あやかしメルヒェン

座敷わらし、ドイツに降り立つ。 #1巻応援

あやかしメルヒェン 白乃雪
sogor25
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就職浪人中のコテツの家には、祖母の代から棲み着いている花緒という座敷わらしがいます。 霊感の全くないコテツは花緒のことを認識していませんが、花緒はコテツのことを慕っており、座敷わらしとして彼のことを守ると決意しています。 ある日、帰りの遅いコテツを迎えに行くために少し家を離れた花緒でしたが、 その瞬間にコテツの家に雷が落ち、部屋が全焼してしまいます。 しかし、焼け残りを整理していたコテツは何を思い立ったのか、ワーキングホリデーのために海外に飛び立ち、ドイツの「黒い森」にあるシェアハウスに住み始めます。 この作品は、そんなコテツに付いていった花緒とシェアハウスに棲むドイツのあやかしとの日常を描く物語です。 物語は基本的には人間には視認できないあやかしたちの視点で描かれています。 コテツが訪れたシェアハウスには不思議と各国のあやかしが集まり、日本のあやかしとの違いに花緒は毎度驚かされています。 特に、コテツのことを守ろうとする花緒と人間を敵視する精霊・ラッツェルとのいがみ合いが引き金になって騒動が巻き起こるのですが、気付いたら丸く収まっている、そんな様子が微笑ましい作品です。 また、花緒のことを認識していないコテツとそんな彼を慕う花緒の関係性もとても魅力的で、コテツが花緒を認識していないので一方通行ではあるのですが、人間と人外とのパートナーのようにも読める作品です。 1巻まで読了

土曜日のランチメイト

「半ドン」の土曜午後、調理室で秘密のランチ #1巻応援

土曜日のランチメイト 高尾じんぐ
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舞台は土曜日の午前中にも学校があった1990年代のとある中学校。 クラス委員長の2年生・高野真穂にはある秘密がありました。 それは、土曜日の授業が終わったあとのお昼に調理室にこっそり忍び込んで、そこでお昼ごはんを作って食べているということ。 しかしある日、いつものように調理室で1人お昼ごはんを食べているのを同じクラスの野球部の男子・宮森航太に見つかってしまいます。 それをきっかけに、毎週土曜に調理室にやってくるようになった航太と、彼と一緒にお昼を食べることになる真穂の様子を描いた作品です。 密かな楽しみであったお昼の時間を邪魔されたくない真穂と、ただ部活前においしいお昼が食べたい航太。 2人は最初はいがみ合っていましたが、真穂のマジメな性格と航太の無邪気さが予想外に噛み合い、次第にまるで夫婦のようなやりとりをし始める、そんな様子が微笑ましい作品です。 また、作中で描かれているのは一見すると現代と同じような中学校の風景なんですが、よく見てみると1990年代らしい描写がいろんな所にあって、読む人によってはどこか懐かしい、ノスタルジックな雰囲気を感じるかもしれない作品です。 1巻まで読了

死ニカエリ

自殺の「方法」を異能力にして蘇るバトルアクション #1巻応援

死ニカエリ 反転邪郎 反転シャロウ
sogor25
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主人公の青年は両親が無理心中を図ったという過去の経験から"自殺"というものに過剰に敏感になっている大学生。 彼が近所の「自殺の名所」と呼ばれる場所の前を通りがかったとき、中学生くらいの少年がその中に入っていこうとするのを目撃します。 慌てて彼を止めようとその自殺の名所に入っていく主人公でしたが、少年に追いついた場所にはすでにもう1人“先客”がいて、しかもその男は不思議な能力を使い2人に襲いかかってくる という導入の物語です。 この作品は、1話の序盤で単なる噂話として語られている、自殺者がゾンビのように蘇る「死ニカエリ」と呼ばれる存在にまつわる物語です。 この「死ニカエリ」はただ自殺した人間が生き返っただけでなく、その自殺の方法に由来する特殊な能力を有しているという特徴があります。 異能バトル的な設定ではあるのですが その能力の発現方法はかなりインパクトがあり スプラッターホラーに近い雰囲気もある作品です。 また「自殺」という行為そのものに強い抵抗を示す主人公なのですが、1巻の途中である事実が判明し、今後の展開次第ではありますが、主人公の心の葛藤や倫理観の衝突にも注目したい作品です。 1巻まで読了

