異世界迷宮でハーレムを

設定を掘り出していく過程が楽しい

異世界迷宮でハーレムを
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
1年以上前

異世界転生とかそういうジャンルをあんまり読んでこなかったので、意を決して売れてそうなあたりからいくつか読んでみて、その中で良かったなと思ったのがこの作品。 同ジャンルでわりと雑な漫画描写が多いなか、すごく丁寧に描かれているのでそれだけで評価が高い。 原作はどうか知らないが読んだのが3巻までなのでまだハーレム展開になっていないのと、主人公がバカみたいに強すぎてイケイケで無双するパターンはあまり好みではないので、そうではないのがいい。 ゲーム的世界観に転移し、主人公だけがゲーム画面のコマンドのようなものが見えて、各パラメータにステータス振りをいくらでもし直せるということで試行錯誤していじくってダンジョンに挑んでいくのが面白い。 持てる能力で何ができるか、のような設定を細かく試行錯誤していくのが好きなので僕は楽しかった。 丁寧に描いているのでテンポ感はいまいち良くなくて、どういう話になっていくのかはピンとこない部分はある。 ストーリーが進んでいく気持ちよさが好きな人には向いていないと思う。 あと、絵のクオリティが素晴らしくて、ヒロインの女の子がめちゃくちゃかわいい。 エロい展開にもなるが、女の子があほみたいに主人公にメロメロでべたべたしてくるわけではないので、他人を受け入れるという行程を経て行う情事で互いの緊張感が伝わってきてとてもよかった。 ゲームの世界観に来てしまったということで非現実的なことや倫理的にどうなの、ということも、その世界での常識なら受け入れるという柔軟な姿勢は、郷に入っては郷に従えスタイルで致し方ないのかなと思う。 許可された殺人や奴隷制がそうなのだけど、積極的に受け入れ楽しんでいる。 そういう状況になった場合、自分はどうなんだろう、と悩んでしまう。 現実でのスタイルを貫くか、移動先の風習に従うか。 そこの葛藤を描かないための手段として上手く言い訳が効いているなと思ったのが、転移後すぐに盗賊出現、VRのゲームかと思って退治(殺害)、のちにゲームではないと知る。 要は殺人を犯したと知るのは事後なのだ。 殺人は最初のハードルこそおそろしく高いが、一度やってしまったのだから、一人殺すのも十人殺すのも大差はない、という描き方、もしくは、ゲームっぽいのでどこか現実として捉え切れていない部分があるのか。 そうなると、勝手な話だが一度瀕死のダメージを負って命の危険を目の当たりにしてほしくなってしまう。 遊びじゃないんだと。 ただ、読んでる感じ、ゲームのごとく順を追ってぬるぬる強くなっているのでそんなことにはならなそうだ。 ハーレムになっていく過程でまだ読みたいと思えるかどうかはきっとコミカライズ担当の漫画家の手腕なんだろうなと思うとそこが楽しみ。

ジゼル・アラン

ディテールに神を宿した漫画

ジゼル・アラン
mampuku
mampuku
1年以上前

1900年頃ヨーロッパ、家出お嬢様がアパートの大家をやる傍ら「何でも屋」というなの無茶な冒険をしながら世間を知り成長していくハートフルな物語です。ピュアで好奇心が強く、まじめで正義感が強く、お嬢様なのに目を離すと何をしでかすかわからない、だがなんやかんやで皆を笑顔にしてしまう。そんなジゼルが可愛すぎてロリコンになりそうです。 そしてとにかく美しい。絵も話も。「Fellows!(現ハルタ)」あるいは森薫などが好きな人がハマるやつですねこれは。私個人的な趣味でいうと人体描くのが上手い絵師さんが好きなので「乙嫁」より好きかも。 「ディテールに神が宿る」といいます。神曲(かみきょく)とか神演奏といった類のものにはディテールにまで魂が込められています。そういう漫画が私はたまらなく好きです。「ジゼル・アラン」の髪の毛一本にいたるまで美しい描線を、「HxH」や「呪術〇戦」のような漫画には見習ってもらいたいですね。 最後に、このシリーズは著者近影もあとがきもなくシンプルですが、ハードカバーの小説のような凝った装丁ですごくこだわりを感じます。ぜひ紙の本で読んで欲しい漫画です。

