夢の碑 風恋記

少年達は時を超え野を駆ける

夢の碑 風恋記
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
1年以上前

幼い頃に出会った二人の少年のあまりに強い友情譚と、二人に宿る不思議な力を巡るサイキックSF、それらが絡み合い高まり合い、鎌倉時代を大きくうねる壮大な絵巻物。久々に、読まない間もつい思い出してしまう、という経験をした。 生母を失い継母に虐められる、秋葉介の長男・融明(とおるあき)と、融明の遠縁で父が失踪した露近(つゆちか)。二人は気質は違うが意気投合する。苦しみから逃れるようにして、兄弟のように仲良く過ごす二人の様子が夢の様に美しい。 どこまでも遠くへ駆けて行きたい……しかし二人は引き裂かれ、露近は京で後鳥羽院に飼われ、融明は鎌倉で将軍実朝の側に仕える。 二人を繋ぐ不思議な力は、時に互いを救い、互いの存在を感じさせる。天紋・地紋、鬼としての妖力、融明の力強さと露近の妖艶さ。その魅力で沢山の人を惹きつけ、関係を持ちながら彼らはいつも、共に野を駆けた時代を懐かしみ、遠い目をしている。そんな二人の切なさに感情移入してしまう。 二人に与えられた天命、あまりに強大な力を彼らはどうするのか……そこにはただ見送ってやるしかない、という無力感もありつつ、籠の鳥の自由を喜ぶ感覚もあって、見開き絵の美しさと共に強い感慨を私の胸に残した。

孤高の人

「孤高の人」読んでみた

孤高の人
かしこ
かしこ
1年以上前

登山マンガです。最初の高校生編の面白さは後に比べるとそれほどでもないのですが、常に孤独であろうとする主人公に対して「山は一人では登れない!」と教えようとしてくれた懐が深くて優しい先生が、雪山で遭難した主人公の捜索中に亡くなるんですね…。主要人物の死によって読者としても山の危険性に身が凍ってよりリアルに感情移入していき、そこからは登る山のレベルが上がるほど没入感がハンパなくなっていきます。 荒れ狂う雪山の描写はもちろんですが、仲間を看取るシーンでの死に際の表情なんかはマジで鬼気迫ってて脳にこびり付いてます。こういった命の駆け引きのようなところが、後のイノサンのテーマにも繋がっていったのでしょうか。 孤独だった主人公が結婚して子供が産まれてようやく幸せを掴んだのに、それでもK2を登ることになった時は妻目線になって「終わった…」と思いましたが、タイトルの『孤高の人』の意味そのままのベストなラストでした。 登れたのか生きて帰れたのか…それは最後まで読んで自分で確認したほうがいいと思う。

うる星やつら 〔新装版〕

高橋留美子、歴代人気キャラクターについて語る

うる星やつら 〔新装版〕
名無し
1年以上前

去年、高橋留美子先生の公式Twitterアカウントが解説されたことが話題になりましたが、そこで歴代人気キャラクターについて裏話等をつぶやいており、なかでも反響が大きかったキャラについてダヴィンチwebが追加取材をした記事が先日公開されました。 https://ddnavi.com/interview/965989/a/ インタビューに対して直筆でお返事をくれたというのがまずシビれますが、想像昔の作品のキャラの事までしっかり覚えてるのもすごい。と感動した次第です… 個人的にはランちゃんが大好きなので、自分がインタビュアーだったらランちゃんだけで10項目は質問したと思う

コミュ障お嬢様と漫画家マンション

ギャグとミステリー、2段階楽しめる

コミュ障お嬢様と漫画家マンション
野愛
野愛
1年以上前

学園の生徒会長を務める才色兼備のお嬢様なのに、コミュ障で漫画オタクの神楽坂桜。 そんな彼女が一人暮らしをするマンションは、漫画家ばかりが住む夢のような空間だったのです。 震えすぎて発光して見えたり、声が小さすぎて脳に直接語りかけたり、謎の奇声を発したり……桜のコミュ障レベルが凄すぎます。 些細な情報から住人たちの正体を特定していくのもオタクならではです。コミュ障もオタクも本物すぎて面白いです。 という感じでギャグ漫画として楽しめるのが前半戦。 後半戦はマンションに隠された秘密を暴いていくミステリー漫画に変化していきます。 ギャグ要素とテンポの良さはそのままに新たな面白さが加わるので、一度で二度美味しい作品です。 ギャグ漫画が好きな人にもミステリー漫画が好きな人にもぜひ読んでほしい作品です。