黄泉比良坂レジデンス

女子高生が地獄でメイドさんになるお仕事漫画? #1巻応援

黄泉比良坂レジデンス 川西ノブヒロ
nyae
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ひょんなことから生きたまま地獄に迷い込んでしまった女子高生のちまきと理智、エリコの3人(まず地獄に迷い込んでもそんなに動じない女子高生という図がすでに面白い)は、なぜかタワマン「黄泉比良坂レジデンス」のメイドして働くことに。お仕事を頑張って最上階まで登りつめれば、元の世界に戻れる…かもしれない。というお話。 地獄で働くとか地獄か!?なんですが、就職浪人のちまきはたとえ地獄でも仕事に就けたことに大喜び。メイド業に精を出し、毎日イキイキしています。メイドといっても便利屋みたいな感じですが。地獄ではおなじみのキャラクターもたくさん出てきます。かなり、ゆるい空気が流れる漫画です。地獄というより"地獄風"の町という感じ。 理智とエリコは進学が決まっていたので早く戻りたいんだけど、ちまきだけはそこがあまりはっきりしないんです。というのも、不幸な家庭の事情があったり、帰ったところでまたつらい就職活動を再開しなければならなかったりと、色々思うところがあるみたいです。能天気なアホに見えるちまきだけど、ここ(地獄)がやっと手に入れた"自分の居場所"だとすると、はっきりと帰りたいと思えないかもしれない。ちょっと複雑。 実際、現時点ではまだ3人のくわしい過去や人となりは描かれてないので予想するに理智とエリコにもなにかあると思うんですよね。たぶん。 1巻のさいごに、人間を地獄に呼び寄せている、閻魔大王すら知らない何者かがタワマンのどこかに住んでいるらしいということがわかり、ちょっとミステリ要素も生まれて更に面白くなりそうな予感です。

70年目の告白~毒とペン~

毒親に育てられたミステリーコミックの女王による自伝漫画

70年目の告白~毒とペン~ 高階良子
かしこ
かしこ

高階良子先生の作品を読んだことはないのですが、本屋の新刊コーナーで「ミステリー&サスペンスコミックの女王」「高階良子引退作」「真実の実話的物語」という気になるワード満載の帯を見たら買わずにいられませんでした。 実母の葬式で泣くことが出来ず、むしろホッとしていた主人公。どうして自分がこんな気持ちになったのか過去を振り返るところから物語が始まります。主人公が生まれたのは戦後ですが、まだ母のお腹の中にいた頃、疎開する旅の途中で何度も空襲に遭いながら、母は「ああ苦しい…!こんな子いなければよかったのに…」思っていました。そんな出来事があったからなのでしょうか、5人兄弟の3番目に生まれた主人公だけが母から愛されることなく虐待を受けて育ちます。しかも母には虐待をしてる自覚がないというのが恐ろしいです。 主人公がまだ小さかった頃に命の危険があるような病気になってしまうのですが、母がロクに看病をしようとしないのを父が見兼ねて、子供を欲しがっていた自分の姉夫婦の養子に出そうとしますが、母と姉の関係が悪化した為に一年で元の家に戻されてしまう事がありました。これが主人公に「自分は母に捨てられ、叔母にも捨てられた…」という意識を植え付けていて読んでいてとても辛かったです……。 とにかく最近よく問題にされている「毒親」の事例がてんこ盛りです!しかも学校の先生にもいじめられるし、唯一の救いだった父も亡くなるし、ハード過ぎる人生が続きますが、「辛くても自分には漫画があるから大丈夫だった」という言葉と、これから漫画家として活躍されることを知っているので、安心して読むことが出来ます。高階先生にはこれまでのしんどかった出来事をすべて吐き出して頂きたいです。続きを楽しみにしております。 #1巻応援

