「新黒沢 最強伝説」各巻を読んだ感想
前作は黒沢の死を予感させる衝撃的な最終回でしたが、なんと黒沢は生きていた!!8年も昏睡状態で!!というこれまたすごい始まり方。実際に前作から7年後の連載らしいので色々と時の流れを感じます。53歳の主人公ってすごい。
▼第1話/0番窓口のあいつ ▼第2話/見送る気持ち ▼第3話/始発まで ▼第4話/捜す人 ▼第5話/待つ少年 ▼第6話/乗り継ぎ駅へ ▼第7話/定年 ▼第8話/登り坂 ▼第9話/701番目の商品 ●登場人物/中村洋二(JL新新宿駅改札係・持ち前の親切心がいつも騒ぎを引き起こしてしまう)。渡辺(JL新新宿駅駅長・中村に理解を示し、温かく見守る)。磯山(JL新新宿駅主任・本社から転勤してきて、中村を目の敵にする)。 ●あらすじ/いつも明るく親切だがドジな新新宿駅員・中村。合理主義者の主任・磯山は、気に入らない彼を岩手に飛ばそうとするが、駅長は首をタテに振らず、彼を「理想の駅づくりに参加させる」と言う。そこに飛び込んできた自動改札機故障のニュース。うろたえる磯山をよそに、中村は改札に立ち、鮮やかなパンチさばきを披露する(第1話)。 ▼人捜しを懇願する老婆が、駅員たちを困らせている。中村が話を聞くと、彼女は、黙って家を出た息子・三郎と数年ぶりに会う約束をしており、新新宿駅で待ち合わせていたが、その場所がわからなくなってしまったという。冷たい磯山を振り切って、中村は老婆をおぶって駅構内を探し回り、ついに三郎を発見するのだが(第2話)。 ▼ある日、中村は夜勤中に泥酔したOLを見つけ、駅員室へ運ぶ。彼女は、昼は丸の内OL、夜はホステスと2つの顔を使い分け、自堕落な生活を送っており、中村の前でも「金持ちの男としか付き合ったことがない」と強がってみせる。ところが、故郷の彼女に宛てた中村の手紙を盗み読んだ彼女は、本当の気持ちを中村に告白し始める(第3話)。 ●その他の登場キャラクター/狂言ビジネスマン(第4話)、修くん親子(第5話)、小野さん(第6話)、伊藤さん(第7話)、年頃の娘を持つおじさん(第8話)、マコちゃん(第9話)
「築地魚河岸三代目」
作・大石賢一他、画・はしもとみつお、
が好きだったので、同じ作画コンビの作品と知り読んでみた。
予想以上に築地魚河岸テイストで、
さらに、なんか石ノ森章太郎先生の「HOTEL」とも
雰囲気が似ているなと思って確認してみたら、あちらも
原作が大石賢一先生だった。
まさにHOTELと築地~の間の作品で、
この作品を習作として築地~が出来たのではないか、と思った。
大都会の巨大駅に勤務する駅員・中村は
駅を通過する様々な人々と関わり、
人を導き人に導かれ、様々なドラマを経験し成長していく。
この構図はそのまんまHOTELや築地~と同じ。
舞台がホテル・駅・魚河岸と違うだけ、という感じ。
そしていずれもがビジネスの現場を舞台にしながら
ビジネスの利益や効率を重視する面から
少々、人情の側に偏っている面を感じるのも。
中村の行動は従業員マニュアルから逸脱することが多いし、
その理由が人情溢れる感覚からであることが
この漫画をヒューマンドラマにしている。
しかし中村の行動には乗客に配慮しすぎな印象も受ける。
ぶっちゃけ「そんなことするより本来の仕事をしろよ」
と感じてしまうシーンも多々ある。
だからこの漫画はビジネス漫画としてはけしてリアルではない。
「こんな駅員さんがいてくれたらいいな」
と思わせるドリーミイな人情漫画だ。
それを好むかどう評価するかは読み手次第だと思うが、
この漫画を習作として、
人情に偏りすぎないというか、
丁度いいくらいに人情と仕事を結びつけたのが
「築地魚河岸三代目」なんじゃないかな、と感じた。