「バーズ」休刊により、「空電ノイズの姫君」がイブニングに移籍。

女子高生でバンドものというと元気で爽やかというイメージを抱きがちですが、この作品はやはり冬目景といいますか、ゆったりとしていてどこか陰のある雰囲気です。
また私が音楽をやっているのでどうしても敏感になってしまうのですが、作品内に「音楽」という概念・文化がごく自然に息づいていて、すごくリアルだなと感じました。たとえば少年漫画にありがちなように「これが私たちの音楽だ!」みたいに変に美化されたり特別視されているようなこともなく、サラリーマンのお父さんが普通に会社に行くがごとく彼女の傍らにはギターがあります。
1話でギター少女と歌う少女が出会ったからといって、その場で組んでグラミー賞獲ろうぜ!!とはならない代わりに、じっくり見守っていきたくなる漫画です。

というかスタジオ付きの家に生まれ育つってめっちゃ羨ましいw

読みたい

最終話を読んだ。なんだか物足りないなぁと思ってたら、単行本で大幅加筆するそう。これは買わねば。

最終巻読みました。正直夜祈子が抜けちゃうのはもやもやしながら読んでたんだけど描き下ろしまで読んだら二人が何考えてたのかよくわかったし、アルタゴがこうなったのもなんかいいなと思えた。いい終わり方でした。

それはそれとしてふたりの続きの物語は見たいんですよねぇ………!!!

MA・MA・Match

映画『怪物』みたいな構成の話だった

MA・MA・Match
mampuku
mampuku

いい意味で誤解や異説の飛び交いそうな、多層構造のストーリーだったように思う。 主人公の一人である芦原(母)は、生意気な息子とモラハラ夫を見返すべく、息子の得意なサッカーで勝負を挑む。 前半は、ママさんたちが友情や努力によって青春を取り戻しながら、悪役(息子と夫)に挑むという物語で、この悪役というのがちょっとやり過ぎなくらいのヘイトタンクっぷりなのだ。その場限りのヘイトを買うキャラクターは、ヒーロー役の株を上げるための装置として少女漫画では常套手段だ。だが『マ・マ・マッチ』はそういう物語ではないため、話はここで終わらない。 後半は時を遡り、息子と夫の目線で描かれ直す。母目線ではイヤ〜な輩にしか映らなかった彼らにも彼らの言い分や考えがあったのだと明かされる。 真っ先に私が思い出したのが、是枝監督の映画『怪物』の主人公の一人、安藤サクラさん演じるシングルマザーの早織である。 息子が教師に暴力を振るわれたことに抗議するため学校に乗り込むも学校側からぞんざいな対応をされ不信感を募らせる早織。その後教師や子供など、さまざまな視点が映し出されることでやがて全体観が像を結ぶ。 『マ・マ・マッチ』でも、後半部分を読んだあとに最初から読み返すと些か感想が変わる。息子や夫がイヤな奴らとして描かれているのは確かだが、先入観によって印象が悪化していたのも事実だ。なにより、序盤に出てくる夫のコマは母を嘲弄するような不快なものだったが、そもそもこれは芦原母の回想であり主観だ。その後実際に登場する夫は彼女と衝突こそすれ至って真面目だ。 つまり、それぞれの立場から不満を抱いたり譲れない部分でぶつかり合いながら、逐一仲直りしたり折り合いをつけているのだ、という話に畢竟見えなくもない。悪者退治という少女漫画にありがちなフォーマットで導入を描いて入り込みやすくしておいて、後半の考えさせる話でモヤモヤさせる。末次由紀先生、さすがの巨匠っぷりを見せつけた怪作だ。

テセウスの船

どちらかというと『テセウスの船』というより『動的平衡』じゃない?