社畜ねこ

会社員ねこ田の社畜な生き様 #1巻応援

社畜ねこ 清水幸詩郎
nyae
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毎朝電車に乗って会社勤めをしている人だったら、社畜ではなくても「ある〜」って思うところがたくさんあると思います。 朝起きた瞬間から「帰りたい」って思うし、人間みんながやりたいこととか夢をもって生きてるわけじゃないし、自分より成績が下の人がいると安心するし、めちゃくちゃ行きたくねぇなって飲み会も、行ったら意外と楽しかったこともあるし、サボっちゃおうかなって思うだけで絶対サボれないし・・・。 会社勤めって最悪なところだけじゃなく、最悪な中でもたまに見つけるちいさな光もありますよね。意外とそれだけで続けられたりする。ねこ田にとっての片山さんの存在ってまさにそれだと思います。どこにでもひとりはいるんですよ、優しいというか、害がないというか、心のなかで勝手に心の支えに位置づけられる人。 だから友達みたいに仲が良かったわけじゃないけど、辞めるとなるとショックなんですよね・・・。 片山さん不在の会社をこれからどう生き抜いていくのか、もしくは抜かないのか。2巻以降もねこ田の生き様をしかと眼に焼き付けようじゃありませんか。 それにしても、ねこ田の仕事って一体何なんでしょう・・・?謎すぎて不安になるくらい謎なんですよね。私が知らないだけであるのか?0と1をひたすらに打ち続ける仕事が・・・。

諍い・ハーレム

こんな"異世界転生"アリですか!? #1巻応援

諍い・ハーレム シギサワカヤ
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主人公のプログラマーの男は、お盆休みの帰省中にイノシシに轢かれて死んでしまい、その結果、自身が開発に携わるゲーム「ファイナル・ドラゴン」の世界に転生してしまいます。 開発途中なだけあって、キャラクターの姿がダミーの画像だったり、転生直後に出会ったヒーラーの女性の名前が仮で付けられた「田中」だったりと世界観はどうにも締まらない感じ。 それでもなんとかこの世界で幸せに生きることを望んでいた主人公なのですが、様々なトラブルに襲われながら、“勇者ルート”としてこの世界を救う冒険の旅へと巻き込まれていくという物語です。 この作品、主人公の名前が「ルート権限」の"ルート"から来ていたり、道中で見かけたバグをデバッガーの如く修正して回ったりと、ゲームネタが多く盛り込まれている作品です。 いろんな種類のバグが現れては主人公にトラブルをもたらす、その様子も転生モノとしての目新しさを感じさせる作品なのですが、それ以上にタイトルにもある"ハーレム"の要素が1話の途中から強烈に打ち出され、作品の世界観は一気にアダルトな方向、シギサワカヤ作品の世界観に引き込まれます。 ファンタジーの世界にバグなどのゲームの要素、そして主人公を取り巻く愛憎劇と様々な要素が混じり合った唯一無二の世界観の作品です。 1巻まで読了

百合SMでふたりの気持ちはつながりますか?

