皆川亮二の短編集!
普段長期連載作家として名を轟かす先生が出す短編集ではよくあるんですが、色々と試行しているのが面白いんですよね。 こちらも例に漏れず色々遊んでいます。 『進撃の巨人』の諫山創先生とのコラボ読切や、3話完結作品のS.O.L、更にはサイレント漫画などもあり、どれもインパクトあってよき。
『スプリガン』『ARMS』などのヒット作で知られる皆川亮二、初の短編集。表題作の他、『ユーキャンドゥーイット?』『S.O.L』『奪還』、諫山創原作の『the Killing Pawn』の全5作を収録。
④S.O.L
皆川作品の中でもしかしたら最も一般知名度のあるキャラクターかもしれない最強の母親こと『ARMS』の高槻美沙(主人公の前で無残に殺されると思った次の瞬間拳銃で相手の頭を吹き飛ばしてる画像の人)。
本作のヒーローもその系譜に連なっているのではないでしょうか、そう「おばさん」です。名前も明かされないのでおばさんとしか言いようがないのですが、ママチャリを斑鳩悟のように駆る姿がキマってます。
このおばさんがヤバい案件に巻き込まれた超絶ツイてない冴えない主人公を守り抜くぞ!
高槻ママは美人で優しくて超強いというファンタジー盛々のキャラクターでしたが、本作のおばさんは見た目はただのおばさん、言動もおばさんです。それでも依頼人を守り励ます姿は紛れもなくカッコいい、カッコよさとは何なのかを原液でお出しされたような感覚になります。
名前も不明、一切のバックグラウンドも説明されない、ヤバそうな仕事を引き受けてそれを捌く異常な実力の持ち主だという一本槍だけで勝てるのはやはり皆川節の妙味。皆川節は全てを解決する。
ちなみに皆川先生は長ネギが苦手らしくて、そこから発想して本作が生まれたそうです。もうわからん。