漫画を読む女S2020/08/04何度も繰り返し読み返してきた結果、感想が重い連載中から読んでいて、当時、私は子供心に大人社会、会社という場所に憧れたものです。 大きな会社には行ったことのないフロアや知らない場所がたくさんあって、そこには秘密が隠されていて、隠れキャラのオセロおじさんから主人公まりりんは隠しアイテム(いつでも真夜中でも空調が効いている、好きに使っていい一室)をもらったりします。対人関係のはったりや、夜のネオン街へのあこがれも、今思えばこのマンガで覚えたもののように思います。 ホワイトローズクラブの定例会、仲間たちと夏祭りの支度をすすめる様子にそれはそれはわくわくしました。 大人になって社会人になった私でしたが、あいにく運命的にT.Oさんと出会うことも、職場で峰岸さんや小野さん、山瀬さんと出会えることもなく、金曜の飲み屋で涼子さんと出会うことも出来ないままただひたすら年月を過ごしてきました。 さらに悪いことには、もしかしたら、私はたぶん、新入社員のまりりんを鬱陶しく思うタイプの大人になってしまった。つらいです。やるせないです。おかしいな? 果たしてT.Oさんに胸を張って好きですと伝えるのに恥ずかしくないような成長してこられたのか?できていないな… やるせない時、深呼吸をして、この37冊を読みなおしたりします。それを繰り返してきました。 昔ただよくわからない嫌な人でしかなかった上司、同僚、それぞれに暮らしがあって、考えがあって、だから働いていて、この漫画はそれを取り立てて肯定することもしないし否定もしていない。一時一瞬一緒に仕事をしただけの人、時を経て違う場所で再会した人、なんだかんだで関係が続いている人、いろいろ出てくる。まりりんは会社で人生を冒険していて、絶対の正義なんかじゃないけど、ひたすらまっすぐだ。ずいぶん遠くまで来てしまったな、そう思います。 さらに年を取って、そんなまりりんのまっすぐさに泣きそうになったり、実際泣き、何度も読み返したから隅々まで知っている話なのに、いつも節々で感動するのです。 大好きな社会人RPGコミックです。 なんせ冊数が多いので勢いで読むには大変だと思いますが、子供に、大人になっていく若者に、社会人になった人に、中年になった私などに、おすすめしたい漫画です。が、自分が抱くくらいに熱い感想を余所で見かけたことがないのが少し気になります。なんでみんな泣かないのん…? 好きなキャラクターは木村さんです。あと高田さんと小野さん。悪女深見じゅん10わかる
漫画を読む女S2020/07/23ネタバレこれからも、行こう一緒に。おおげさすぎなくてよかったし、なんだかんだで最後は友達に囲まれて…みたいな茶番もなく、ご都合主義でもなく、湯神くんがかっこつけすぎず、良かった。面白かった。 一番好きで笑ったのは、ちひろがネズミで林山が狂ったネコのところ。狂熱。元気になったよ。湯神くんには友達がいない佐倉準1わかる
漫画を読む女S2020/07/23存在への憧憬(ほとんどラブレター)3巻に掲載のポセイドンアドベンチャーのパロディー長編で岡田あ~みんって天才なんだなって理解できた気がしたクチです。 一切!無駄のない映画的コマ割りと構図に、流れるような科白回し、何度読んでも震えます(おおげさですが本当に)。うまくないのに、人の動きとか空間の描写がめちゃくちゃ上手で、弱冠二十歳でこれが描けちゃうって凄まじいことだなっていつも思ってます。 どんな環境でどんな本や映画に触れて構成されたお人なのか、それからどんな人生を過ごされているのか、気になって仕方ない、私にとっての岡田あ~みんはそういう存在です。ルナティック雑技団岡田あ~みん6わかる
