箱庭モンスター ~少女漫画家、ときどき紙袋~ 稚野鳥子
週刊誌から"魔窟"と呼ばれる少女漫画編集部へ異動した男
実はこの作品の前に『ゆめぐりっ!』という作品を読んだのですが、同じ東京下町の銭湯を楽しむ女子を描いて、こうも雰囲気が違ってくるのかと驚きました。
細かなペンタッチで描かれる下町と、そこを走ったり湯船で緩んだりする女子大生の肉感には、ふんわりキャッキャした『ゆめぐりっ!』とは違う、しっとりとした手触りがあります。
二人の女子大生は、銭湯を走って訪れる「風呂ラン」に興じる。風呂ランについてはネットでも知れるのですが、この作品でしか分からない事がありました。それは……
走った後、湯船に入る瞬間の感覚。
それがひどく面白そうなので、ちょっと風呂ラン、試してみたくなるじゃないですか!
二人のランはかなりハードそう。しかしそのハードさからしか得られない至福がある。そして初心者女子の、上級者に追い付き並走したいという向上心が、意外にも熱い。どんな所でもついていく!だなんて百合百合しい……。
更に風情ある街の描写も多く、街歩き漫画の派生種としての楽しみ方も。何とも贅沢な一品なのです!