サスペンスホラーだから遥人が生きていたのは(と言っても、普通のありかたで生きていたのではないのは明らかだけど)決して反則気味ではないと思うし、誰得というのもよくわからないけど、とにかく「怖くない」に尽きるのよね。

ホラーの怖さのひとつって、「悪くないのに死ぬ」というところにあると思うので、この作品みたいに「悪いことしたヤツが死ぬ」のって、(あんな残忍な殺されかたをしなければならないほどのイジメだったかというと疑問ではあるけれども)「順当」っぽくてあまり怖くない。せめて和真が死ねば「えぇ…和真って殺されるほど酷いことしたっけ…?」となるけど、結局は許されている。

漫画の限界みたいなところもあるのかな。画力はめちゃくちゃある作家さんだと思うけど、それでも30-40年前の安っぽいホラー映画のいかにもな合成画像やマネキンのほうがまだ怖かったりする(だからこそ、漫画ではストーリーが大事な気がするのに、まさに拍子抜けな終わりかた。あの遥人が結局どういう存在なのかすらよくわかんない)。

なんか、森田まさのり氏らしくないよーな気がしちゃうんだよなぁ。

でも、悪いヤツは死に、そんなに悪くないヤツは死ななかった(和真も結局は生かされた)という点では、森田まさのりっぽいとも言えるよね。面白さは別として。

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ザシス

ザシスの意味とは

ザシス 森田まさのり
六文銭
六文銭

「ろくでなしBLUES」から「べしゃり暮らし」まで、一通り読んでいる作家さんだけに本作も当然手に取りました。 1話読んで、サスペンスであること、その世界観にひきこまれ これは完結してからイッキに読もう と思い、完結を楽しみにしてましたが(変な話ではありますが)まさか3巻でおわってしまうとは。 一気読みした最初の感想としては、ギャク色の強い作風の作家さんなのに、この手のストーリーもイケるのかと唸った。 誰が犯人なのかはもちろん、主要な登場人物の誰もが、実は後ろ暗い過去をもっているびっくり展開は、良い意味で緊張感があって、最後どう転ぶのか気になり読んでてあっという間だった。 ミステリでありがちな、くどい説明とかもなく、絵だけで魅せてくるのも読みやすかったし、不気味なタイトルが結局何なのか気になりながら最後につながるのも良かった。 総じて、面白かったという月並の感想なんだけど、3巻でキレイにまとまっている作品だと思います。 この手の作品で、個人的に重要だと思っている、読者に結論を委ねる部分もしっかりあって、そういう意味でも読後感は良かったてす。 3巻完結なので、イッキに読んでザシスの意味を噛み締めて欲しい。

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