一巻無料でなんとなく読んだら、なにこれ、すごくおもしろい。
あはは、でなくて、興味深いほうのおもしろさ。

帰宅した主人公。
玄関を開けて出てきた美人さんに対して主人公のモノローグ。
――嫁です。
ページをめくって、追加モノローグ。
――兄の嫁です。

この流れに、グッと心を持っていかれた。
その前に兄が死んだ話をされている。
それでも兄の嫁と、兄との思い出を語り合いつつ暮らしている。

――両親は昔 死んで 兄も半年前に死んで
――今は 兄の嫁と 暮らしています
――ただ それだけの話です

主人公のモノローグはたんたんとしている。

なんてことない日常が綴られているのに、少し歪な関係が加わるせいで、相手を利用していると罪悪感が端々からこぼれてしまう。
幸せそうにしているのに、どこかうまくいってない。
うまくいってるように思えると、出てくる亡くなった兄の影。
ふたりとも、喪失感を受け入れないといけない。

一巻まで読んだところだと、幸せな日常に見えてどこか欠けていてつらい。
あらすじに「日常センシティブストーリー」と聞き慣れない単語があるのは、この気持ちをあらわしているんだろうか。

読みたい
兄の嫁と暮らしています。

"日常"の中に想いのすれ違いの切なさが見え隠れするストーリー

兄の嫁と暮らしています。 くずしろ
sogor25
sogor25

両親を早くに交通事故で亡くし、兄夫婦の元で暮らしていた女子高生の志乃。しかし、半年前に兄も病気で失ってしまい、始まったのは兄の嫁"希さんとの共同生活。 1話で志乃のモノローグとして語られる「今は 兄の嫁と 暮らしています ただ それだけの話しです」という言葉の通り、彼女たちの"日常"が淡々と描かれる作品です。2人の周囲の人々も過度な心配を見せずに普通の"日常"として彼女たちに接しており、発生する事件も高校生や社会人であれば充分起こり得るもので、基本的には明るい作風で展開していきます。このあたりは元々コメディ寄りの作品を中心に発表されているくずしろさんならではという感じがします。 しかしながら、物語の中でときおり彼女たちが感じる「後ろめたさ」や「心のトゲ」のようなものが見え隠れします。志乃のほうは自分が居ることで希さんの将来を縛ってしまっているという罪悪感のような感情、希さんは亡き夫の影や理想の生活を志乃の向こう側に見てしまっていることなど、お互いがお互いの事を想っているからこそのすれ違い、それが"日常"の中に見え隠れするという繊細な作りの作品です。 「百合姫」等で百合作品を多数発表されているくずしろさんの作品ということで、この作品を百合作品として見る感想も見かけますが、私としてはこの作品は百合ではなくむしろ家族愛に近い、でもそれともどこか違う、もしかしたらまだ日本語には存在しない愛の形の物語なのではないかと思っています。 近作でいえば「違国日記」や「春とみどり」、百合作品との対比という意味で「たとえとどかぬ糸だとしても」などが好きな方には是非読んで頂きたい作品です。 5巻まで読了

ヤンキー君と白杖ガール

目からの情報過多な世の中

ヤンキー君と白杖ガール
ゆゆゆ
ゆゆゆ

登場するヤンキーは顔の傷がなくて、服の趣味が良ければ、ものすごく人が良くて純愛している好青年。 弱視の女の子に「ポエマー」と言われるほど、大好きなユキコさんの前では好青年。 一線を越えると黒豹に戻るようだけど、ユキコさん第一なので基本は好青年。 コミュニケーションお化けのようなユキコさんも、見えないからそう変わらざるを得なかったとあって、相当な苦労の上であの人となりができていて、結果が一話冒頭の白杖ケツアタックなんだなぁと思った。 コメディになる部分は、NHKの番組バリバラでみた、障害者コントを思い出させた。 障害は触れるのを避けるべきことでもなく、彼女たちには当たり前なことで、その中でのからかいや日常の楽しみ、苦労が興味深く描かれている。 もちろんコメディ要素だけでなく、しれっとヤングケアラーとなっているきょうだい児の話や、人は年を取ればいずれ見えなくなることが描かれていて、でも重たい話のはずがドロドロしておらず、あっという間に読み終えてしまった。 視力がオレサマはなるほどなと思ってしまった。 かき氷シロップはオレサマを感じさせてくれる食べ物。食品に絞ると、嗅覚が2番手のオレサマ。 ちなみに登場キャラクターのなかでは、高校生男子らしくムラムラ大好きな青野くんがとても好きだ。

