これ高校の教科書にして欲しいと強く思ったくらい衝撃的でかつ素晴らしかったです。
作者が『群青戦記』の人とわかって『リビドーズ』に続き、作風の幅広さにびっくりした。

内容は進路指導で夢を追うことの現実を伝える主人公、通称夢なし先生
彼と彼の教え子1人を中心に、その教え子が自身の希望する進路を選んだ先で起きる苦悩や葛藤を描いた内容。
教え子1人ずつエピソード的に紹介するオムニバス形式な感じ。

夢を追うことのリスク。
夢がかなう人の確率や他者事例を頭では理解しているつもりでも、どこか

「自分は絶対そうならない」

と思い込んで突き進み、結局自分もその他大勢だったり
周囲の期待や意見との折衷によって、結果捻じ曲げられた夢だったことに気づかず、本当に自分が大事にしていたもの何か?を見失ったり。

その手の、夢を追ったことで得た代償をリアリティたっぷりに描いてくれます。
大きな夢をもて、夢を諦めるな、なんて安易に言えなくなります。

本作の素晴らしい点は、仮に失敗したとしても夢なし先生の指導によって、きちんとその後の未来(現実)を描いていること。

夢見て失敗した後の悲惨さだけではなく、何度でもやり直せるという力強いメッセージを感じます。

夢がある人もない人も、本当に多くの、特に色んな可能性に溢れた若者に届いてほしい作品だと思います。

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iメンター すべては遺伝子に支配された
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六文銭
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グリーンボックス【合冊版】
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六文銭
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気がつくと謎の部屋「グリーンボックス」に閉じ込められた主人公。 その部屋には 「欲しいものを思い浮かべながら滅ぼしたい国を選べ 当たりなら開放」 の文字と世界地図。 最初はテレビの企画か何かと疑い何もせずにいるが、徐々に我慢の限界になり試しに1つの国のボタンを押し自分のスマホと交換。 スマホからニュースを確認すると、それが現実であることを知る。 自身の命(というか食欲などの欲)と一国を天秤にかけるという設定が秀逸で、その後タカが外れたように国を滅ぼすことに抵抗がなくなっていく主人公の心理が面白い。 ボタン1つで国が滅びるというのが実感がなく、また人ひとりではなく、国単位なのも想像しにくいからより葛藤がないのだろう。 また自身もこの部屋に閉じ込められたという被害者意識から自らの欲を優先していく様が、生々しい。 当然、各国もだまっていなくて対策を講じるも、根本的な解決にならない。 このボックスの正体も徐々に明らかになっていくが、ジリジリとしたストーリー展開ですごい先が気になるつくり。 とにかくヒキがうまい。 どうオチがつくのか最後まで見届けたい作品です。
武士沢レシーブ
謎に読み返したくなる
武士沢レシーブ
六文銭
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