君の大声を聞いたことがない

現代社会で満足に生きられないアラサー女性のあまりに”リアル”な物語

君の大声を聞いたことがない
兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前

普段は冴えないけれど、一芸に秀でていてその瞬間だけ輝くというタイプの主人公の物語は枚挙に暇がありません。 しかし、本作は本当に何一つとして自分に自信が持てる要素がない29歳のヒロイン。それでも、やはり彼女も一人の人間として輝く光景に魅せられ自分も輝きたいと乞い願う瞬間が訪れます。ただ、それでもあっさり主人公が輝けるようにならないのがこの作品の真髄です。 群像劇として様々な人物との関係が生じる中でご都合主義的なイベントが無いわけではありません。が、それらも安易に主人公の幸せに直結はしないのです。そういう意味で極めてリアルな物語です。 この弱くひたむきな主人公の行く末はどうなるのか。自分に重ね合わせて読める人には特に非常に刺さる作品でしょう。

パティオの王様たち

乙女ゲーが好きな方に

パティオの王様たち
兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前

芸能事務所に所属する若手たちだけが住む男子寮にて管理人として住み込みで働くことになった女性の物語。 それ何て乙女ゲー? という内容ですが、実際に読んでみると想像以上に乙女ゲー的でした(だがそれがいい)。 特に入寮時にあまり主人公のことを好意的に思っていない物静かなメガネイケメンが、主人公と一緒に暮らす飼い犬に「その犬、騒がないよう静かにさせておいて下さいね」という所などド王道で高まりました。 陽キャや家庭的なキャラ、攻撃的なキャラなどタイプの違うイケメンたちの日々の生活に密着し、様々なハプニングが起こる様子が楽しいです。

着たい服がある

「多様性」っていうけど「自分らしさ」ってなにさ?という話

着たい服がある
mampuku
mampuku
1年以上前

 これだ!!!と叫びたくなる漫画。 「強い女性像!!ガラスの靴を叩き割れ!YEAH!!」ってな感じでハリウッドやディズニーを中心に流行っている欧米型の歪んだフェミニズムに「それって結局マチズモの焼き直しなのでは?」とモヤモヤしている人も男女問わず多いことだと思います。男ウケの悪いオルチャンメイクを「お前ら(男)のためにやってるんじゃないし」と堂々やるところまでは素晴らしい傾向だと思うのですが、だったらフリフリで可愛いスカートを自分の為に穿いてもいいじゃない!というのがこの漫画のテーマの出発点。  そして本題は、周囲に奇異の目を向けられながらも奇抜なファッションで出勤してくる同僚・小澤くんのこの言葉。 「何着てどこ行くかは自分で決めます」  常に周囲の目を気にして自身を持てず、小さな願望をひた隠しにしてきたマミは衝撃に打たれます。ひそかに憧れを抱いていたロリータファッションに恐る恐る身を包み、そしてここから自分の臆病さ、周囲の同調圧力、偏見などとの戦いが始まります。  私はずっと進学校でその手の圧力とは無縁だったのであまり共感はできませんが、マミの周囲の偏見社会には憤りを覚えます。日本の学校教育はおりこうさんを作る洗脳教育みたいなとこがあると言われてますが、偏差値が上がれば上がるほど自由になるともいわれていますね。とはいえ難しい顔して常識とやらを押し付けてくる人というのはどこへ行ってもいるものです。  経験上、小澤くんのように堂々としていれば周囲は黙ります。俗世のマウント合戦から解脱して、心の在りようによって世界が変わる、そんな「スッキリする話」がもっと増えたら素敵だなと思います。

夢印 豪華版 デジタル Ver.

ルーヴル×浦沢直樹×イヤミ

夢印 豪華版 デジタル Ver.
にわか
にわか
1年以上前

この作品が誕生したのは、ルーヴル美術館が漫画を「9番目の芸術」と認めて、浦沢直樹に執筆依頼をしたかららしい。そのため日本とルーヴル美術館をまたいだ美術品の話が主題となっている。見逃せないのは本作のキーパーソンの一人。どこかでみたことのあるシルエットに『しぇーーー』の声。そう、あのイヤミが出てくるのだ。 おフランスネタで知られるイヤミと、ルーヴル美術館。そして破産した工場で暮らすふたりの親子。壮大で夢ある物語が幕を開ける。いやぁ、引き込まれた。

