閉じる
メニュー詳細
――これは、彼女が彼女を殺すための物語。この世界には、異世界の日本から《迷い人》がやってくる。過去に迷い人の暴走が原因で、世界的な大災害が起きたため、迷い人を見つけ次第、殺す役目を背負った《処刑人》メノウ。躊躇なく冷徹に任務を遂行していく中、次の標的である日本人の少女アカリと出会う。いつものように殺したはずなのに、平然と復活してしまう不死身の少女。確実に殺しきるための方法を探すため、メノウは彼女ともに旅立つことになるのだが――。GA文庫大賞の≪大賞≫を受賞した人気作、待望のコミカライズ第1巻! 原作者・佐藤真登により書き下ろしSSも収録!! ※こちらの商品には、巻末にデジタル版限定特典イラストが収録されています。※
ついつい勘違いしてしまいますが、異世界転生したからって誰もが正義の主人公になれるわけじゃないんだよな。逆に想像してみてほしいです。我々が生きるこの地球に超常的なパワーを持った存在がフッと現れたら一体どうするのかを…。
というわけで本作の異世界では現世から転生してきた人間は基本的に世界のバランスを崩すリスクとして即殺対象。「転生したくない異世界ランキング」があれば上位に食い込んでくる異世界でしょう。
そして主人公も転生者ではなく処刑人のメノウです。「迷い人」と呼ばれる彼らが力を発揮する前に教会の命により処分するというハードな任務を帯びています。日々なんの罪もない迷い人を殺し続ける彼女ですが、殺せない迷い人アカリと出会うことで運命が少しずつ変わり始める…というのが1巻。
主人公が転生者ではなく異世界側の人間でダークヒーローっていうのが新鮮な設定だと感じました。メノウのキャラクターも血が通っていて魅力的です。
グッときたのは転生者たちが過ごしていた現世の教室の情景をメノウが想像するシーン。彼らと交流を重ねながらも殺さなければいけない、その葛藤や苦しみがよく表現されていると感じました。アカリに対して正体を隠している辛さとかもきっとあるんだろうな…。
今後は自分の任務に逡巡するメノウと読み切れないアカリの思惑が交差していくのが見どころになっていきそう。引き続きキャラクターの心の描き方を楽しみに読みたいですね。