オカシな私に、踏み込んでよ #1巻応援

百合SMでふたりの気持ちはつながりますか? みら
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

SM漫画としては、例えばスパンキングを見せておいてからのソフトな首輪束縛といった誘導や、各話間の注意書きやTipsにリアリティが……あるのかなぁ、私も成人漫画かビデオ位でしか知らないので……。 しかしここに複雑な「百合」関係性を織り込んで、特殊性癖を切ないドラマにして、心に刻み付けて来る。 登場人物は ●初恋相手に再会した高校生・更紗(S) ●更紗の1歳年上で初恋相手・澪(?) ●更紗の妹の中学生・桃乃(M) ●桃乃の級友でクラス委員・立花(?) とある事情から、短い期間で澪との関係を構築したい更紗。更紗と澪が近づく事で暇になった桃乃と、不真面目な桃乃を更生させたい立花。 描かれるのは「相手に踏み込みたい、何とか繋がりたい」という切実さ。それがSMプレイに込めて伝えられる時、昂る感情はエロスと噛み合い、巨大感情へと育って行く。 真摯さとインモラル、甘い恋とエグい性欲。そんな相反する物、あなたには無いか?と突き付けてくる。私と本気で繋がる気なら、私の中の異常性に踏み込んでよ、と。 (SMとしてはソフトだが)肉体的にも精神的にも痛々しい描写達。しかしこの痛みでしか、伝わらない感情がそこにはあった。

姉を好きなお姉さんと

恋は無くとも「エモい」同居 #1巻応援

姉を好きなお姉さんと 真くん
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

勿論ただの同居なら、別に恋愛は無くても、友情とか利便性とか契約とか、どんな関係でも構わない訳です。 で、この作品ですが、同居する二人の関係はかなりヘンテコ。 空き巣に入られて身の危険を感じた社会人・きのめは、一時的に居候させてくれる女性・あけびを姉に紹介される。しかし彼女、実は〈姉に〉恋してる! 漫画家のあけびはカッコよくて優しくて、変な男性に纏わり付かれるきのめには、頼れる存在。一方きのめは、得意な料理を振舞ってあけびに喜ばれる。win-winな関係は噛み合っていて楽しげですが、きのめの気がかりは、あけびの姉への恋心。 最初「姉を好きな人」とどう接して良いか分からずテンパる所から始まり、あけびの純愛に触れるきのめの、情緒が激しすぎて可笑しい。そして二人の生活は次第に楽しくなって行きつつ、あけびの恋はブレない。純情なあけびのポンコツな挙動も、また可笑しい。 心通わせてゆくコンビですが、恋になる感じは、する様なしない様な……姉の本心含めて、1巻ではゴールが全然予想出来ない。けれど同居物としては既に、互いへの思い遣りが「熱い」内容だし、今後もエモい展開が見られそうな気がします。

アエカナル

悪意の介在しない"たった2人だけ"の日常 #1巻応援

アエカナル 笹倉綾人
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サラリーマンの定井光臣は自らの命を絶つために山の奥深くに足を踏み入れていました。 彼がしめ縄の巻かれた大樹の側を死に場所に選んだそのとき、高い木の枝に縄を掛けようとする少女を発見します。 「彼女が首を括ろうとしている」と咄嗟に思った彼はその少女を助けようとしますが、実はその少女は単に干し芋を作ろうとしていただけでした。 ただしその少女・アエカは自分のことおただの人間ではなく、その土地の山の神に嫁入りしたため800年間生き続けている"八百比丘尼"(やおびくに)だというのです。 この作品はそんな2人の出会いから始まる異類婚姻譚のような物語です。 『ホーキーベカコン』を描かれていた笹倉綾人さんの新作。 仕事の多忙さに疲れて死を決意した定井でしたが、天真爛漫で朗らかなアエカに接するうちにいつしか生きることに対し希望を見出していきます。 一方のアエカも、山の神が去り、元いた村も滅び、150年もの間たった1人で過ごしていて、久々に接する人間であり、謎多き彼女にも優しさを見せる定井に徐々に絆されていく様子が描かれています。 作中で描かれていく、悪意の介在しないたった2人だけの日常は何気ない日々ながら心に染み入るものがあります。 ただこの作品、2人の日々を描くにはやや変則的な導入をしていて、それが今後の物語にどう関わってくるのかも気になるところです。 1巻まで読了