将棋マンガは数あれど
"女流棋士"に絞って描いているのは新しい。タイトルの「永世乙女の戦い方」も、純粋な将棋の対局としての戦いという意味ももちろんあるだろうけど、棋士を目指していくのか、女流棋士として活動するのか、将棋のプロとしての異なる"生き方"という意味も含まれてそう。 くずしろさんって新規のキャラを出す時に作中で関係性を組み立てるのではなく、既に関係性のあるキャラを出して掛け合いの中で盛り上がりまで全速力で持ってくのが上手いなぁと感じていて、特に今作はバトルの要素がある分特にその上手さが際立つ。 将棋の盤上の状態というよりも対局の状況・趨勢を2人の闘いとして躍動的に魅せる画面作りをしてくれているので、将棋に詳しくなくても対局に引き込まれる。 そして絵力と合わせてセリフの力も強い。1ページ目からもう破壊力抜群。 にしても、強い言葉を使ってそのまんま強く見えるんだからずるい。 1巻まで読了
同著者の作品「千早さんはそのままでいい」が好きで、将棋マンガも好きだったので、ある種流れで読んでしまったが、いい作品に出会えた。
女流棋士を題材にした作品だが、特に気に入ったのが、主人公がその業界ではいたって「普通」な感じなところ。
もちろん主人公になるくらいなので、ある種センスみたいなものはあるようだが、神童だったとか、業界から一目おかれるズバ抜けた才能があるとかない。
なんなら奨励会に通う年下に、ハンデをもらうくらいだ。
伝聞推定だが、将棋界とは、幼少の頃から化け物みたいな強さでしかプロにはなれないし、ゆくゆく生き残っていくにはそれ以上でないと厳しいと聞いているなかで、主人公の能力はいたって平均値(ちょっと強い?)くらいの印象しかない。
ずっと続けていくのかも不明だ。
ただ、将棋を教えてくれた憧れの女流棋士と指したい、その一心のみで指している。
この普通なのが、なんとも良いんです。
将棋よく知らない一般人と目線が揃うというか、特に女流はぬるま湯とか腰抜けとか、この普通さに女流の現実を切り込んできちゃうのもいい。
そんな主人公の香が、これからどう化けていくのか、そのきっかけは何なのか、将棋界における女流の現実と、どう立ち向かうのか?
色々、今後が楽しみな作品です。