『転送者』のあらすじと感想にコメントする
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名無し
1年以上前
それぞれの短編のあらすじと感想を書いてこうと思います。 まずは短編集のタイトルにもなっている前後編作品「転送者」から。 ①「転送者」 未来を変える研究者となるヒロインを巡って20年後の世界から殺し屋とそれを守るボディーガードが「転送」されてくる話。作中でも突っ込まれてますがざっくり『ターミネーター2』だと思ってもらえれば話が早そう。 ヒネリがあるのは実体がタイムトラベルしてくるのではなく、「転送者」の意識だけがその時代の人間の体に宿るところ。おかげでT2のトンデモロボバトルの代わりに人間の限界を超えたスタイリッシュな殺し合いが見られます。 転送者の神覇玲二(こうはれいじ。すごい名前だ)の転送先はいじめられっ子の高校生遠野くんの体。彼の人格・振る舞いが急に変化したことで周りとの関係も変わるのが面白かったです。 『スプリガン』の次の連載ネタとして描かれたようですが、彼がさまざまな人に転送されることで歴史を守りつつ多くの人の未来も変えていく…というのがコンセプトだったんじゃないかなと想像されますね。 しかしながら皆様ご存知のとおり、本作ではなく『ARMS』が連載されたというのが実際の歴史。連載にならなかった理由は皆川先生の解説にもありますが、これから読まれる人は何故なのか考えながら読んでみると面白いかも。

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名無し
1年以上前
④S.O.L 皆川作品の中でもしかしたら最も一般知名度のあるキャラクターかもしれない最強の母親こと『ARMS』の高槻美沙(主人公の前で無残に殺されると思った次の瞬間拳銃で相手の頭を吹き飛ばしてる画像の人)。 本作のヒーローもその系譜に連なっているのではないでしょうか、そう「おばさん」です。名前も明かされないのでおばさんとしか言いようがないのですが、ママチャリを斑鳩悟のように駆る姿がキマってます。 このおばさんがヤバい案件に巻き込まれた超絶ツイてない冴えない主人公を守り抜くぞ! 高槻ママは美人で優しくて超強いというファンタジー盛々のキャラクターでしたが、本作のおばさんは見た目はただのおばさん、言動もおばさんです。それでも依頼人を守り励ます姿は紛れもなくカッコいい、カッコよさとは何なのかを原液でお出しされたような感覚になります。 名前も不明、一切のバックグラウンドも説明されない、ヤバそうな仕事を引き受けてそれを捌く異常な実力の持ち主だという一本槍だけで勝てるのはやはり皆川節の妙味。皆川節は全てを解決する。 ちなみに皆川先生は長ネギが苦手らしくて、そこから発想して本作が生まれたそうです。もうわからん。
名無し
1年以上前
それぞれの短編のあらすじと感想を書いてこうと思います。 まずは短編集のタイトルにもなっている前後編作品「転送者」から。 ①「転送者」 未来を変える研究者となるヒロインを巡って20年後の世界から殺し屋とそれを守るボディーガードが「転送」されてくる話。作中でも突っ込まれてますがざっくり『ターミネーター2』だと思ってもらえれば話が早そう。 ヒネリがあるのは実体がタイムトラベルしてくるのではなく、「転送者」の意識だけがその時代の人間の体に宿るところ。おかげでT2のトンデモロボバトルの代わりに人間の限界を超えたスタイリッシュな殺し合いが見られます。 転送者の神覇玲二(こうはれいじ。すごい名前だ)の転送先はいじめられっ子の高校生遠野くんの体。彼の人格・振る舞いが急に変化したことで周りとの関係も変わるのが面白かったです。 『スプリガン』の次の連載ネタとして描かれたようですが、彼がさまざまな人に転送されることで歴史を守りつつ多くの人の未来も変えていく…というのがコンセプトだったんじゃないかなと想像されますね。 しかしながら皆様ご存知のとおり、本作ではなく『ARMS』が連載されたというのが実際の歴史。連載にならなかった理由は皆川先生の解説にもありますが、これから読まれる人は何故なのか考えながら読んでみると面白いかも。
宝石の国

重さと軽さが同居する、命の話

宝石の国
アフリカ象とインド象
アフリカ象とインド象

大好きな漫画です。 学生の頃、この漫画に狂っていた時期がありました。 友人全員にこれを読めとしつこく勧めて、 読んだ人に対してはお前はこの漫画の何もわかってない!と浅い考察を語る最悪のオタクでした。黒歴史です。 つまり、人を狂わせるほど魅力ある漫画ということとも言えます。言えますね。 とはいえ、こちらは既に多方面で紹介され尽くした人気作でもあります。 今さら自分の稚拙な語彙でレビューしても読むに耐えませんので、 ネットの海に散乱した情報に少しだけ補足をして、読むことを迷っている方の壁を取り払えればと思います。 この漫画が話に上がる時についてくるのが、とんでもない鬱漫画だという話題。 これが読み手の1つのハードルになってしまっていると思います。もったいない! 大丈夫。救いはあります。怖くないです。 確かに取り扱うテーマは重く、展開に心が締め付けられることはありますが、この作品の魅力はそこだけではないです。 素晴らしいのは重厚な世界観の中に、ポップさのエッセンスを忘れず組み込んでいること。 (ここで言うポップさとは、いわゆる大衆に寄り添う心のこと) 会話のテンポ、 キャラの関わり、 かわいらしいジョークのセンス。 そういう要素の節々に、作者である市川春子氏の人柄を感じられます。 そしてその人柄から読み取れるのは、 この人は読者の心をズタズタにしたい訳ではないよ〜。 ということ。 きっと最後まで読み切った方なら共感してくれると思います。 苦しさの先に希望がある。 これは人間の話。命の話。生と死の話。愛の話。宇宙の話。 火の鳥超えてます。ガチ。

転送者 皆川亮二短編集

てんそうしゃみながわりょうじたんぺんしゅう
著者:皆川亮二
最新刊:
2021/04/12
てんそうしゃみながわりょうじたんぺんしゅう
転送者 皆川亮二短編集
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