漫画を読む女S2020/07/23The!!!料理マンガ読了しました。 ・一貫して主軸がそばつゆなのでまとまりがいい ・大げさすぎないのがすばらしい ・登場人物が面倒くさくない ・青沼さんが(ハゲではないけど)かっこいい、すてき ・ラストの頁がとてもいい 好きなモノローグ ・細胞膜の原理だわ さしずめ半透明のキャベツ膜 好きな展開とか ・(大会主催者のお金で行く)小樽で豚丼 ・涙を流す青沼さん ・父の持たせてくれたスイカ *** 今読みすすめているんですがおもしろいので読み終わったら感想を書きます。 ラーメン発見伝の芹沢さん(ハゲ)が好きなんですけど、こう、主人公に指針をくれるハゲ、じゃなくて存在がいるというのはとてもいいなと思います。 グルメバトルやそのインフレ化だったりそのやり過ぎな表現(食べた審査員が別世界に飛んでいくアレ)が嫌い…大嫌いなので、これはいい感じに進んでいて期待大です。旬 ~味彩の匠~高倉みどり7わかる
漫画を読む女S2020/07/11ネタバレ100○○○○○ワニかな?クリーニング代ならあげるわ…!バシャアッ からの、札束提供かと思ったら普通に違った。 それ以外にも、こう転がすのかな?→あ、違うんだ…あ、そう…へぇ…みたいな展開をしていきます。 4コマのオチがゆるめというかぬるめの大喜利的な言葉遊びなので、掲載誌は何なんだろと思ったら漫画アクションとのこと。ふむ。ふむ? 最終的にどっちに転ぶかな、と思って読み進めたら主人公は○○○○○○ので、ふーん、と思いました。私からは以上です。薄命少女あらい・まりこ3わかる
漫画を読む女S2020/07/11ネタバレ変わる気持ちとクズ賛歌先輩の気持ちが変わることは止むを得ないんですよ、という装置が物語上設定されている。この要素のおかげで先輩をカスのクズの最低野郎だと言い切ることが難しい。でもこの先輩は顔がいいだけのカスのクズの最低野郎ですよね。もしかしたらかつて、いつか、そうじゃない部分があったかもね、でももう忘れてしまった。そういう話だったかな? 終盤、人騒がせなご夫婦の共闘は陳腐でしかないと思ったしセカイ系もいいところだ。 雰囲気はあるけど、雰囲気しかなかった。主人公、それらしいモノローグで語るけど、あんまり響いてないよね実のところ? ラスト、全てを捨てて遠くへ逃げた主人公は10年後、日雇いのバイトで知り合った女と一緒にカフェを開業、そして語ります、「毎日が楽しい。刺激がなくて、穏やかで、充実している。」と。先輩のことを「普通に考えてクズ」とのたまう。おまえもそれなりにクズだよ…。 不倫だからどうこうじゃなくて、なんかいろいろひどかった。思い込みの恋(悪いとは言ってない)ってこういうかんじだよね、それは生々しいと思った。 中盤、不倫の痛いところや不倫だからこそかなりドラマチックになる描写があっただけに、終着点はものすごく残念に感じました。 雨の描写はすごくいいと感じたし、地下と地上とか、設定は魅力的。一番好きだったのは、電車で北に向かう逃避行。車窓のカーテンをあけると、一面の雪景色。 主人公の弟は設定がいいのにイマイチ、先輩と同じ顔をしたメガネに関しては、何がしたかったの。 人の感想にまったく触れずここまで書いたので、これから人の感想を読みに行きます。傑作だったらどうしよう。あげくの果てのカノン米代恭11わかる
漫画を読む女S2020/07/01ネタバレ心の置きどころの問題だ感想、何をどう書いてみても無粋だなと分かりました、なのでとりあえずみんな読んだらいいと思うけど、そんなこと言われても困っちゃうもんな… くだんは航路の先の未来を知っている、で、船を乗り換える装置である。拍手。 くだんによって家族が別の舟に乗り換えて行ってしまうことを恐れていた主人公だけど、乗り換えてこちらの世界から居なくなるのはほかの誰かじゃなくて自分だった。拍手! くだんは自身で予言したとおり殺されてしまった。乗り換えは完全ではなかったかもしれない。ただ、元の世界で家族や桜が願った皆の幸せは、あちらの世界で実際のものとなった。爆弾は落ちなかった航路の先へ、主人公は進んでいく。 