あらすじ最強女王の荒波が、香に襲いかかる!! 81マスの盤上で激しく戦う乙女達! 女流将棋界の絶対女王・天野香織がいる高みを目指す、弱冠17歳の早乙女香。彼女は、女流の七タイトル全てを独占する天野の前に立てることはできるのか!? いよいよタイトル戦の舞台に立つことになった香。長い間、夢見てきた憧れの人を前に、香は何を思うのか。そして、迎え撃つ女王・天野香織もまた、己を追い詰める可能性を秘めた挑戦者に嬉しさを抑えきれずにいた。注目のマイナビ女子オープン第一局、激闘の火蓋が切って落とされる!!
同著者の作品「千早さんはそのままでいい」が好きで、将棋マンガも好きだったので、ある種流れで読んでしまったが、いい作品に出会えた。 女流棋士を題材にした作品だが、特に気に入ったのが、主人公がその業界ではいたって「普通」な感じなところ。 もちろん主人公になるくらいなので、ある種センスみたいなものはあるようだが、神童だったとか、業界から一目おかれるズバ抜けた才能があるとかない。 なんなら奨励会に通う年下に、ハンデをもらうくらいだ。 伝聞推定だが、将棋界とは、幼少の頃から化け物みたいな強さでしかプロにはなれないし、ゆくゆく生き残っていくにはそれ以上でないと厳しいと聞いているなかで、主人公の能力はいたって平均値(ちょっと強い?)くらいの印象しかない。 ずっと続けていくのかも不明だ。 ただ、将棋を教えてくれた憧れの女流棋士と指したい、その一心のみで指している。 この普通なのが、なんとも良いんです。 将棋よく知らない一般人と目線が揃うというか、特に女流はぬるま湯とか腰抜けとか、この普通さに女流の現実を切り込んできちゃうのもいい。 そんな主人公の香が、これからどう化けていくのか、そのきっかけは何なのか、将棋界における女流の現実と、どう立ち向かうのか? 色々、今後が楽しみな作品です。