作者急死を隠して担当編集が漫画の続きを描き続ける
静謐な空気の中で修道女の苦悩と葛藤が静かに描かれる
まず全ページカラーで単行本化されているんだけど、光の感じが全ページ凄まじい。これだけで引き込まれるものがある。 物語はある修道院の修道女の話で、基本的に修道女としての務めを果たしていく姿が描かれているんだけど、言葉にしがたい不穏さのようなものがどこかから漂ってきて、平和な世界のはずなのに終わりが用意されているような緊張感が常にある。 漫画に音というのはないんだけど、それでも静かな漫画と表現をしてしまいたくなるほど、静けさが全体に満ちている。修道女という与えられた生き方の中で自分と神と家族への愛を静かに問いかけ続ける漫画。とても良かった。
引退寸前のアスリートとそれを追う新米スポーツキャスターの話
日本プロ野球界を代表する大投手だった南館の話『ラストマウンド』と世界チャンピオンに挑戦するも引き分けてしまった戸口の話『シャドウ&ライト』がある。どちらもスポーツキャスターの日置が密着取材を申し込むところから話が始まる。(ミサキという名前なんだが、ラストマウンドでは美咲、シャドウ&ライトでは実咲なので微妙に別人物ぽい) 『ラストマウンド』では年齢による体力の衰えなどから全然勝ち星を上げられず、引退の話が随所から上がっていて、『シャドウ&ライト』の方ではチャンピオンベルトの奪取をできずささくれだった戸口が再戦するのかしないのかはっきりせずこちらも引退がささやかれている。 どちらの話も引退を噂されるアスリートが周囲の人間との葛藤や衝突などがありながらも、舞台に立って戦う姿が描かれている。プロの過酷さが描写されながらも、懸命に努力して葛藤や衝突をアスリートとして乗り越えていく姿に感動する。
不器用すぎる高倉健(たかくらたける)のギャグ漫画
登校するだけで全裸。黒板に字をかこうとしたらチョークが全て折れる。 坂本ですがの逆バージョンみたいな不器用すぎる男子高校生のギャグマンガ。 地味に笑える。
マンガの描き方はわからないけど、小林まことらしいギャグが詰まっている
マンガの描き方という題ですら小林まことのギャグなんだろうなと思うくらいマンガの描き方については何も学べない。けど、そんなことは気にならない。 人気実力ともNo.1 描けば雑誌が売れる 年収7億の漫画家Kの話だが、すぐ原稿をほっぽり出して逃げ出したりする。編集に捕まって描いたマンガも見開きページの連続の斬新(手抜き)マンガみたいなギャグが満載。ある意味では、こうして俺はマンガを描いてきたということなのかもしれない。 自伝マンガとしては青春少年マガジンの方が内容は詰まっているがシリアスなテイストもあった一方で、小林まことのマンガ家生活を完全にコメディとして仕立てたのがこの漫画かもしれない。 ちなみに『What’sMichael?』のマイケルのモデルになった猫が「青雲の志・苦闘編」に出てくる。
表紙の雰囲気がすでに最高
・謎めいた力を持った美少女と ・未知のテクノロジーが眠るとされる古代島を目指し ・空に浮かぶ島々を巡り、飛行艇で世界を駆ける冒険ファンタジー。 グ○ブルかな?冒険よくばりセットみたいな。 ヒロインがアンドロイドというのも良いですね。憎からず思っている主人公に対するその気持ちは果たして本物の感情なのか…ベタだけど萌えます。
ジャンプ+のファイアパンチはジャンプを救うかもしれない
いい意味でジャンプらしくない。けっこうグロいし。ただストーリーとか設定が斬新で、発行部数の減ってるジャンプの救世主になるかも
未完ながら読み応えのあるSTARSHIP ADVENTURE Star Field が収録されている