メタモルフォーゼの縁側

あら〜あらあらら…いいわねぇ〜

メタモルフォーゼの縁側
む
1年以上前

気になっていたので読んで見ました。 おばあちゃんと女子高生!しかもBL談義をする、とな!? 可愛い〜!! 女子は何歳になっても女子!好きなもので何時間でも話せるし、年齢も国境も関係ないんです! 好きな人間関係、ありえそうな関係性です。 ホッコリしますね。好きなもの同志で繋がった関係はずっと良好で長く続くと思っている派です。 ずっとこのおばあちゃんと女子高生のやりとりを眺めていたい、そういう気持ちになりました。

サザンと彗星の少女

スペースオペラの歴史に新たな1ページが

サザンと彗星の少女
ANAGUMA
ANAGUMA
1年以上前

すべてが懐かしいのに新しい…。キャラのあったかい感じがたまらねえ。 ボーイミーツガールとスペースオペラのどちらかが好きなら 平成の最後にアップデートとして絶対読むべき一作です。 描き下ろしなんでしょうか、上下巻勢いが途切れることなく 一本の映画を観終わったときのような満足感があります。 ぜひ一気読みを!

ちいさこの庭

ゆったりとページをめくって味わう

ちいさこの庭
にわか
にわか
1年以上前

ちいさこという小人のような不思議ないきものを題材にしたファンタジー・オムニバス。恋をまだ知らないか、死の間際にいる人にしか見えないという設定が秀逸。小人は子供にしか見えないという言い伝えを巧みにオリジナリティに昇華させた。それぞれの話もうまくまとまっており、オムニバス特有のさりげない前後の物語のつながりも味わえる。満足度の高い一冊

マンガ サ道 ~マンガで読むサウナ道~(読切)

WEBでも読めるよ! サウナに100倍興味を持つようになるマンガ

マンガ サ道 ~マンガで読むサウナ道~(読切)
にわか
にわか
1年以上前

読みきり版もネット公開されていたので読んでみた。カラーが使われているのもあり、キャッチーな導入。話としてもよくまとまっていた。ただ、これ単体だと、ちょっと『ととのう』の感覚は伝わりきらないかもなぁと思った。とはいえ、面白いのでぜひ読んでほしい。 http://morning.moae.jp/lineup/468

中卒労働者から始める高校生活

主人公の劣等感がツライがそこが面白い

中卒労働者から始める高校生活
名無し
名無し
1年以上前

せっかくヒロインと上手くいきそうになっても主人公が劣等感をこじらせているから、絶妙に上手くいかないのがツライ。まぁ、自分の感情をコントロールするのは難しいからしょうがないとも思うけど。学歴や経済力の格差に対してどのような答えを出すのか見てみたい。

Present for me

石黒正数ファン必見。才能の原石が詰まった宝箱

Present for me
にわか
にわか
1年以上前

石黒正数の2000-2004年頃の短編をまとめた一冊。 荒さもあるが、やはり才能の片鱗を感じざる負えない。個人的にはその中の一作「カウントダウン」に注目した。どことなくそれでも町は廻っているの登場人物の原型がちらほら。話自体が特段際立っているわけではないが、掛け合いや、キャラのリアクションも小気味がよく、楽しい。こういうネタが積もっていって、探偵奇譚のようなものと結びついて、それ町は誕生したんじゃないだろうか。ジョセフィーヌぽいのもいた。フーン

アイとアイザワ

AIに恋する天才少女の冒険譚

アイとアイザワ
名無し
1年以上前

原作は左ききのエレンのかっぴー。作画は東京トイボックスや南国トムソーヤのうめ。なかなか魅力的なコンビ。 連載はマンガトリガーで一日一話無料のチケットがもらえる形式で読める。内容は、瞬間記憶能力「カメラアイ」の持ち主アイとAI【アイザワ】の恋と冒険の物語。話の展開は面白いが、すこし大味かもしれない。キャラ立ちもいいが、2巻完結のため、掘り下げが物足りない。もうすこし尺があればなぁと思った。

藤子スタジオアシスタント日記 まいっちんぐマンガ道 ドラえもん達との思い出編

アシスタントのまんが道

藤子スタジオアシスタント日記 まいっちんぐマンガ道 ドラえもん達との思い出編
名無し
名無し
1年以上前

えびはら武司と藤子・F・不二雄にこんな接点があるとは知らなかった。 ドラえもんだけではなく、ほかの藤子・F・不二雄の作品の今だから言える裏話などを語ってくれる。個人的には、第三者から見た、藤本先生、安孫子先生の像が面白かった。等身大の人間として漫画家を感じられる作品は貴重だと思う。 作者のドラえもん愛と藤本先生に対する愛を感じる良作。

シチハゴジュウロク

これは人気出そう!