プロレス鬼

プロレスにファンタジーを感じられた時代の名作

プロレス鬼
名無し
1年以上前

格闘技だショーだ八百長だと何だかんだと 言われ続けてきたプロレス。 90年代の格闘技ブームや暴露本の出版等を経た結果、 最近ではショーやパフォーマンスとして扱われることが 多くなってきた感もある。 しかしかつてのプロレスは、 真剣勝負とファンタジーの狭間で 各人がそれぞれの思い入れと想像を広げて 楽しめる世界だった。 この単行本はプロレスファンであるコンタロウ先生が、 プロレスに対する様々な思いを作品化した短編集だと思う。 かつてプロレスは、単純に真剣勝負として語ったり 逆に八百長と決め付けて卑下したり、 あくまでも個人の趣味嗜好として楽しむだけだったり、 様々な人が様々な見かたをしていた。 そういう時代にコン先生がプロレスに対して 感じた思い入れや面白さを、様々なプロレスファンにも それぞれ受け入れられそうな各種の短編として 結実させた作品が収録されている。 プロレスは色んな意味で自由な世界で、 それぞれのファンがそれぞれの思いや好みや価値観で、 それぞれの楽しみ方が出来る世界だったんだ、 ということを感じさせてくれる単行本。

キングダム

無数の事実としての、無数の奇跡としての・・・

キングダム
影絵が趣味
影絵が趣味
1年以上前

いよいよ『キングダム』が化けの皮を脱ぎ捨てて、その本質を剥き出しにしてきたと思うわけです。これまで毎週のようにキングダムに夢中になっていながら、どうも周囲の熱狂ぶりから一歩身を引いてしまう自分がいました、自分の夢中になるポイントがどうも周囲とはズレているように思われて仕方なかったのです。 あるいは戦術的な細かな考察であったり、あるいは将軍たちの個性をマネジメント能力や経営論の名のもとにビジネス書にまでしてしまう素っ頓狂な連中、そろそろこういったものたちに厳しくノーを突き付けなければならないような気がするのです。やれキングダムから世間を語ろうがビジネスを語ろうが何を語ろうがそれはまったくの自由だが、そうすることでキングダムというこの漫画の一頁一頁に迸っている本来の魅力をうっかり見逃してしまいはしないか、そんな危惧があるのです。キングダムの魅力は、そんなふうに何かに援用されて語られるような二義的なものではないと切に思うのです。二義的であるというのは、すなわち根本的ではないということ。上記のような援用の仕草は、無数の事象の積み重ねによる幾重もの絡まり合いから途方もない事実として現前にあらわれる「いま、ここ」にあるものを単なる何かの理由からくる結果として弄んでしまう。 世間的には支離滅裂だと不評だった犬戎戦で、「元と正せば我こそが貴様らの祖、貴様らの王である」と因果論を振りかざすロゾに対して、フィゴ王は言わなかったか。 「何が王か、何が祖か、一体何百年前の話をしているのだ貴様は  貴様ら犬戎と我ら山の民は大きく違う  貴様らはこの平地の孤島遼陽に滞まり続けたが  我らは西の大山界で覇を争い戦い続けてきた  滞まるお前たちと違い、我らはそれぞれ夢に立ち向かう者」 まずフィゴ王は犬戎と山の民の違いを指摘してみせた、それはまさしく、ひとつの因果としての捏造された物語に組み入れられることへの拒否にほかならない、つまり、お前はお前だが、俺は俺だ、勝手に一緒にしてくれるなということ。その上で「我らは"それぞれ"の夢に立ち向かう者」、つまり、我らはお前が勝手にのたまう因果の物語には生きていない、我はそれぞれの目の前に瞬間ごとに立ちはだかるこの現実をしかと見据えている、ということだと思うのです。 そして最新話、散々騒がれた隊の覚醒とは、ひとはそこに因果を探りたくもなるものだが、じっさいには単なる因果とはまるで無縁の、いや無数の一瞬一瞬からくる因果のはてに荒唐無稽と呼びうるまでになった途方もない現実の積み重ね、ほとんどそのひとつひとつが奇跡ともいえる圧倒的に現前する事実また事実の一回かぎりの繰り返し、そのたったひとつとしての士気の爆発でした。 だいたい私たちはどんな因果の物語に括られようが、じぶんにこの先いったい何が待っているのか、そんなことは誰に言われるでもなくわかっているのです。同じようにキングダムの結果だってわかっているのです、秦は中華を統一して、やがて滅び去るのです。そして、ほかでもない私たちは秦が中華を統一した後の世界に生きている、そこにどんな因果があるだろうかはひとそれぞれにしても、とにかくこの事実だけはどうしてもひっくり返りようのない途方もない奇跡のような事実なのです。

僕の彼女は最高です!

タイトルに偽りなし! こんな彼女欲しすぎる

僕の彼女は最高です!
たか
たか
1年以上前

 気風が良い女性は大好きだ。背が高くて、おっぱいが大きくて、オシャレで、料理が上手(※自己申告)ならなおさら好きだ。 著者・伊織さんの彼女は驚くくらい男前で、彼氏力が半端ない。第1話からすでにかっこいいのだが、第2話の「沖縄での誕生日は最高です!」で完全に彼女さんに惚れてしまった...やだかっこいい/// 男らしすぎる行動と斜め上の発想力に、読んでいる間ずっと感心させられっぱなし。  笑いとラブの両方を存分に摂取できる、タイトルに偽りなしの作品です!