STARSHIP ADVENTURE Star Fieldが収録されている。スーパーアクションで連載していたようだが休刊してしまい未完になってしまった作品。アーサーワールドの1〜3話とさそり座の赤い星1話の合計4話が収録されている。 1万年以上前のものと思われる2つの宇宙船が火星-木製間小惑星帯から発見され、1つは星々を滅ぼそうとする悪の宇宙船、もう一つが星を守ろうとした宇宙船で、間違って悪の宇宙船を起動させてしまい本国に通信を許してしまった…っていうスペースファンタジーの王道的な内容。宇宙船での戦いが緻密ながら迫力のある描かれ方をしていて面白い。 だからこそ未完なのが惜しいが、それでも面白いことには変わりがないのでSFファンには読んでもらいたい作品。アーサーワールドで一応一区切りになっているので、そこまでモヤモヤしないというのもある。 『2001夜物語』の番外編「夜の大海の中で」も収録されている。番外編ながらこれだけ読んでも面白かった。
「かってに改蔵」の頃を思い出させるテイストの久米田的コメディ
装丁がとてもスタイリッシュでカッコ良いので久米田康治とははじめ気づかなかったが、読んで見ると幅広いネタをバンバンぶち込んでくるところとかは変わらずの久米田作品でした。下ネタの量も増えたので「かってに改造」の頃を思い出す。 時間を移動できる代わりに人間の時間に換算すると1年しか生きられないが故に時間を無駄にする男を許せないサンジェルマン伯爵と、水滴が口の中にいっぱいになるのは何滴だろうって数えたりするほど時間を無駄に使う時只卓のせっかちとマイペースの2人が喧々諤々しているギャグ漫画。久米田康治ファンなら間違いなく好きだと思う。
今年の映画はすごい!!!!!!!
ポケモンは今年で映画20作目!!!!! そして、なんと、サトシとピカチュウの出会いから!?!? 赤緑をやった大人の皆さん。 金銀までやった20代後半のみなさん ルビーサファイヤまでやった20代前半の皆さん!! そして、サンムーンから好きになったお子さんまでみんなでみにいきましょう!!!!
日常から少しはみ出した、本当にありそうなファンタジー
三隅健先生の奥様があとがきに「なんだかどこかで本当にありそうな感じ、だけど変わっている」と三隅健先生の作品を表していますが、まさにその通りだなと思います。 表題作の『ムルチ』は「ムルチは人がさわると1週間で死んでしまうんで…」という書き出しで始まりますが、ムルチとムルチに触ってしまった女の子と高校生の話。架空の動物を巡るストーリーながら、その動物がいる世界がきちんと作られていて、彼らの焦りや優しさや驚きがとても伝わってきて面白かったです。 あとは『ブルーハワイ島』がとても好きで工業廃水に乗って町に流れる川を降って海へ行きハワイを目指すといういかにも登場人物の小学生たちの無鉄砲さが全開のストーリーでこれもすごく好きでした。
野田塔子『三つ子のたましい (第71回ちばてつや賞準大賞)』(モーニング2017 No.29)
第71回ちばてつや賞 準大賞受賞作品 http://www.moae.jp/comic/chibasho_mitsugonotamashii
SFテイストのエロコメディマンガ
美少女の淫らな姿が満載のマンガではあるんだが、その淫らさを演出する手法がSF。そういう意味では攻殻機動隊(士郎正宗)のエロ回を彷彿とさせるものがなくはないと言えるかもしれない(あまり自信はない) 単発的に女の子のSF的エロを描く漫画かと思いきや最終的に微妙に繋がってきたりして侮れないところもある。 表題にもなっている「へんなねえさん」は一人っ子として15年生きてきたのに家に帰ってみたら姉がいる。しかも背中にチャックがある…という感じの話で、へんなねえさんの正体は早速明かされるのだが、クライマックスに当たる「へんなねえさん」の3話目ではなんかこんなにひどいエロギャグはあるのかってくらいピノチェピの演技に笑ってしまう(これ以上はネタバレになってしまうので割愛) 下ネタが苦手だと合わないだろうが、青年誌のエロネタが楽しめるのならきっと面白いと思う。『地球の放課後』を読んだ流れで読むとギャップに腰抜かすと思う。
