しょけいしょうじょのばーじんろーど
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ついつい勘違いしてしまいますが、異世界転生したからって誰もが正義の主人公になれるわけじゃないんだよな。逆に想像してみてほしいです。我々が生きるこの地球に超常的なパワーを持った存在がフッと現れたら一体どうするのかを…。
というわけで本作の異世界では現世から転生してきた人間は基本的に世界のバランスを崩すリスクとして即殺対象。「転生したくない異世界ランキング」があれば上位に食い込んでくる異世界でしょう。
そして主人公も転生者ではなく処刑人のメノウです。「迷い人」と呼ばれる彼らが力を発揮する前に教会の命により処分するというハードな任務を帯びています。日々なんの罪もない迷い人を殺し続ける彼女ですが、殺せない迷い人アカリと出会うことで運命が少しずつ変わり始める…というのが1巻。
主人公が転生者ではなく異世界側の人間でダークヒーローっていうのが新鮮な設定だと感じました。メノウのキャラクターも血が通っていて魅力的です。
グッときたのは転生者たちが過ごしていた現世の教室の情景をメノウが想像するシーン。彼らと交流を重ねながらも殺さなければいけない、その葛藤や苦しみがよく表現されていると感じました。アカリに対して正体を隠している辛さとかもきっとあるんだろうな…。
今後は自分の任務に逡巡するメノウと読み切れないアカリの思惑が交差していくのが見どころになっていきそう。引き続きキャラクターの心の描き方を楽しみに読みたいですね。