育てち魔おう!

表紙から伝わる家族愛…!

育てち魔おう!
たか
たか
1年以上前

 全巻の表紙が「子どもといると、そういう体勢になるよね〜!」と激しく共感できる温かなイラストですごくいい。わたしのお気に入りは4巻です!  魔界の三魔王たちが引っ込み思案な人間の幼児・マリスに振り回され、朝っぱらからパンイチであやすシーンにはただただ和みます。気が弱くておっとりしたマリスを、世話焼きのデス・マスク、おおらかなロック、クールなダーク・ナイトの3人が、自分なりに愛情を注ぐ姿は本当に心温まります…!  人の愛情を感じたいとき、かわいらしい子どもに癒やされたいときにぜひオススメです。

moon river

静かで素敵な話

moon river
む
1年以上前

20年吸血鬼と同居している編集の話。 吸血鬼ものってどう描いても面白いし描き用によってはギャグにもシリアスにもなりますよね。 この漫画は静かな話という印象を受けます。星空とか寒い日に息が白くなる感じとか。吸血鬼と会っているのに偏見を持たないとか、吸血鬼であるから心臓は止まっているとか、眷属になってしまおうとするとか…とても静かで素敵な話。

捏造トラップ-NTR-

奥が深い……のか

捏造トラップ-NTR-
mampuku
mampuku
1年以上前

彼氏持ちの女の子同士でイチャイチャしてたら意地悪な彼氏に見つかって写真撮られてドロドロがさらにドロドロしていく百合?漫画です。 武田(左の子の彼氏)はすごく良い奴なんですが、こと恋愛においてとりわけこういうドロドロしたフィクションにおいては良い奴ってのは損する運命にありますね。藤原(右の子の彼氏)は浮気をネタに脅して「女同士でやってるところに混ぜてよ」などという百合界で最も言ってはならないことを言い放つカス野郎ですが

HER

人形のように美しいけれど、お人形じゃない

HER
にわか
にわか
1年以上前

ヤマシタトモコの女性は人形のように美しい。色気があって、身体のバランスがよくって、はっきりとした顔立ちをしている。ただ、彼女たちの本当の魅力は『お人形』じゃないところにある。 この作品に扱いやすそうな女性は一人も出てこない。誰もが自身のスタイルを意識しているからだ。自分の内側の本音と外側の出来事。そうした揺さぶりの中から生まれる衝動。瞬間、彼女たちの表情や仕草はこれ以上ないほど瑞々しく描写される。その魅力はお人形には決してない、人だから出てくるものに違いない。何度でも読みたい。

アサ−シネ

連載再開希望

アサ−シネ
ひさぴよ
ひさぴよ
1年以上前

暗殺者同士が犯罪組織の代理戦争でひたすらドンパチするという、ヒラコー先生らしさ満載の作品。 登場人物には、某長寿番組で聞き覚えのある名前がチラホラ…。ふしぎな偶然の一致だろうか笑 おかげで、殺伐とした世界観にどこかユーモラスな雰囲気を与えることに成功している(ような気がする) 主人公の「銃狂(ガンマニア)」は過去の読み切り『ガンマニア』と同じキャラに見えるが、詳しい設定はいずれも不明である。 2013年にはComicREXからコミックバーズに移籍するも掲載が続かず、今だ単行本が出ていない。 まだまだドリフターズ描くので忙しいのだろうか・・・ このままボッシュートになるには惜しすぎるマンガなので、いつか連載再開してくれないかなあと思っている。

ばらの森にいた頃

私はBL初心者ですが…

ばらの森にいた頃
かしこ
かしこ
1年以上前

昭和元禄落語心中の人が描いたんだ〜!と無邪気に読み始めたら、想像以上にがっつり性描写があってびっくりしたけど、ページをめくる手が止まらなかった。 男性同士の恋愛だから自分(女)を介入する必要がなくて、純粋にキャラクターを愛でられる。これまたみんな可愛いんだよね!どうしてこんなに魅力的に描いちゃうのってくらい。 雲田はるこ先生のストーリーの膨らませ方が興味深い。ラブシーンへの持って行き方がとてもナチュラル。

Bの劇場

ゴシックロリータの世界に開眼した

Bの劇場
かしこ
かしこ
1年以上前

Aが1巻でBが2巻。短編集だけどAのキャラや物語が引き続きBにも出てくる。 読み手の心を動かすのがすごい上手いな。 美しいものが好きなオトナの為のおとぎ話って感じでとっても贅沢だ。 死の床にいる娘にそっくりな人形を造るように依頼された人形師の話が一番グッときた。 球体関節人形とか興味でてきちゃったなぁ…

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