金魚に血を吸われると金魚になってしまう日本版吸血鬼のコミカルなホラー
水のあるところで出血をしていると、金魚鉢男が現れて血を吸われてしまうという都市伝説のような事件が発生し、金魚鉢男の金魚に血を吸われた人々が金魚になってしまう中、血潜りと呼ばれるスクール水着(ユニフォームらしい)を来た女の子たちが金魚に血を吸われた人の体の中に入って金魚化を防いでいる。 そんな血潜り見習いの女の子の林檎と偶然出会った男子高校生の昊介が、血潜りをして金魚鉢男から人々を守る漫画。女の子はかわいいし、日常シーンではコミカルな内容の話も多いんだけど、金魚鉢男の登場は毎回結構ホラーなテイストで怖いし、血潜りして金魚と戦うときは金魚が不気味なだけでなくアクション的な派手さもあって面白い。
明治・大正を強く美しく生きる女たちの物語
2002年Vanillaに掲載された短編「大門パラダイス」と、2006年のFEEL YOUNGに掲載された短編「雪月花」を1冊にまとめた単行本。 タイトルは、それぞれの作品内容から新たに付けられたようだ。 どちらの作品も時代性をしっかりと捉えていて、大正の花魁と明治をまっすぐに生きた女性たちを、それぞれ見事に描ききっている。この二作品が一つの本となったことでより完成度が高くなったように感じる。
家電は世界を救う!?
一見、どこにでもありそうな下町の電気屋さんを営む「ピース一家」の物語。 知られざる天才科学者である父・貫太郎と、息子の健太郎は、どんなささいな問題でもすべて科学の力で解決!!・・・しようとするのですが、日常生活ではとても使い物にならないとんでもない道具ばかり作り出します。普通に仕事をしていれば非常に優秀なエンジニアなのに、プライドに火が着いたら最後。店の部品や在庫を勝手に持ち出しては、他人の家電を魔改造して迷惑をかけまくります。まるでダメなドラえもんみたいな感じです。一話完結型で、オチは大体この親子が自らの発明品によって酷い目に合うのですが、他の家族たち(母や弟、妹)はそんな2人を反面教師として、科学に頼りすぎることなく、人間力で問題を解決していく姿を見せてくれます。家族同士のほっこりするエピソードだけでなく、商店街を舞台に、老若男女、さまざまな人達と関わり合いながら、日常の小さな悩みから世界規模の話まで出てくる、とても懐の深いマンガです。ちなみに一番のお気に入り回は、バカ親子が飼い猫のミャーちゃんの為に、超科学を駆使して道具を作る回。これがもう滑稽なことこの上なくて、何回読んでも笑えます(=^・^=)
フランス人の女子高生が現代日本に物申す漫画
フランス人の女子高生クロエがマナーが悪い日本人とかに物申す漫画。時代劇を見て日本語を学んだから口調が時代劇風で迫力がある。変な意味ではなく「説教漫画」というのが1番しっくりくるこの漫画の表し方だと思う。 ただ、人にぶつかったら謝れとか電車の中では携帯で電話するなとかゴミのポイ捨てするなとか一般的なマナーなんだけど、守らない人もいてモヤモヤするよねっていうのをクロエが強い口調で言ってくれるから爽快感がある。 成人式になると定期的にクロエの流儀の成人式回の画像が回ってくるので見たことある人もいると思う。
ちょいわるジジどころじゃない
このところネットで騒がれてるちょいわるジジだけど、これ読んで落ち着けと言いたい。
宇宙戦争をモチーフにしたSFボーイミーツガールマンガ
