sinkで出来ていたことが出来ていない
漫画家としての作者の実力はここで記述するまでも無い程に圧倒的なのは周知の事実である。しかし、この作品においては、その実力を発揮しきれていない。サスペンスにも関わらずコマ割りが細かくテンポ良く進むため、サスペンスが必要な箇所でなんてこと無い日常の様に進んでいってしまう。ましてや大ゴマにする必要の無い箇所で大ゴマにしてしまっている。絵の造形も不気味な雰囲気が失われギャグのキャラ造形になっている為、ここでもサスペンスが失われる。sinkで出来ていたことが何故出来ていないのだろうか?
元受刑者11人の社会復帰の支援と地域復興を目的として、高齢化と人口減少が進んだ町が受け入れを決めましたが、このことを知っているのは市長と旧知の友人の計3人だけという極秘プロジェクトだったのです…!
1巻に収録されてる山上たつひこ先生といがらしみきお先生の対談で、山上先生のおっしゃった「元受刑者と市民の生理、皮膚感覚とのせめぎ合い」についての部分と、いがらし先生がより興味を持たれた「幸福のDNAと不幸のDNAの話」の両方が作品を読み解く上での大事なポイントになってると思いました。
元受刑者も中々の凶悪犯揃いなのですが、最後に教育委員長が起こした事件はびっくりしましたね。善良な人だと思ってたから尚更ドン引きしました。でも炎上したトラックが海に落ちたのを目撃したイジメられっ子が「生きてたらこんなすごいものが見られるんだ」と感動していたのには笑いました。