塀の中の女医さん
最近「塀の中の美容室」という作品が話題になっていましたが、刑務所のことについて知らないことばかりで興味深いです。女子刑務所の中の「女医」という視点から垣間見える人間ドラマを描いています。主人公は東京の病院に勤務しながら、地元の女子刑務所の非常勤の医師として働くことに。最初は単純な興味本位のみで、刑務所の世界に足を踏み入れてゆくのですが…。 受刑者同士のいざこざや、高齢化の問題、薬物の依存症、出所後の社会復帰の問題など、何も知らない状態の主人公を通して、数多くの現実に直面していきます。 全体的に暗く重い雰囲気なので、少しギャグっぽいコマでもあまり笑って読むことはできず…なかなかにショッキングなシーンが多くて辛くなるので、心が弱っている時に読まない方がいいかもです。 作者の佐藤智美さんは、「ブラックジャックによろしく」で知られる佐藤秀峰さんの元奥さんと後で知って納得。ブラよろの影響も凄いあるように感じました。
あなたの知らない仕事をする人たち、ともいえるようなお仕事漫画なんだけど、考えさせられてしまう。
「医者は助けることしかできない」という言葉が印象的だった。
死にたい人がいても、助けることしかできない。
逆に生きたい人がいても、助けられる範囲を超えていたら救うことができない。
ものすごくストレスが多そうだ。
刑務所の中のお医者さんの仕事は、救急と全く違うものかと思えば、そんなことはなく、人間関係がごちゃごちゃしているようだ。
救急って、そんなに色んな人が来るんだとか、刑務所の医者って、学校の保健師さんとは違うんだとか。
刑務官の人が言っていた、「親身になりすぎたら、自分が辛いだけ」が身にしみてくる。
ずっと関わるわけでもない人、理解することができない考え方や生活をしている人。
心のケアは精神科の先生を呼んでいる、肉体的なケアは医者(内科?外科?)、刑の全うを見守るのは刑務官、と分業されているのは、線引をしなければ、心がやっていけないし、体がいくつあっても足りないからかもしれない。