あげくの果てのカノン 米代恭
あげくの果てのカノン完結記念トークイベントが青山ブックセンターで!!!!
先輩の気持ちが変わることは止むを得ないんですよ、という装置が物語上設定されている。この要素のおかげで先輩をカスのクズの最低野郎だと言い切ることが難しい。でもこの先輩は顔がいいだけのカスのクズの最低野郎ですよね。もしかしたらかつて、いつか、そうじゃない部分があったかもね、でももう忘れてしまった。そういう話だったかな?
終盤、人騒がせなご夫婦の共闘は陳腐でしかないと思ったしセカイ系もいいところだ。
雰囲気はあるけど、雰囲気しかなかった。主人公、それらしいモノローグで語るけど、あんまり響いてないよね実のところ?
ラスト、全てを捨てて遠くへ逃げた主人公は10年後、日雇いのバイトで知り合った女と一緒にカフェを開業、そして語ります、「毎日が楽しい。刺激がなくて、穏やかで、充実している。」と。先輩のことを「普通に考えてクズ」とのたまう。おまえもそれなりにクズだよ…。
不倫だからどうこうじゃなくて、なんかいろいろひどかった。思い込みの恋(悪いとは言ってない)ってこういうかんじだよね、それは生々しいと思った。
中盤、不倫の痛いところや不倫だからこそかなりドラマチックになる描写があっただけに、終着点はものすごく残念に感じました。
雨の描写はすごくいいと感じたし、地下と地上とか、設定は魅力的。一番好きだったのは、電車で北に向かう逃避行。車窓のカーテンをあけると、一面の雪景色。
主人公の弟は設定がいいのにイマイチ、先輩と同じ顔をしたメガネに関しては、何がしたかったの。
人の感想にまったく触れずここまで書いたので、これから人の感想を読みに行きます。傑作だったらどうしよう。