繊細で儚げなペンタッチと細やかな人物描写で描かれる骨太なホームドラマ
アパレル系の会社で働く末っ子のニイ 喫茶店を営む3女マコ 役所勤務の次女タエ シングルマザーの長女イチ 実家で一人暮らしの母 そして5人で育てた宝物であり長女の息子の岳 で構成される八条寺家の物語を描いた今作 本作の魅力はなんと言っても 繊細なペンタッチで描かれた人物描写だと思います 池辺先生の絵は線一本一本に着目してみると非常に繊細で今にも折れてしまいそうなものに見えますが、その線が集まり絵になったときには 不思議と一本芯が通ったような独特の力強さを持つ そんな絵の中で語られる5姉妹それぞれで全く違う社会への関わり方や家族への愛情表現は 長女の離婚と父親を失ってしまった息子というトラウマを抱えたまま生きている 彼女達なりの儚いながらも芯の通った力強い信念を見事に描いています そして、5人の女性たちの芯の通った生き方は 今、何かと不安定な社会の中を生きる僕たちが失いかけている 大切なものを思い出させてくれるかもしれません。