賞ものだね。 最後は時がぶっとび、主人公はおばあちゃんになって孫にも恵まれ過去を振り返る。 雇い主たちを回想して「哀れな人達だった」「子供がいないから〜」と脳内マウンティング。 『何事にも動じなくなった」というセリフには謎の説得力があった。

となりの席は外国人

多国籍でパワフルな小学校の日常!!

となりの席は外国人
たか
たか
1年以上前

私が町立小学校2年生のとき学年に3人のブラジル人の子がいました。1学年だいたい100人なので外国人率は3%。これは令和2年の川崎市と同じ外国人割合なんだとか。 90年代のブラジルの経済状況と、日本の法改正により日系3世に定住資格が与えられたことが重なり、工業団地があるうちの地元にたくさんのブラジル人が家族を連れて出稼ぎに来ていたんですね。おかげで今でもゴミ捨て場は日葡併記です。 この作品は私の母校のよりも遥かに広く、世界中の国々の子供たちを受け入れる日本の公立学校のお話です。 https://dokusho-ojikan.jp/serial/detail/t51291 まず冒頭は入学式から始まるのですが、もうこっからすごい!! ティアラをつけお姫様のようなドレスで来る子に、欠席する子(入学手続きをしたものの親の事情で国に帰ってしまった)など、「こいつはとんでもねぇぞ…!」と初っ端から面白さが止まらない。 和式便所の使い方がわからない…などは定番かも知れませんが、運動会でドレッドヘアや、遠足にマックのセットなどなど、「その発想はなかった…!」という文化の違いがバンバン出てきて圧倒されます。 何より読んでいて楽しいのが、学校での子供たちのパワフルさとエキセントリックさ…!! もう、どの子も元気いっぱいで自由気ままでメチャクチャなんですよね。 元気いっぱいのユリア、心配性のビト、お嬢様シェイラ、自由人のアレンetc...。次から次へとまだ出てくるのかと驚くぐらい、様々な子が登場しエピソードには事欠きません。 「いやそんなことある!? 」というようなやらかしに笑いが止まらない一方で、自分が先生でこれを全部対処する側だったら…という考えが一瞬、頭をよぎってゾッとしてしまいました。先生たちすごい…! 最近ではいじめだけでなく、言語の習得が上手く行かずダブルリミテッドとなってしまうケースなども聞かれるので、こうして日本の学校で憂いを知らず元気いっぱいに過ごす子供たちの姿を見るとホッとします。 日本で子供時代を過ごす全ての子に、こんな風に楽しい学校生活を送ってほしいと思わずにいられません。 「庶民の娘ですがセレブ学校へ通っています」が、日本で多国籍の子女に欧米流の教育を施すインターナショナルスクールエッセイだとしたら、「となりの席は外国人」はそのカウンターとなる、日本で多国籍の子女に日本流の教育を施す公立学校エッセイ。両方合わせて読むのがおすすめです。 読めば間違いなく元気が出ます。笑いたいときにぜひどうぞ…!

うちのトイプーがアイドルすぎる。

さすがに可愛い

うちのトイプーがアイドルすぎる。
野愛
野愛
1年以上前

トイプードルが可愛いなんて何を当たり前のことを、と思うけどトイプーさん可愛すぎる。 道行く女性には懐くのに犬同士では仲良くなれなかったり、こたつでぬくぬくしたり、すぐ疲れたり、表現はおかしいけどとても人間味があって可愛いのです。というか愛おしいのです。 お家帰ってこんな可愛いトイプーさんがいたら幸せだよなあ。一緒にこたつ入りたい。

伝説の出前ロードチャンピオンシップ

御用達の称号目指して地元寿司屋がリレー出前バトル!

伝説の出前ロードチャンピオンシップ
名無し
1年以上前

スケルアイロニーや鳥宮はバカ!の三原すばる先生の読切ということで読んでみたら、まさかの平井善之さん(アメリカザリガニ)とのコラボ作品だった。 絵の巧さはもちろんのこと、流石お笑い芸人さんが書いているだけあって笑いもきっちりあるいいギャグマンガだった。 リレーしていくうちに寿司がぐしゃぐしゃになってるのに誰も気にしてないとこが好き。寿司(真心)とは一体🤔 シニアカーは道交法上歩行者扱いで「実質徒歩」というのが無駄に勉強になった。

カラオケ24

完成度の高いコントみたいだった

カラオケ24
名無し
1年以上前

この漫画家さん知らなかったけど、一瞬でファンになりました。んもうめっちゃ笑えた。声出して笑った。芸人さんのコントを見てるみたいだった(これが漫画を褒める言い方として合ってるのかはわからないけど…)。 あらすじだけだと、客の方にフォーカスがあたってる感じだけど、終始バイトくんふたりの会話劇。もはや客のおっさんどうでもいい。 あまりに面白かったから「能面ちゃんと下僕さん」ポチった。

タビと道づれ

明日のない町で、貴方を探す

タビと道づれ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
1年以上前

五年ぶりに帰った町で、女子高生のタビは途方に暮れる。そこは「今日」を繰り返す町になっていた。大切な人に会いに行きたいのに、町の中に入る事も出来なくて……。 ▲▲▲▲▲ タビは降車駅を起点に、不思議な事態に気付いた家出青年と警官と共に、町を調べる事になる。 町に入るには、特定の路を自由に操る能力が必要。流れ星が与えたその能力の謎、能力者達の思惑や能力の授受を巡り、複雑で繊細な、ハラハラする物語が展開される。 タビは酷く内向的な子。彼女と関わる人々も「夢が叶わない」「思いが届かない」という重さを抱え、終始切ない。迷える人の内面みたいに複雑な「緒道」の路地。懐古調の風景はどこか未来を拒む様で、懐かしくて少し重い。 己を否定し闇に消えたがる人を救うのは、握手し・何かを分け合い・引っ張る手。他人と手を繋ぎ・星が星座になったら・時はぐるぐると動き出す……という感じの壮大な優しさの物語は、「緒道」の光景と共に私の孤独を癒してくれる。

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