ルックバック

いたって普通の作品

ルックバック
名無し
1年以上前

ファイアパンチ、チェンソーマンより先にこの作品が出ていたら、話題になったのか正直疑問です。別世界線登場から始まっていいほど起伏がなかったのですが、あっさり終わって呆気なく、思いの外良くも悪くも普通の読み切りでした。 噂される現実事件との関連はなんとも言えない思いになりました。ですから単行本での切り離し修正は肯定的に受け止めたいです。 絵のコマ割りが凄いやらの声は理解に苦しみ、画力が高いとは言えませんが、連載作品よりも安定してたのは良かったと思います。

女王の花

姫と奴隷の信頼と恋は…

女王の花
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
1年以上前

舞台は架空の中国の王朝。王子が産まれたため冷遇される王家の姫と、異人で疎まれる奴隷の少年は8歳の時に出会い、主従として、そして無二の友として絆を深める。私はこの物語を何度読んでも、随所で泣きそうになる。 泣きそうになるのはほぼ同じポイントだ。それは「二人で何処かへ行きたい」と願う時。 第二王妃に国を追い出される姫は、彼女に復讐を誓うが金も味方も無く、絶望的に孤立無縁。尊厳を常に奪われる彼女を支えるのは、ともに苦労を重ね、同じ師の元で研鑽を積む奴隷の少年。互いへの信頼は否応なく恋へと変わってゆく……あらゆる点で強まる二人の絆を、美しいと感じる。 しかし事は単純ではない。情勢に翻弄される姫はやがて、祖国の王となる道を選ぶが、王となるには相手と離れる必要に迫られる。互いのため、離れる覚悟をする二人。しかし別れ難く苦悩を深め、行動に迷う。 そして苦悩極まった時、二人は全てを捨て、放浪する夢を見る。 「千年の花」という呪文……千年に一度咲き、あらゆる願いを叶える花を思いながら、二人はただ、二人で生きることだけを夢想するのだ。 敵対する恐ろしい第二王妃の「成長譚」も対置させた物語はそれも含めて、人の不自由さや、人の幸せとは何なのかを切なく考えさせる。

ひとりぶらりごはん

庶民なお一人様にちょうどいい指南書

ひとりぶらりごはん
かしこ
かしこ
1年以上前

1人旅と1人飲みって憧れるけどハードルが高いですが、この漫画を読むと「あ、自分でも出来そう!やりたい!」と思えるのがいいです。まず事前にネットで入念に下調べをするところから始まり、現地で店構えを確認して何か違うと感じたら別の店に行くのも全然あり!なところが「常連でもない店にスマートに入れないのはしょうがない!無様でもいいじゃない!」と肯定してくれます。そもそもそんなに高い店に行ってないのでとっても真似しやすいんです。 たま〜に「思ってたより美味しくなかった…」っていう感想があるのも、誰ともシェアしないで食べる1人ご飯だからショックが残るのよね〜と共感しました。後半はコロナ禍になったのでお取り寄せして自宅で食べる話も多かったですが、ぜひぜひ続編も刊行して欲しいです。絶対買います!

薔薇王の葬列

権力欲の巣窟で育む愛とは

薔薇王の葬列
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
1年以上前

イングランド王国の覇権を争う薔薇戦争。両性具有で産まれたヨーク家の三男・リチャードが王位を目指す物語だがそこには、執着から起こる裏切りに次ぐ裏切りがこれでもかと詰め込まれ、恐ろしい。 男も女も欲に狂ってゆく。権力に連なる欲の形は様々だが、狂ってゆく表情は歪み、神や悪魔といった文言と相まって恐怖を増す。 リチャードは母に蔑まれ、自分の体を愛せず、誰も寄せ付けない。ついに女性を信じられなかった彼は、男性と様々に親愛の情を交わす。 その交わす情も、父への過剰な親愛、年上の友と穏やかに育む性無き愛、そして身を焦がす様な体も心も許す愛と様々だが、それはほんの僅かな夢の時。 彼の結末は、史実通りならあまりにも悲劇的で切ない。産まれて来ただけで悪魔と罵られた彼の幸福は、果たしてどこにあったのだろうか……。