ワタシってサバサバしてるから

広告で見たことがあるやつだ

ワタシってサバサバしてるから
ゆゆゆ
ゆゆゆ

主人公が「私ってサバサバしてるから〜」っていうタイプの人間でした。 「みんな私のこと「かわいい」って言ってくれるけど本命にはしてくれないね?」で知ったのですが、主人公を「うわー何こいつ」って言いたくなるキャラクター(悪役)にして、当人が落ちていくさまを眺めるジャンルっていうのがあるんですね。 身近にいたら、さりげなくフェードアウトしたくなるタイプの性格ですが、「女の敵は女」というあたりはリアルです。 そして、男の中で生きようとしているわけでなく、同性と仲良くするわけでなく、人がいっぱいいるところに飛び込んでいるのに、孤高です。 読んでいて、どうしてそういう考えに?と思ってしまい、主人公なのについていけません。 本編を悪役サイドで見ている気持ちです。 とはいえ、ライバル視されている本田さんが主人公だと、「私ってメンタル強めだから〜」と、メンタルの強さを過剰に見せつけてくるキャラクターに改変されてしまいそうで、そんな本田さんは見たくないなと思ってしまいます。 よくよく考えれば、周囲がこれほどひいた反応を取っていてもへこたれず、ゴーイングマイウェイでいられる主人公の網浜奈美は非常にメンタルが強いです。 ビジュアルが本田さんと主人公が入れ替わっていたら、どんな感想になっていたんでしょう。

最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか

殴るためのお肉

最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか
ゆゆゆ
ゆゆゆ

このタイトルで、この絵柄で、いわば北斗の拳。 いや、くにおくんかもしれません。 陰湿なイジメが繰り広げられる恋愛モノかと思えば、メリケンサックが出てくるタイプの恋愛モノでした。 メリケンサックと恋愛モノって、同時に存在しうるんですね。 「パワー・アントワネット」と違い、ムキムキでもなく、筋肉でもなく。 公爵令嬢として腐った世の中を正すため、いや殴りたいから主人公は暴力をふるいます。 ストッパーが無くなった彼女は強いです。 ターゲットの名前がいつの間にか「肉」呼ばわりになっていて、こうやって人でないから殴ってよしと正当化するのかなとチラと思えば、その肉がことごとく、言い訳できないレベルの悪役たちで、世直しのためには、殴っとこうかという気持ちを読者に湧き立てさせます。 そして、時の女神の力を借りて、倍速やらなんやらブーストさせて、「ボンボコボンボコ」殴って蹴って。 暴力シーン(連続)もこのきれいな絵柄のママ繰り広げられ、「創竜伝」の龍堂兄弟のようなめちゃくちゃな振る舞いも、このきれいな絵柄のママ繰り広げられます。 とりあえず公爵令嬢なので、一線は越えていないそうです。不殺です。 すべて峰打ちなので大丈夫らしいです。さすがです。 暴力で解決はよくないけれど、早いんだということはよくわかります。

あにのよめとくらしています
【ebookjapan限定特典付き】兄の嫁と暮らしています。 1巻
兄の嫁と暮らしています。 2巻
【ebookjapan限定特典付き】兄の嫁と暮らしています。 3巻
【デジタル版限定特典付き】兄の嫁と暮らしています。 4巻
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