影丸譲也作品の隠れた傑作
影丸譲也氏がこの「カミカゼ」の様な戦争を扱った作品を残していたとは知らなかったので、早速読ませて貰いました。安保闘争で機動隊と学生が一触即発状態の真っ只中に割って入った男(旧海軍戦闘機乗り牧飛曹長)の死に際の回想から、カミカゼ特攻の現場へ話は移ります。終戦までの特攻隊員の苦悩を描きながら、最期は宇垣纏海軍中将の行った、玉音放送後の特攻をモチーフにしたエピソードでカミカゼを締め括り、現代日本への警鐘を鳴らしながら一巻の終わりとなります。混乱していたあの頃の我が国全体に「カミカゼ」という言葉でもう一度原点に返れと促した様にも考えられる秀作です。