それでも、「気持ちは相変わらず、あの悲惨な世界にある」し、「また心はあそこに戻っていく」。「色とりどりの襤褸をまとった、あの美しい舟の上に。」 心の置きどころの問題なのかもしれない。こうあればいいと願った世界がある、それに対しての現実など幻に過ぎないとそう思えたなら、その航路が終わった先で願った自分として目覚めるだけ。なんかとってもやばい思想ですが、この物語世界において、魅力的で、説得力しかないのです。 主人公に教育を受けさせたいと考えている清子さんにどうしても泣いてしまう。昭助兄さんも魅力的なお人ですが、私は清子さんが好きだな… ↑これだけだと、マンガへの感想には実はならないんですよな。私は漫画を読んでから原作小説を読んだくちですが、びっくりするくらい原作そのままのコミカライズだったんですね。 惹かれる要素の多くは小説由来かもしれないんですけど、たぶん小説のもつ雰囲気を100%以上に表現している…違和感がないというのは凄いことだと思うのです。 感想下手でいやになってくるな。 好きなので所有しているマンガです。五色の舟近藤ようこ 津原泰水9わかる
漫画を読む女S2020/06/30飄々とした様を見て救われたような楽な気持ちになる、そんなマンガでした。 パシらされる彼については、明日以降大丈夫なんかなってすこし心配になりますが、どう転んだとしてもあのかわいい人がいるからきっと大丈夫でしょうね。だめかもしれんが、大丈夫だったかもしれないし。 できれば瑣末ないろいろは軽く超越して日々を過ごしていきたいと思うんですけど、描写される平和な世界をうらやましいと思いました。一種のファンタジーかもしれません。 たとえば沖縄の土産物屋の土産物の箱の包装紙の描き込み方とかがあんまりに好ましいので、この作者の連載は読んでいます。自在に360°ぐるぐる回してどの構図も描けちゃうんだろうな。エピソードもしみじみ楽しくてとてもいいです。夢中さ、きみに。和山やま6わかる
漫画を読む女S2020/06/28ロリータハウツー本ではないロリータ服のハウツー本では全くなかったです。着用の心得とか、立ち居振る舞いのコツとか、メイク方法とかそういうのは一切無いです。ちょっとそういうのに興味があったのです… ロリータ服をきっかけとする、主人公の気づきと成長と出会いの物語とでも言いましょうか… 登場人物の中でもカヤさんは素敵です。毎日酒場(バー)に強めの服を着てやって来てビール類を流し込んでいるお嬢さんです、昼は介護福祉士、夜はバーテン?、働き者のうえ人間の出来た素晴らしいお嬢さんなのです。主人公は偶然彼女と出会いますが、この出会いなくしては物語が成立しませんマジで。全編通して一番好きなシーンはカヤさんちにお泊まりして着せかえごっこ遊びをするとこです。うらやましいぞ。 物語は終盤小澤君を掘り下げて進んでいきますが、羽根をむしって丸裸にしてから建て直しまでの流れの無駄のなさがお見事だと思いました。中盤のSNSで主人公が攻撃される、生徒が改心するまでのくだりも、きつすぎる悪意の描写は無い(ひかえめ)なのが美点だと思いましたが、小澤君の過去と現在の描写も、つらいけど必要最低限というか、過激ではないのが良かった。 ※ここで言いたい過激っていうのは、よく広告である、見た人の興味をひくことだけを特化したような思わせぶりでショッキングで醜悪なシーンの寄せ集めのアレみたいなことです ストーリーの流れありきの、材料の1つとしてのロリータ服なんだな!と勝手に思っていたら、作者インタビューにロリータ服を描きたかったという発言を見かけて今「????」ってなっています。ロリータ服の魅力を伝える的な要素は限りなく薄かったように感じたのですが、、、、???着たい服がある常喜寝太郎8わかる