おもしれー女はときめかない

俺様男子×おもしれー女のラブコメになりたいギャグ漫画

おもしれー女はときめかない
野愛
野愛
1年以上前

俺様男子×おもしれー女の王道ラブコメになりたいギャグ漫画が始まりました。 恋の行方なんてどうでもいいくらいちゃんとギャグ漫画で面白いです。 ごく普通の男子高校生・まさるが一目惚れしたのはクールでミステリアスな美少女・小春。 彼女を振り向かせるモテ男になるために、まさるが参考にしたのは夢小説だった……。 というわけで、俺様系イケメンを目指す激イタモブ男子×超鈍感遅刻魔食パン1斤食い女子のラブストーリーが始まりそうで別に始まってない感じです。 まさると小春の友達もおもしれー奴だらけなのでこれからの展開も楽しみです。恋路はさておき笑わせてくれれば…! キラキラ絵柄のギャグ漫画に弱い人はぜひ読んでみてください。絶対好きなやつです。

影狩り

久しぶりに読んだがやっぱりいいな

影狩り
マンガトリツカレ男
マンガトリツカレ男
1年以上前

"影"がいろんな手段で藩の取りつぶしを企てて、それを"影狩り"で十兵衛、日光、月光の三人で防ぐというのが基本の流れだが、毎回違う感じで話が進むので飽きない。冷凍人間の回やレオナルド・ダ・ビンチのメモを解読して空をコウモリのように飛んで戦う忍者などバラエティに富んでいる。 長期連載でかついろんな雑誌で掲載されているようで単行本で続けて読むと話の順番が前後していたりや日光の顔や性格が変わったりするが昔の時代劇の「三匹が斬る!」とか好きな人には是非おすすめたい。 ちなみに一番好きな回は"影"が巨大な猿で登場し猿を操る回。内容も面白いが説明にある「最後の忍者」藤田西湖が一声かければ町中の犬を集められる話がすごい好き。

九条の大罪

王道ではない一癖あるヒーロー

九条の大罪
六文銭
六文銭
1年以上前

『闇金ウシジマくん』が好きだったので、本作も当然期待していたのですが、元々終わってから一気読みするタイプなもんで、ずっーと我慢していたんですけど、もう、たまらず5巻まで一気に読んでしまいました。 もう、最高でした。 1話目を読んだときは、飲酒運転で交通事故を起こした半グレを守ることからはじまるので、そっちの弁護士役なのかな?と思っていたら、先を読むと実は全然違うことに気づく。 元々、依頼人を守ることを使命とし、道徳と法律は分けて考えているだけで、そこに善悪がないというだけ。 ここが格好いい。 自分はど直球な主人公も好きなのですが、こういう一癖ある主人公像も大好きなんですよね。 共通しているのは、信念があること。 ただそれが誰がみても立派なのか、そうじゃないのかの違いだけ。 闇金ウシジマくんもそうでしたが、格好よく強い人間とは、自身の美学にブレないもんですね。 本作の主人公も依頼人が半グレであろうと誰であれ、そして相手が恩師であろうと誰であれ、弁護士としての自身の使命を全うする。 めちゃくちゃカッコいいです。 また、弁護士ですが、小難しい法律的な話は多用せず、わかりやすく読みやすくさせているのも、物語に没入させてくれます。 ちょっと何言っているかわからない、とならないです。 過去に家族の間で色々あったようですが、まだ出てきていないので、この点も今後が楽しみな作品でした! また、内容はクロいのに、白を基調とした絵柄は、独特でありながらクセになりますね。

外道の歌

裏稼業だが、応援したくなる!!

