得体の知れない恐怖
ジャンルはギャグ漫画ですが「あはは!」という感じではなく「フフ…(片方の口角がちょっと上がる)」という類の笑いです。初見は自宅にあった父のコミックスでした。表紙のかわうそが可愛かったのでページを開きましたが、小学生の自分には全く理解できず頭が「???」となりました。昔の漫画なので若干バイオレンスな描写もあり、得体の知れない恐怖を味わいました。大人になって再読したところ、いまだにオチが理解できない部分もありましたが、人間の気持ちの機敏や動きが絶妙に表現されていて、味わい深いなぁ…と思いました。あえて食べ物でたとえるなら「ホヤ」とか「かにみそ」的な作品だと思います。
1989年、従来の4コマとは全く性格の異なる漫画が現れました。不思議なキャラクターや奇怪なストーリーが織り交ぜられ、一度読んだだけでは意味が分からないようなシュールな話。なのにクスッと笑えてしまう、それまでの4コマ漫画にはない不条理ギャグ漫画が誕生したのです。作者の吉田戦車さんの出世作ともいえる漫画であり、吉田さんにしか生み出せないギャグマンガの様式、いわば「吉田戦車ワールド」を体感してみたい方は、まず手始めにこの作品から手にとってみてはいかがでしょうか。