シチハゴジュウロク
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
1年以上前

すぐにでもアニメ化されそうなビジュアルと設定! 絵も表現もめっちゃ良いし、話も面白い! 最近ワクワクして連載を追ってる作品の一つ。 夏、青春、入道雲、煩悩を抱えた男子高校生、謎の美少女、転校生、言葉使いが荒い可愛い幼馴染、突然の死、身代わり、呪い、時間遡行、復活、ミステリ、サスペンス・・・。 高校一年、夏、「五六冴郎(ふのぼりゴロー)」が、危うく死にかけた「藤宮しちは」を助けた拍子にキスしてしまったことで契約は交わされてしまった。 「ゴロー」が殺され、そのたびに「しちは」が身代わりになる。 ゴローは犯人を見つけだすと、しちはが蘇って代わりに犯人が死ぬ。 これを7回繰り返さなければいけないという。 死を繰り返す壮絶なミステリが始まった。 一人目からほぼ何の因縁も無い犯人だったため、2人目からめちゃくちゃ難航するんだろうなあと思ったら、やっぱりそうだった。 しかし、なんだかちょっと訳知り顔っぽいようなユニークなキャラクターたちが出てくるので全く飽きない。 そして、みんなかわいい。 システム的には、何度も殺されるなんてたまったもんじゃないから身代わりになったしちはを放置することもできる。 だが、それをやらないのがこの主人公だ。 ちゃらんぽらんでスケベなだけな男かと思いきや一本芯が通ってるというか、困った女の子は見過ごせないということなのか、迷いながらも覚悟を決めていく。 その過程もちゃんと恐怖と葛藤があってすごくいい。 「"狼(ウルフ)" "山猫(リンクス)" "生贄の山羊(スケープゴート)"」っていう呪文?もかっこよくて最高に中二心をくすぐってくれる。 すぐアニメ化しそうとはいえ、7人分ちゃんと終わらないと厳しいだろうなとも思う。 怪しくて面白いキャラクター達ばっかりだが、ラストに向けてどうなっていくのか! 楽しみにしてます!

課長島耕作

最初はオフィスラブが中心だった

課長島耕作
名無し
名無し
1年以上前

今や会長にまでなった島耕作。その原点となったのがこの作品。最初はオフィスラブ漫画路線だったために不用意にセックスする漫画になっている。高校の頃の同級生が「島耕作はセックスしすぎ」と部活中に発言して、先生から注意を受けたあながち間違った印象ではない。それでもそんなに島耕作からいやらしい印象を受けないのが、良くも悪くも島耕作という男が女性を自分の人生の一番大事な部分におかないし、おけない男だからだろう。顔もよくて仕事もできて女性に執着せず、運もある。そりゃ出世して当然だし、女性にももてるだろう。

SIDOOH―士道―

幕末を駆けた、それぞれの「士道」

SIDOOH―士道―
mampuku
mampuku
1年以上前

 数多い高橋ツトム作品の中でも屈指の長編大河。孤児となり反社会組織に売られ、絶望の泥の底から剣を振るうことで生き延び、やがて新撰組からも一目を置かれる剣客となった兄弟の物語。  高橋先生ほどの強力な作家さんが幕末という面白すぎる時代を真正面から描いたら、そりゃ面白くなりますわ。  正ヒロインの百舌ねえさんが物凄い美人でめっちゃいい女! 翔太郎もまた最高にかっこいい主人公なのでまさにベストカップル! それだけに戦いが始まるたびに死亡フラグなのではと疑心暗鬼でヒヤヒヤする羽目にw そしてあの結末──……  以前、広江礼威と虚淵玄の対談で、「男が最も輝く瞬間とは」という話があったのを思い出しました。「武士道と云ふは……」と有名な格言もありますが、まさにこの作品のタイトルに相応しいラストと言えたかもしれません

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