外道の歌
干し芋
干し芋
1年以上前

今まで、この手の作品(出血、暴力シーンが多い)は好みに合わずに読んでいませんでした。 が、『園田の歌』を読んでハマってしまった。 復讐にも道理が通っているし、痛快!! 園田くんとか朝食会とかスピンオフ作品もあり、キャラクターそれぞれの性格がどうやって築かれたのかそちらも興味をそそる。

摂氏零度の少女~私がママを殺すまで~

摂氏零度の少女~私がママを殺すまで~の感想

摂氏零度の少女~私がママを殺すまで~
rind
rind
1年以上前

kindleで全10話無料でタイトルが面白そうだったから読んでみた。意外と面白かった。 評価はあんまり高くないみたいだったけど、私はここまで甲斐甲斐しいサイコパス少女は初めてみたし、じわじわ衰えていく母親の姿にも怖さを感じたので最後まで割と夢中になって読めた。

透明人間灰田

消えたいと思うほど心が苦しくなったら自分はどうするかな

透明人間灰田
Pom
Pom
1年以上前

#1巻応援 何何、この物語は続きが気になって仕方がない。 面白いし興味深い作品だ。 消えたいと思う少女と、彼女の身体に入り込んだ灰田、二人の物語。少女は透明人間になってしまった。 色々な事情がありそうだし、絡んでいそう。 白蛾先生は、何で透明人間になったゆずが見えるのか。 1巻でも伏線がたくさん散りばめられているので、2巻以降が楽しみな作品。

僕の奥さんはちょっと怖い

これは、いいツンデレだぞ

僕の奥さんはちょっと怖い
六文銭
六文銭
1年以上前

私くらいなツンデレリスト(ツンデレに詳しい人。)になりますと、タイトルを読んで 「怖いといいながら、デレるんだろ」 とわかっちゃうんですよね。 表紙からして、もうアレですやん、と。 実際、読んでみて、あーはいはい・・・ベリーグッドです!となりました。 (読まなくても書誌に書いてあるとか言わないで欲しい。) 内容は、職場のデキる上司で有名だった白浜さんと結婚した主人公の話。 バリキャリだったのだが、結婚したらあっさり仕事を辞めて専業主婦になってしまう。 結婚後も仕事同様にパキパキと家事をこなしていると思いきや・・・実は家事ができないことをバレないようにめっちゃ努力していた。 専業主婦になったのも、そのため。 早起きして(毎朝2時起き)朝食準備したり、家事のhowto動画見ながらアイロンがけしたり。 なんという、愛の深さ。めっちゃ可愛い。 こういうバレないように努力する姿、グッときますよね。 お互い思いあっている感じが、優しい世界で癒やされます。 基本、何か波風あっても「ただのフリ」として脳内処理できるので、安心して読めます。 どうか、末永く爆発していて欲しい。 最後1つだけ。奥さんが九州出身で、実家の父との会話が博多弁になるのも、また良いですよ。

インビンシブル

“元”無敵のラグビーチームが弱体化から再び王者を目指す!

インビンシブル
名無し
1年以上前

ハーンの瀬下猛先生の新連載。第1話は主人公で小倉ホワイツの大ファンだという原田スコット春介が、後半残り8分37点ビハインドという場面で途中出場したところで終わり。 高校時代に自分の持ち物を全部小倉ホワイツのチームカラーの白に塗りつぶしたり、選手交代時にジャンプしてコートに入ったり…原田は相当な変わりもんの予感がする。 初戦がどんな結果に終わるのか期待。 【公式ページ】 https://morning.kodansha.co.jp/c/invincible.html

JIRO 掌の調べ~すきやばし次郎物語~

昭和っぽい話が好きな人におすすめ

JIRO 掌の調べ~すきやばし次郎物語~
マンガトリツカレ男
マンガトリツカレ男
1年以上前

すきやばし次郎の主人でる小野二郎の自伝漫画。 色々マンガを読んできたが実在の料理人をベースにしているのはこれ以外だと周富徳と神田川俊郎ぐらいしか思いつかないな。道場六三郎もあったような気がするが手元にないので不明 内容は修業時代から始まり美味しい寿司を追求する姿勢を一貫して描いている。現代にはあっていないと思うがこの人の仕事に対する姿勢は凄いね

よろこびのうた

淡々と生きていくことって難しい。

よろこびのうた
干し芋
干し芋
1年以上前

人生の最後をどうやって迎えるか。 人間誰しも、死んでしまうのだから、その最後くらい自分で決められるものなら決めたい。 が、なかなかそうはいかないのが、現実である。 限界集落で起きた老夫婦の心中。 生まれた土地で、育ち、死んだら灰になって土に還る。 ふたりが亡くなるまでの、準備段階のなんと楽しそうなことか。 最後まで笑顔で、亡くなった、二人の秘密はずっと守られていく。

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