漫画を読む女S2020/06/28ネタバレ終わり方がいい圧倒的に終わり方が良い! その後のパートに伸君は登場しないのがすばらしいね…すばらしいと思うのと同じくらい、どんなふうな大人になったかが見てみたかったなと思うんですよ。そこがいい。描かれないことは分かっているのにもう一度読みたくなる。 軽薄な悪意とか無害を装ってる邪悪がとてもいいし、3人の感情の流れ方と行動に無理がなくて私にもちゃんと理解できました。わかりやすいは大事! 木陰、植物、麦茶、果物、夏の描写がいい(蝶はモチーフとして好みじゃないんだけど、point5冒頭の伸君のページの蝶のあり方はかっこいいなって思いました)。 あと歯並びって描き方によると相当気持ち悪くできるので、point1前編表紙はギリギリのリアルさの案配がお見事だなぁって思いました。 歯を触る、口に指を入れるって生々しくてエロい行為だと思うんだけど、画から受ける印象はそうでもないのもバランスがよい…お見事…表情とか構図にハッとするものが多いのが魅力的。 オリオリスープの後、新作が楽しみだったので面白くて嬉しかったし、次回作も読みたいです。真夏のデルタ綿貫芳子6わかる
漫画を読む女S2020/06/28随所で言われていることですが椎名うみって天才よな。 これに尽きるんですけど、それだけじゃあんまりかなと思うので、蛇足とは思いつつ天才だなって私が思う点を書きます。 ・生理的嫌悪の描写 ・日常の狂気の描写 ・日本語のわかりやすさ ・何気ないコマ割 ・フォント芸 ・シュールギャグ ボインちゃんでクラスの女の子たちが追いかけてくる見開き絵なんてほんと最高だと思いました。遠くにヘンリーダーガーみすら感じた。 内藤が台所で手紙を燃やす後ろ姿の頁もいい。 崖際のワルツ 椎名うみ作品集椎名うみ3わかる
漫画を読む女S2020/06/28満足度の高さ…なんで読んでなかったんだろ? 完結しているおもしろいマンガが読みたかったのでそういう検索をしていたら、マンガ大賞2019で篠原健太の名前を発見したので読みました。 私は、考えて描かれたものなんだな…!って分かる漫画が大好きです。風呂敷がきれいに広げられて畳まれる。主軸がしっかりあって、サブエピソードが無駄なく配されて、集約されていく、そういう漫画が読みたいのです。絵が見やすくて、登場人物の区別がちゃんと付くだけじゃなくて、キャラクターが掘り下げられていて、好感が持てるとさらに良い。小ネタに笑ったり、ドキッとしたり、終盤まで続きが気になったりすれば最高です。 彼方のアストラはそういう漫画でした。 計算づくで描いてて、制作裏話を作者に聞いて欲しいんだろうなってタイプにみえるこの作者のことも、嫌いじゃないのです。スケットダンスはイロモノというか反則気味な過去エピソードにばかり触れられがちだったように思うので、変わりダネだけどものすごく王道なこのマンガが面白く読めてとても嬉しかったです。 一番好きなキャラはウルガーです。彼方のアストラ 全巻合本版篠原健太5わかる
漫画を読む女S2020/06/28まさかのSF、1冊の本としての完成度作者がスキップとローファーの人だから面白くないことはまずないだろうと思って軽率に読んでみましたが、短編集とかではなくて通しできれいにまとまったSFでした。びっくり。 線が細かくて書き込みが美しい。植物だったり街並みだったり建物だったり、コマ割りひとつとっても主張しすぎす画面がまとまっていて、ああ、この作者は本当にセンスがいいんだな…月刊誌掲載時から画面はこの完成度だったんかな…とか、ストーリー以前のところにとても感心してしまったのでした。すごいなあ…。 話の筋書き、なんとか分かった(と思う)。登場人物の感情の機微、そういうのを読み解くのが得意でない自分でもなんとか追えた(と思う)。全く共感することなく読み進んでしまいましたけど、淡泊でさらりとした味わいが作品の雰囲気にぴったりだったと思いました。 何度も読みたいかと聞かれたらノーです。でも読んで良かったです。高松美咲さんという人にとても興味がわきました。カナリアたちの舟高松美咲5わかる