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夢なし先生の進路指導

夢みた後の現実を描く

夢なし先生の進路指導 笠原真樹
六文銭
六文銭

これ高校の教科書にして欲しいと強く思ったくらい衝撃的でかつ素晴らしかったです。 作者が『群青戦記』の人とわかって『リビドーズ』に続き、作風の幅広さにびっくりした。 内容は進路指導で夢を追うことの現実を伝える主人公、通称夢なし先生。 彼と彼の教え子1人を中心に、その教え子が自身の希望する進路を選んだ先で起きる苦悩や葛藤を描いた内容。 教え子1人ずつエピソード的に紹介するオムニバス形式な感じ。 夢を追うことのリスク。 夢がかなう人の確率や他者事例を頭では理解しているつもりでも、どこか 「自分は絶対そうならない」 と思い込んで突き進み、結局自分もその他大勢だったり 周囲の期待や意見との折衷によって、結果捻じ曲げられた夢だったことに気づかず、本当に自分が大事にしていたもの何か?を見失ったり。 その手の、夢を追ったことで得た代償をリアリティたっぷりに描いてくれます。 大きな夢をもて、夢を諦めるな、なんて安易に言えなくなります。 本作の素晴らしい点は、仮に失敗したとしても夢なし先生の指導によって、きちんとその後の未来(現実)を描いていること。 夢見て失敗した後の悲惨さだけではなく、何度でもやり直せるという力強いメッセージを感じます。 夢がある人もない人も、本当に多くの、特に色んな可能性に溢れた若者に届いてほしい作品だと思います。

宝石の国

重さと軽さが同居する、命の話

宝石の国
アフリカ象とインド象
アフリカ象とインド象

大好きな漫画です。 学生の頃、この漫画に狂っていた時期がありました。 友人全員にこれを読めとしつこく勧めて、 読んだ人に対してはお前はこの漫画の何もわかってない!と浅い考察を語る最悪のオタクでした。黒歴史です。 つまり、人を狂わせるほど魅力ある漫画ということとも言えます。言えますね。 とはいえ、こちらは既に多方面で紹介され尽くした人気作でもあります。 今さら自分の稚拙な語彙でレビューしても読むに耐えませんので、 ネットの海に散乱した情報に少しだけ補足をして、読むことを迷っている方の壁を取り払えればと思います。 この漫画が話に上がる時についてくるのが、とんでもない鬱漫画だという話題。 これが読み手の1つのハードルになってしまっていると思います。もったいない! 大丈夫。救いはあります。怖くないです。 確かに取り扱うテーマは重く、展開に心が締め付けられることはありますが、この作品の魅力はそこだけではないです。 素晴らしいのは重厚な世界観の中に、ポップさのエッセンスを忘れず組み込んでいること。 (ここで言うポップさとは、いわゆる大衆に寄り添う心のこと) 会話のテンポ、 キャラの関わり、 かわいらしいジョークのセンス。 そういう要素の節々に、作者である市川春子氏の人柄を感じられます。 そしてその人柄から読み取れるのは、 この人は読者の心をズタズタにしたい訳ではないよ〜。 ということ。 きっと最後まで読み切った方なら共感してくれると思います。 苦しさの先に希望がある。 これは人間の話。命の話。生と死の話。愛の話。宇宙の話。 火の鳥超えてます。ガチ。

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