どこか陰のある男を描かせたらピカイチにコメントする
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ブルース

「指が6本ある男」を巡る女達の群像劇

ブルース もんでんあきこ 桜木紫乃
天沢聖司
天沢聖司

色気の魔術師(※勝手に命名)もんでんあきこ先生の新刊ということで購入。町の名士だった影山博人という男が死に、かつて影山に惹かれた女達がひっそりと記憶を分かち合う物語。 この影山がまぁ〜〜〜すごくて。 「暗い過去を背負った陰のあるいい男」なんですよ。 これだけで「そんなの惚れない女いないわ!!」って感じですけど、作中でもまさにその通りで、過去に彼と関係をもった女性たち全員の心の中に、彼の存在が強烈に刻まれ残り続けているんですよね。 https://twitter.com/mondenakiko/status/1283882978381148160?s=20 だんだん明らかになっていく影山の過去も面白かったのですが、女達の間に流れる空気感がすごく素敵でした。 全員にとって影山が特別な男であるということが、不思議な連帯感生み出していて、それがなんかすごくいい…。 若く貧しい6本指の影山と、成功を収めた5本指の影山の両方と寝た有閑夫人。 経済格差が目に見えてわかる閉鎖的な町で出会い、影山が初めての相手だった同級生。 影山が引き取られた店で出会い、母親の葬式に立ち会い指の切断に協力した同僚。 母親の店を存続させるために頼みに行き、「1回分の礼」を受け取った娘。 上巻ではこの4人の女性の口から影山との思い出が語られます。 も〜〜ホントもんでんあきこ先生はナギと嵐とか雪人 YUKITOとか陰のある男書かせたら天下一品だなと実感しました。 影山が死ぬ少し前に「顔に痣がある女」がすぐそばで仕事を手伝っていて、この身体的コンプレックスのある女性がどう影山と関わっていたのか、下巻を読むのがすごく楽しみです。 (上巻1話の15歳の影山。最の高…)

宝石の国

重さと軽さが同居する、命の話

宝石の国
アフリカ象とインド象
アフリカ象とインド象

大好きな漫画です。 学生の頃、この漫画に狂っていた時期がありました。 友人全員にこれを読めとしつこく勧めて、 読んだ人に対してはお前はこの漫画の何もわかってない!と浅い考察を語る最悪のオタクでした。黒歴史です。 つまり、人を狂わせるほど魅力ある漫画ということとも言えます。言えますね。 とはいえ、こちらは既に多方面で紹介され尽くした人気作でもあります。 今さら自分の稚拙な語彙でレビューしても読むに耐えませんので、 ネットの海に散乱した情報に少しだけ補足をして、読むことを迷っている方の壁を取り払えればと思います。 この漫画が話に上がる時についてくるのが、とんでもない鬱漫画だという話題。 これが読み手の1つのハードルになってしまっていると思います。もったいない! 大丈夫。救いはあります。怖くないです。 確かに取り扱うテーマは重く、展開に心が締め付けられることはありますが、この作品の魅力はそこだけではないです。 素晴らしいのは重厚な世界観の中に、ポップさのエッセンスを忘れず組み込んでいること。 (ここで言うポップさとは、いわゆる大衆に寄り添う心のこと) 会話のテンポ、 キャラの関わり、 かわいらしいジョークのセンス。 そういう要素の節々に、作者である市川春子氏の人柄を感じられます。 そしてその人柄から読み取れるのは、 この人は読者の心をズタズタにしたい訳ではないよ〜。 ということ。 きっと最後まで読み切った方なら共感してくれると思います。 苦しさの先に希望がある。 これは人間の話。命の話。生と死の話。愛の話。宇宙の話。 火の鳥超えてます。ガチ。

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