テセウスの船
mampuku
mampuku

時間遡行をして人生をやり直したとしたら、それは本当に同一の自分といえるのか?という問いを有名なパラドックス「テセウスの船」になぞらえたタイトルだ。 ストーリーに関しては論理的整合性や感情的整合性においてやや粗い部分も感じられたもののサスペンスとして緊張感もあり、ラストは新海誠監督『君の名は。』のような美しい締め方だったし概ね面白かった。 ただ、タイトル『テセウスの船』がイマイチストーリーにハマっていない感じがした。 どちらかといえば「動的平衡」のほうが比喩としてしっくりくるのではないだろうか。 「動的平衡」とはシェーンハイマーの提唱した概念であり、日本では福岡伸一氏による著書『生物と無生物のあいだ』『動的平衡』で有名になった言葉である。“生命”とは、取り込まれ代謝されていく物質、生まれ変わり続ける細胞どうしの相互作用によって現れる“現象”である、という考え方だ。 主人公の田村心は生まれる前の過去に遡り、そこで巻き起こる惨劇を阻止することで、その惨劇により自身に降りかかった不幸な運命を変えようと奮闘する。作品では、過去を改変して自らの人生を曲げようとする一連の試みをテセウスの船にたとえているが、やはりピンとこない。作中、田村心は殺人事件を未然に防ぐため凶器となった薬物を隠したり被害者に避難を呼びかけたりするが、その影響で心の知る未来とは異なる人物が命を落としたり、結果的に大量殺人を防げなかったばかりか予想だにしなかった事態を招くことになる。 この予測不可能性こそがまさに動的平衡そのものって感じなのだ。生命体は、船の部品のように壊れた部分を取り替えれば前と変わらず機能する、ということにはならない。ある重要なホルモンの分泌に作用する細胞を、遺伝子操作によってあらかじめ削除してしまったとしても、ほかの細胞がそのポジションを埋めることがある。これは心が殺人事件の阻止に何度も失敗したことに似ている。思わぬ不運や予想しない死者が出てしまったのも、脚のツボを押すと胃腸の働きが改善するなどの神経細胞の複雑さに似ている。 船は組み立てて積み上げれば完成するが、生命は時間という大きな流れの中で分子同士が複雑に相互作用しあうことで初めて現象する。『テセウスの船』での田村心の試みは人生あるいは歴史という動的平衡に翻弄されながらも抗う物語だったのかもしれない。

くうでんのひめぎみ
空電の姫君 1巻
空電の姫君(2)
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イエスタデイをうたって afterword

イエスタデイをうたって afterword

本編最終回の後日談を描いた新作読切『イエスタデイをうたって 特別編―11・S14―』、単行本未収録の幻の読切『夏の姉』を初収録。冬目景が『イエスタデイをうたって』を振り返る最新インタビューやアニメ版・藤原佳幸監督との対談ほか、『イエスタデイをうたって EX』の内容もアップデートして選り抜き収録した冬目景ファン必携の一冊!!

138°E

138°E

村田蓮爾ニュープロジェクト始動!! マンガ×イラスト×映像×音楽がスパークするモンスターコミック誌誕生!! 村田蓮爾を中心に、林田球、またよし、たかみち、冬目景、JDMorvan&bengalら国内外の超実力派アーチストが集結するコミック誌です。驚天動地のカラー&モノクロコミックから多彩な印刷技術を用いた大判イラストレーションまで、最先端のアートカルチャーシーンを凝縮した284ページ極厚仕様。特別付録DVDでは、UKクリエイター・Huw Williams&David Altweger(unit10)が手がけたコミックコラボムービーを収録。

試し読み
ACONY

ACONY

築70年以上経つ“しきみ野アパート”に引っ越してきた空木基海(うつきもとみ ルビ)13歳。お隣さんはかわいいけど、ちょっと不思議な少女。名前はアコニー、ペットはコウモリなんだって。

マホロミ

マホロミ

土神(にわ)は建築科の大学生1年生。ある日同級生の卯(あきら)と共に解体中の洋館に出かける。そこで見つけたドアノブに触れた途端、目の前に幻の扉が現れる。その夜、再び洋館を訪ねた土神は謎の少女から、それが建物の持つ「記憶」であると告げられる―――廃屋の中に佇み、同じ幻を見た彼女と出会い、土神の日常がざわめき始める…!!

羊のうた

羊のうた

高校生の高城一砂は、幼い頃に別れた一つ年上の姉・千砂と再会し、高城家に代々伝わる「病」のことを聞く。その「病」は、発病すると「吸血鬼」のように、他人の血が欲しくなるという。やがて発病し、発作に苦しむ一砂に千砂は自らの血を与えるが……。

ZERO

ZERO

全校集会に遅刻した釘町は、体育館で全生徒が死んでいるのを見て愕然とする。そこに一人佇む少女は、間尾――。2ヶ月前、釘町は転校生・間尾の、不器用で誤解されやすい素顔を知り、親しくなる。だが間尾は仲間に利用され退学することに。「学校」に拒絶され排斥された間尾の、それは復讐だったのだ――。

僕らの変拍子

僕らの変拍子

手を傷めたためにピアノを辞めた柳川は、早々に大学への推薦入学を決め、退屈な毎日を送っている。帰宅途中、廃屋に人が出入りしているのを見かけ中へ入った柳川は、少女に声をかけられ、ある物をもらう。その少女、有島との出会いに柳川は……!? 冬目景デビュー作「六畳劇場」を含む全7編を収録した初期作品集。

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