スピルバーグ監督の『宇宙戦争』が映画であるからそっちの印象が強い人もいるかと思うが、同名小説を原案にしたマンガ。『宇宙戦争』では宇宙からの侵略がメインになっていたと思うが、宇宙人からの侵略を契機に人間同士の醜い争いがこの漫画では主題になっている。 そういった醜い争いのようなものがありながら、オリバーとアリスが信頼を深めていく。人間模様・宇宙人からの侵略・恋愛模様、色々な面で面白さがある名作。
本物のホラー
構想20年執筆4年も頷けるこわさ。言葉に現わせないけど、読んでいると不安になるような メンタルに響く怖さがある。ホラーが好きな人にはぜひとも1度読んでいただきたい。 でもこのホラーを描いた人が今現在「ぼのちゃん」を描いている事実が一番こわいかもしれない。
牛股権左衛門について語ろう
このシーン最高に好き。
人類とAIと戦争と
高度なAIを搭載した人型ロボット兵器と、主人公たちパイロットとの絆に感動。AIに疑似的な性別のようなものがあってそれが機体ごとの個性になってるのが面白いし、「セカンドアース」を支配する謎のAIも凄く魅力的に描かれている。 ロボット漫画はほとんど例外なく絵が上手いから好き
ジョージ朝倉さんの漫画はどれも青春真っ只中の甘酸っぱいような危うい空気感がいいですね。キャラクターが怒っている時、泣いている時、表情の描き方がダイレクトなのでわかりやすくて好きです。
ジョージ朝倉さんの漫画はどれも青春真っ只中の甘酸っぱいような危うい空気感がいいですね。キャラクターが怒っている時、泣いている時、表情の描き方がダイレクトなのでわかりやすくて好きです。 恋愛ものを多く描いていますが、中でもこちらの恋文日和は特に大人の女性におすすめです。今思えば恋文ってすごく素敵な手段だったんですよね。特に渡した記憶、もらった記憶のある方は一気に懐かしくなること間違いなしです。 溺れるナイフやピースオブケイクと比べるとだいぶ絵のタッチが粗いですが、その力の抜けた感じも読みやすいと思います。
全ては野球の神様に愛された男のためのお膳立て
体格には恵まれないながらも健脚強肩でバッティングセンスも抜群なら守備もうまい主人公の白戸大輔のもとに野球の神様が現れた。抜群に野球が上手くないと姿を見ることができないらしいんだが、姿が見れたからって何か不思議なパワーを授かるというわけではない。ただ、一打逆転のチャンスとかいわゆる後々の逸話になるようなシチュエーションが巡って来やすくなるらしい。そのチャンスを大輔が見事ものにしていって弱小中学から都立の強豪校へ入学し成り上がっていく漫画。 つまり、野球の神様に愛された男の成功のために知らず知らずのうちにみんながお膳立てしているような漫画。なんでもできてしまう天才系の主人公なので努力しているシーンとかはそんなにない。むしろ、こんな状況じゃどんなに才能があっても完全に道が閉ざされただろって思っている状況を覆していくところが爽快で面白い。そんな漫画です。
初版500万部を超える超人気少年漫画「ミリオンジョー」の作者が心臓発作で急死。ここで急死を発表してしまうと連載が終了してしまうことは明らかなんだけど、作者の残したノートにこれからの全ての展開が描かれていたから、作画の大部分を任されていたベテランアシスタントと昔漫画を描いていた担当編集が組んで、続きを描き続けるっていう漫画。 ノートがあってどれだけ絵を似せてもやっぱり本物には敵わないっていうのは当然だから、編集長とか読者の目をごまかすハラハラ感と、徐々に周りにバレていくハラハラ感、そしてミリオンジョーの作者真加田恒夫に対するリスペクトがどんどん深まっていくのが合わさって、緊張感がありながらどんどん深まりを持って行って面白かった。 新しいスタイルの漫画家漫画